新妻聖子 産後初の舞台に 育児との両立を後押ししてくれたスタッフに感謝
今月のテーマは“仕事と子育ての両立”。ミュージカル女優の新妻聖子さんが、2018年7月に生まれた息子さんの初めて育児に奮闘する様子をユーモラスにつづる月1連載「新米母と息子の備忘録」第11回目です。
産後初の舞台。稽古が始まり、育児との両立に不安も…
久しぶりの舞台出演となるミュージカル「ボディーガード」の稽古が、本格的に始まりました。最初にオーディションのお話を伺ったときは、ちょうど育児がてんやわんやの時期で、ホイットニー・ヒューストンのヒット曲をこれでもかと歌いまくる大作の主役を、育児と両立しながら務められるのだろうかと、不安しかありませんでした。
日本の演劇の稽古期間は平均で1カ月、短期集中型で行われます。今までの経験上、稽古はだいたい11時から19時ごろまで、遅くなるときは22時ごろまでかかるので、稽古中は1カ月間、ほぼ毎日、息子の夜ごはん、おふろ、寝かしつけには立ち合えないということになります。
息子が風邪をひいたりすれば、看病をしながらハードな稽古をこなすことになりますし、東京以外の都市での公演はどうすればいいのかなど、不安は尽きませんでした。
「ママ」をあきらめずに、大好きな舞台に戻れることに!感謝!
制作会社である梅田芸術劇場のプロデューサーさんに、そういった思いを包み隠さずお伝えしたところ、「育児も舞台も両立できるよう工夫して、一緒に乗り越えましょう」と、力強くあたたかいお言葉をかけてくださったのです。いち出演者の育児事情を考慮し稽古スケジュールを組んでくださるなんて、まさかそんなご提案を頂けるとは夢にも思っていなかったので、とても驚いたと同時になんて革新的な会社なのだろうと感動しました。こういったケースは日本の演劇界では珍しいのではないかと思います。
「ママ」をあきらめなくても、大好きな舞台に戻れるんだ。それは心の底からうれしくありがたい発見でしたし、何よりも心強い思いで、久しぶりの舞台の現場に飛び込ませていただきました。今は毎日、スタッフ・キャストのみなさまのご配慮とご厚意のおかげで、息子の夜のお世話には間に合うように帰宅させてもらっています。稽古中もきちんと息子とコミュニケーションが取れていることに感謝です。
息子は私の最高のお客さま。毎晩、たくさん歌ってあげよう!
昨年から声の不調に悩まされていたこともあり、自宅では歌うことはおろかしゃべることも少なくなっていたのですが、ミュージカルの稽古が始まってからは急ピッチでのどの筋肉を「本番モード」に切り替えています。
さっき息子とおふろにつかりながら稽古で気になった個所を練習していたのですが、私の歌を聞いた瞬間、コップを使った水遊びに夢中だった息子がぴたりとフリーズ。私を見つめると、今まで見たことのないような表情で、「ママだ…」と言ったのです!そして本当にうれしそうな顔で私をハグし、頭をなでなでしてくれました。
そういえば、私の「本気の歌」を息子に聴かせるのはおよそ1年ぶりだったのです。のどの不調と向き合うことに精いっぱいで、そんなにも長い期間、息子に歌を歌ってあげていなかったことに初めて気がつきました。
「この子はずっとママの歌を待っていたのかもしれない」と思うと胸が苦しくなりましたし、ここまで歌声が回復して本当によかったなと、そしてこれからは毎晩おふろでたくさん歌ってあげようと心に決めました。だって、息子は目をキラキラ輝かせてうれしそうに幸せそうに私の歌を聴いてくれる、最高のお客さまなのですから!(笑)
今月の買ってよかったもの!
「STOKKE」トイカップ
おふろで水遊びができるようにと買ったストッケのゴム製カップ。4つセットになっていて、重ねたり、注いだり、底に穴が開いているカップを使ってシャワーのように遊んだり、シンプルなおもちゃなのに子どもは夢中!落としても割れたりしないし、洗うのも簡単で重宝しています!
(文/新妻聖子 構成/ひよこクラブ編集部)
キラキラと目を輝かせて新妻さんの歌を聴いている息子さん…。親子のほほえましい光景が目に浮かんで、ほのぼのとした気持ちになりました。母として、ミュージカル女優として、ますます活躍の幅を広げている新妻さん。次回の連載も楽しみです!
Profile●新妻聖子
1980年生まれ。2003年に5000倍のオーディションを突破して、「レ・ミゼラブル」で初舞台に立つ。その後、数多くのミュージカルに出演。3月にミュージカル「ボディーガード」主演で、産後初の舞台に復帰予定 ニューアルバム『Colors of Life』が好評発売中。
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点からイベントが中止・延期となる可能性があります。実施に関する最新情報は主催者公式サイトでご確認ください。