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ロタウイルスワクチン、時期が来たら必ず接種を。10月の定期化まで待たないで! 小児科医

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※写真はイメージです
nanausop/gettyimages

重症化すると死に至ることもある怖い病気“ロタウイルス胃腸炎”。予防接種を受ける大きな意味をあらためて知っておきましょう!
「小児科医 太田文夫が今伝えたいこと」第8回

10月からロタウイルスワクチンが定期接種化することを知っていますか?

ロタウイルスワクチンは、2020年10月から定期接種に変わります。定期化の対象となる、2020年8月1日以降に生まれた赤ちゃんは、定期化によって自治体からの補助が増え、無料もしくはあまり費用がかかることなく受けられることになるので朗報といえるでしょう。

時期が来たら必ず接種を。10月まで接種を控えることは避けて!

ロタウイルスワクチンは接種していないと、ロタウイルス胃腸炎にかかった時に重症になる可能性があります。しかし、副反応の発生リスクを考慮して、接種できる時期が厳密に決められているワクチンです。


定期化の対象にならない、7月生まれまでの赤ちゃんは、任意接種で接種費用がかかりますが、個人防衛するためには、接種時期が来たら、10月を待たずに費用を負担してでもぜひ接種をしてほしいと思います。

症状が進行すると、死に至ることもある怖いロタウイルス胃腸炎

世界中のほぼすべての人類は2歳までにロタウイルスに感染し、その後何回もかかっています。とくに一回目、二回目の感染での重症化が問題になっている疾患で、その重症化を防げるのが予防接種です。

ワクチンがなかったころは、症状が強いと、激しい嘔吐・下痢に引き続き、脱水症になり、さらに腎不全に進行し、死に至ることもありました。

胃腸炎から脱水症に…。 病院に到着するまでに命を落としてしまった子も

私は以前、救急患者も受け入れている病院に勤務をしていました。電話の連絡があり「ロタウイルス胃腸炎による脱水症」というお子さんを待っていたのですが、病院に到着したときにはすでに意識がなくて、治療の甲斐もなく、亡くなってしまったお子さんを診たこともありました。

昨日まで元気だった子が、あっという間に命を落としてしまうこともある病気なのです。

ロタウイルス胃腸炎からの脱水症は さまざまな症状を引き起こす

ワクチンがない時代、ロタウイルス胃腸炎流行時には、下痢と嘔吐を訴えてくるお子さんを診ることは本当に不安でした。症状はひどくないだろうか、食事はとれているだろうか、体重は減っていないだろうか…など、心配の種がつきませんでした。

脱水がひどいと、写真の子のように、目が落ちくぼみ、皮膚の張りが低下します。(写真1.2参照)
ロタウイルスは、脳症をおこすこともあり、その発症者数はインフルエンザ、突発性発疹(HHV-6)に次いで3番目に多いことが知られている怖い感染症なのです。
(脳症発症率のグラフ参照)

ロタウイルス胃腸炎にかかり、意識障害などが見られる赤ちゃん

ロタウイルス胃腸炎にかかり、眼・ほほの陥没、脱水、意識障害が見られる赤ちゃん

脱水症状により、おなかの皮膚の張りが低下している赤ちゃん

おなかは、皮膚ツルゴール(皮膚に張りと緊張がある状態のこと)の低下が見られる

※画像2点提供
大阪労災病院小児科 川村尚先生(保護者了承を得て掲載)

脳症の発症率が、 3番目に高いロタウイルス胃腸炎

※グラフ提供
森島恒雄先生「小児の急性脳炎・脳症の現状」ウイルス 第59巻 第1号,59-66 2009

感染経路は、主に手を介する糞口感染。手を口に運ぶことが多い赤ちゃんは感染率が高い

感染経路は主に手を介する糞口感染です。乳幼児は普段から頻繁に手を口に持っていくので感染しやすいとわかっています。感染者の便の中には1g中に数億~数100億のウイルスが含まれています。そのうちの10個以下でも、口に入っただけで発症します。

おもちゃなどについたウイルスは、数時間は感染力があるため、保育園などの集団生活はもちろん、入院中の病棟内でも、つき添いの家族やほかの病気で入院している患者さんにまで感染が広がることもありました。一度かかっても年を追う毎に、繰り返し感染するウイルスです。
重症例は、初回と2回目に集中しており、回数が増える毎に重症となる割合は下がります。

適切な時期に予防接種をぜひ受けて。 副反応は腸重積で、飲んだあとも注意を

ロタウイルスワクチンには2回飲みタイプと3回飲みタイプがあります。月齢が低い時期の腸重積発生リスクを減らすことを考慮し、接種完了時期には制限があります。
初回接種は生後6週から生後14週6日までに開始することが推奨されています。
・2回飲みタイプは生後24週までに2回接種して完了
・3回飲みタイプの接種は生後32週までに3回接種し完了
することが推奨されています。

ロタウイルスワクチンの副反応として、腸重積との関連があるのではないかといわれています。発生率は一回目接種後一週間以内と、接種開始が遅かった場合に自然発生率より少し高いとわかっています。

ロタウイルスワクチン接種後しばらくは、不機嫌さが見られる、下痢、便に血が混じるなど普段と違う症状が出たら、すみやかに接種医に相談してください。

副反応の可能性があるとしても、接種する意義があると評価されているロタウイルスワクチン。定期接種前でも接種するメリットは十分にあります。10月まで接種を待とうなど考えず、接種することを前向きに検討してください。
(構成/ひよこクラブ編集部)

予防接種を受けることで、自然感染時の症状を軽症化させられます。命にもかかわるロタウイルス胃腸炎。大切な赤ちゃんをワクチンで守りましょう。

監修・文/太田文夫先生

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