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子どもを病気から守るために「予防接種」を受けよう!【日本外来小児科学会リーフレット検討会より】

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かわいいアジアの赤ちゃんの病気、お母さんの肩に不幸です。(ビンテージ トーン)
Suriyapong Thongsawang/gettyimages

重い病気はもう流行しない、自分も受けていないし私の子どもは丈夫だから病気にはかからない、つい面倒でわざわざ受ける気にならない、病気がちで受ける機会がない、副反応(副作用)が心配、自然にかかるほうが免疫が強くなると聞いた、などの理由で予防接種をどうしようかと迷っているお母さん、お父さんはいませんか。
いろいろな考えにはそれぞれの理由がありますが、もう一度よく考えてみませんか? 心配していること、疑問に思っていることについて一問一答で解説します。
この情報は「日本外来小児科学会リーフレット検討会」の小児科の先生方がお母さん・お父さんに伝えたい内容を「たまひよ」と一緒にまとめたものです。

Q 今流行していない病気の予防接種も必要ですか?

A 多くの人が予防接種を受けて抵抗力をつけているから、その病気が流行していないだけです。受けない人が増えるとまた流行します。欧米でもはしかワクチンの接種率が下がってきた国では、また流行が始まっています。交通が発達して、外国から病気が入ってくる可能性もあります。病気が流行していないので予防接種は必要ないという考えは、空き巣に入られたことがないので、日ごろから家の鍵をかけることをやめるのと同じです。本当に大丈夫でしょうか。

Qワクチンによって無くなった病気はありますか?

A 天然痘は種痘の普及で地球上から消えてしまい、ワクチン接種も終了しました。近年では、ヒブワクチンの定期化で、日本では毎年500人くらい発症していたヒブ菌関連の疾患が、ほぼゼロに減りました。任意接種ですが、ロタウイルスワクチンも接種率が上がってきたので、重症胃腸炎のお子さんが激減してきています。(2020年10月からは定期接種になります)

Qはしかなどは、予防接種をするより自然にかかったほうがいいのではないですか?

A いいえ。はしかは一度かかったら二度とかからないことは事実ですが、はしかは一度もかかりたくない病気と私たちは考えます。はしかは子どもにとっても大人にとっても重病で、命にかかわることさえあります。子どもだから軽く済むなどということはありませんし、肺炎や脳炎を起こして死亡したり、重い後遺症が出たりするなど、取り返しのつかない結果になることもあります。
また、はしかにかかると、まだ予防接種を受けていない乳児たちにうつしてしまいます。予防接種は本人のためだけでなく、まわりの人たちのためでもあります。地域社会で生活していくための大切なマナーであるのです。

Qきちんと予防接種をすれば、その病気には一生かからないのですか?

A 残念ですが、予防接種を受けてもかかる可能性が一生涯にわたってゼロになるわけではありません。しかし、ワクチンで予防できる病気は健康が損なわれたり、命を落としたり、障害を残したりする危険性が高い年齢層がある程度わかっています。病気による健康被害を最小にできるように、接種する年齢や回数を定めて、十分な効果が得られるように配慮されています。

Qけいれんを起こしたことがある子や、アレルギーがある子でも接種できますか?

Aはい。とくに定められた場合を除いて、けいれんやアレルギーがあることで予防接種を受ける機会が失われることはありません。もともと病気を持っている子どものほうが感染症にかかって重症になると考えられます。ただし不安を持ったまま接種を受けることは避けるべきです。まずは主治医やかかりつけ医と相談して、接種を受ける時期などを決めることをおすすめします。

Q 副反応があるといわれていますが、それでも接種は必要ですか?

A はい。ワクチンは身体にとって異物だからこそ、反応を起こして予防効果を得ることができるのです。異物を体内に入れるからには、発熱、痛みや腫(は)れなど身体にとって不利益、不愉快な反応が生じることがありますが、その多くについてその程度と頻度は許容範囲と考えられています。極めてまれに重篤な副反応が発生することが知られていますが、そのような事態に至る危険性が予防するべき疾患で重篤になるリスクより小さいので、接種を推奨しているのです。

Q 万が一、重い副反応が起こったときには、どうなりますか?

A もちろん起こらないほうがいいのですが、副反応のために入院した、後遺症が出たなどの不幸な健康被害が出た場合には、国や専門機関の救済制度があります。医療費、補償金や介護手当などが支給されます。詳しくは、予防接種を受けた医療機関や自治体におたずねください。

Q 日本は世界の中で予防接種は進んでいるほうですか?

A 海外転勤などで子どもの予防接種を日本国外で受けさせた経験のあるお母さん、お父さんはご存じかもしれませんが、日本の予防接種はワクチンギャップといわれるくらい遅れていました。最近になってようやく世界標準に追いついてきましたが、接種時期や接種方法には、世界の標準とは異なるわが国独特のルールが今なお残っています。わが国においても、子どもも大人も希望すれば必要なワクチンをすべて受けられるような制度になることを願っています。

Q予防接種は、やっぱり受けたほうがいいでしょうか?

A はい。私たち小児科医は子どもたちの命や健康を守るために受けるべきだと考えています。今のように医学が進歩した時代でも、かかってしまえば治療法がない病気がまだまだあります。かかってしまってからでは遅いので、接種できる年齢や月齢になったら、できるだけ早く予防接種を受けておくべきです。
はしかの予防接種率がまだ60%程度だった40年前には、毎年50人前後の子どもが亡くなっていました。今では2回ある定期接種の接種率が90%越えを維持できるようになったおかげで、海外から持ち込まれて発症する以外に、ほとんどはしかに遭遇することが無くなりました。ポリオやジフテリアが日本ではみられなくなっているのも、予防接種を続けているからなのです。

子どもは病気にかかりやすく、かかると重くなることがありますので、病気にかからないように守る役目を担っているのが予防接種です。病気が流行すると、子どもだけでなくそれを取り巻く社会も大きな損失をこうむります。自分の子どもを守るためにはもちろんですが、一緒に生活するまわりの人たち、ひいては社会全体を病気の被害から守るためにも、予防接種は必要です。
予防接種のことでわからないことがありましたら、いつでも小児科医におたずねください。

*ワクチンについての正しい情報は、NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会のHPにも出ています  
(文/日本外来小児科学会リーフレット検討会 構成/ひよこクラブ編集部)

■監修/日本外来小児科学会リーフレット検討会
日本外来小児科学会リーフレット検討会は、子どもの病気、健康、安全、生活など、子どもを取り巻くすべてのことがらに対してリーフレット制作に取り組んできました。この活動の1つとして、保護者や子どもにぜひ知っておいてほしい情報を記載したコンテンツを「たまひよ」と一緒に作成し、オンラインでも発信していきます。

日本外来小児科学会は1991年に設立された学術団体です。

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