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知って得する!産休・育休中に抑えておきたい、お金周りのポイントまとめ

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妊娠中の女性、ピギー銀行
Rostislav_Sedlacek/gettyimages

働いている女性 で、自分が被保険者として社会保険に加入している場合、産休・育休を取得したときに給付金や助成金を受け取ることができます。知らなかったばかりに手続きをしっかりせず、お金を貰い損ねてしまった、などということはしたくないものです。そこで、社会労務士であり、行政書士、ファイナンシャルプランナーとしても活躍する當舎緑さんに「産休・育休でもらえるお金」についてアドバイスいただきました。

役所で「妊婦健康診査受診票」を取得

「妊娠と診断されたら、まずは地元の市役所や保健所で『妊娠届』を提出し、『母子健康手帳』を交付してもらい、『妊婦健康診査受診票』を取得します。基本的に、妊娠中の健診費用は14回分の公的補助が出るのですが、自治体によって補助の内容が異なることも多いので、取得時に窓口でどんな助成が受けられるのかを確認しておきましょう。」

会社で「出産育児一時金」を申請


「会社に報告するとともに『出産育児一時金』の申請をします。会社員や公務員の場合は加入している健康組合や共済組合への申請です。国民健康保険の加入者の場合は、住んでいる市区町村の役所に申請します。
『出産育児一時金』は、組合や国保に関わらず産科医療費保障制度加入医療機関の場合は子ども1人につき50万円、それ以外の場合は子ども1人につき48.8万円が支給されます。

ここで、注意してほしいのが、利用する医療機関に『直接支払い制度』があるかどうかです。この制度を利用できれば、出産のために大金を用意しておかなくても済むのでぜひ確認してください。また実費が手当金よりも多かった場合は差額を支払いますが、逆に少なかった場合は健康保険組合に申請すると差額を後日受け取ることができます」

「健康保険」や「医療費控除」の対象になることも

「通常の妊娠・出産では健康保険は対象となりませんが、重度の悪阻や妊娠糖尿病など治療が必要な場合は、健康保険の対象になります。また長期入院などで高額療養費の適用になる場合は『限度額適用認定証』を取得しましょう。さらに医療費が出産一時金の給付額より10万円以上、または所得の5%を超えた場合は医療費控除の対象になります。念のために、妊娠・出産でかかった医療費や通院費用などの領収書はしっかり保管しておきましょう」

「生命保険」「女性保険」の保障条件もチェック

「もう一つ確認しておいて欲しいのが保険です。妊娠前から生命保険に加入している場合は、治療を受けた場合に保障の対象となることがあります。ただし妊娠後に加入した保険では条件が色々あり、保障対象とならないこともあります。主な保障の対象は、切迫早産での入院費や、帝王切開手術など自然分娩以外のトラブルです。さらに女性保険に加入していると通常の傷病保険金よりも多く支払われることがありますから、自分がどんな保険に加入しているのか、事前に確認しておくといいでしょう」

「出産手当金」と「育児休業給付金」

「働くママが、産休と育児休業を取得する場合は、ご自身が勤めている会社の健康組合に『出産手当金』と『育児休業給付金』を申請する必要があります。

『出産手当金』は、出産日を含んで産前42日(多胎の場合は98日)・産後56日の出産休業中は、給料が出ない会社がほとんどなので、その間の生活を支えるために、加入先の健康保険から支給されるお金です。産休明けの、産後56日経過後に申請します(産休中に提出可能な場合もあります)。出産日が予定日より遅れた場合には、その期間も支給されます。申請から支給までは、約2週間~2カ月。産休に入ってからお金が振り込まれるまで、3~4カ月ほどかかるので注意しましょう。

『育児休業給付金』は勤務先もしくは勤務先が管轄するハローワークが申請先になります。原則として2ヶ月ごとの申請になりますが、多くの会社は手続きが円滑にいくシステムを持っており会社の方で手続きを進めてくれるはずです。

もし育児休業を取得する人が少ない会社で、手続きの進行に不安があるのなら、ご自身で手続きを確認することをオススメします。申請期間をすぎると手当金を受け取れないこともあるからです。今は、いずれの手続きにもマイナンバーが必要です。また育児休業給付金の手続きでは、振込先の通帳の写しや母子手帳の写しも必要となりますから、手続きが円滑に進むように事前準備をしっかりとしておくといいですね」

出産を機に退職するときに気をつけておきたいこととは

「産休・育休後に職場復帰を考えていたものの、諸事情により退職することになった場合や、もともと出産後に退職し、また再就職を考えている場合などは、自分でしっかりと手続きをすることが必要です」と當舎さん。

画像:『平成29年4月1日から、雇用保険の基本手当について受給期間延長の申請期限を変更します』/厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークより

「出産や育児休業での給付金は、ほとんど会社から申請がなされますが、退職してしまうと、全ての手続きを自分でやらなくてはなりません。

たとえば、妊娠・出産等を理由に離職した場合は、雇用保険に要注意です。離職後、妊娠・出産等が理由で30日以上職業に就くことができない場合、受給要件に該当しないため、雇用保険の受給はできません。しかし、受給期間を延長することができます。延長の申請は自分で行わなければならいないので気をつけましょう。

ほかにも、出産前に退職してしまうとこれまで勤めていた会社の健康保険の組合員ではなくなりますから『出産手当金』と『育児休業給付金』は取得できなくなります。産休と育休の取得は権利です。もし妊娠中に体調を崩して勤務できなくなっても、病気の場合は『傷病手当金』が申請できますから、働きたい意志があるなら退職せずに継続勤務することを私はオススメします」

制度や申請先をしっかり知って、「産休・育休でもらえるお金」をもらい損ねないようにしたいですね。
 (石井香奈子/メディア・ビュー)

■監修/當舎緑さん
社会保険労務士、行政書士、CFP
メーカー勤務、労働保険事務組合勤務を経て社会保険労務士事務所を開業。その後、行政書士、FP事務所を併設。ライフプランニング、保険、相続などを専門に執筆、監修、講師などに従事する。

●制度改正により、出産育児一時金の金額を修正しました(2023年4月)

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