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【小児科医リレーエッセイ 9】 “子育て”が“孤育て”にならないように、笑顔を忘れない毎日を送ろう

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若いアジア系の家族の肖像画
itakayuki/gettyimages

「昨年末に中国の武漢で発生した新型コロナウイルスは、年が明けて瞬く間に拡がり、今では世界中の人たちの生活を脅かしています。私たちは今、百年に一度あるかないかの試練の時期にいるといっても過言ではありません」との言葉を寄せてくれた佐藤先生。「日本外来小児科学会リーフレット検討会」の先生方からのメッセージをお届けしている連載の第9回は、自身も1才の男の子の育児中である宮崎・さとう小児科の佐藤潤一郎先生です。

ウィズコロナで生活にも変化が必要。おうちでの生活を工夫しよう

だれもが経験したことがない状況の中、赤ちゃんや乳児を抱える御家族の不安は計り知れないものがあると想像します。とくに、特定警戒都道府県にお住まいの方々は、日常生活もままならない中、育児にも追われ、大変な苦労をされているのではないでしょうか?
私にも1歳の息子がいます。私たち家族の生活も、新型コロナウイルス感染症が発生した前と後では大きく変わりました。私の生活を通して、気づいたことやちょっとしたアドバイスを全国の仲間であるママ・パパたちに伝えさせてください。

不要不急の外出は控えましょう。でも、ワクチンは必要緊急です

連日、ワイドショーでも「不要不急の外出は控えてください!」と幾度も放送されていますので、今さら私がお伝えするまでもないですが、御自身や家族の命を守るためにも不要不急の外出は控えてください。
でも、ここで勘違いしてほしくないのは、“ワクチンは不要不急に該当しない!”ということです。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、病院への不要不急の受診は控えたほうがいいですが、余計な心配をしないためにも、ワクチン接種はどんどん進めていきましょう。
「健診に行くとコロナにかかるかも?」このような心配は御無用です。大抵の小児科クリニックでは、予防接種や健診の時間は、一般診療と分けられています。
ワクチンは生後2カ月から接種可能です。お子さんにとってどのワクチンも必要緊急に該当します。遅れることなく接種してください。なお、小児科クリニックに行く途中はコロナ感染対策をしっかりして行きましょう。

友だち同士でガス抜きをしよう

新型コロナウイルスによる外出の自粛は、自分や家族、友人、知人など大切な人を守るために必要なことですが、そうなるとわが子と自宅で過ごす時間が多くなります。お子さんにとってママ・パパと長く一緒に過ごせることはたいへん幸せなことでしょう。しかし、それによりママ・パパにストレスがたまりイライラするのはいいことではありません。
こういった時は、誰かに連絡をとってみましょう。
今のこのストレスフルな状況を相手と共有し、お互いの近況報告や情報交換を行うことで、ストレスの軽減につながりますし、初めての発見や自粛生活の新たなヒントなどが得られるかもしれません。
うちの妻も例外にもれず、メル友・ママ友と連絡を取り合ってガス抜きをしているようです。連絡を取り合った中で、私も感心する話がありましたので、いくつか紹介したいと思います。
 
いちごが大好きな1歳の男の子のママの話です。自宅から出られない男の子を楽しませようと自宅でいちご狩りをやっているようです。どういった風にいちご狩りをするのでしょう?ベランダにある洗濯バサミにいちごをぶら下げて食べるようです。送ってもらった写真、とても楽しそうでした。これは、いちごではなくてもほかの食材や小包装されたお菓子などでも代用できるかもしれませんね。
 
もう一つ、3歳と2歳の姉妹を持つマンション住まいのママ。マンション住まいのママ・パパが心配することの1つは、お子さんの走り回る音が騒音であると苦情が届くことではないでしょうか。どうしても家にいる時間が長くなれば走り回る頻度も増えます。その対策として、コルクマットを敷いているそうです。早速、別の友人で子どもの足音による騒音の苦情に悩んでいる友人に連絡していました。
「子育て」が「孤育て」になってはいけません。ストレスを感じた時はいろんな友人と連絡を取り合いましょう。

子どもといっしょに楽しみましょう

乳幼児を持つママ・パパの困りごとの中に、「子どもを遊ばせる場所がない」「子どもと室内でどのように過ごしたらよいかわからない」があるのではないでしょうか。
近くの公園が閉鎖されたり、遊具が使えないとなれば、お家でお子さんを遊ばせるしかありません。
皆さんはお子さんとどのようにして過ごしていますか? 私が聞いている中では、子どもと一緒にお菓子を作ったり料理したりする御家族が多いようです。
ママ・パパと一緒にクッキング、一緒に食べる。子どもにとってはとても楽しい体験であることは間違いないですね。私たちも、保育園や妻のまわりのママ友からレシピをもらい、「簡単においしくできるんだね!」感心しながら楽しんでいます。
ママ・パパもお子さんと一緒に楽しめる遊び、ぜひ見つけてください。
ちなみに、調理をする時は必ず手指をきれいにしてからはじめましょう。最近は、鶏肉の加熱不足や調理の途中で子どもさんたちの手指汚染などが原因と思われるカンピロバクター腸炎になるお子さんがいます。生肉を扱う際はとくに注意が必要ですね。

どんなきっかけでもいいので、大きな声で笑いましょう

何かと不安が強い世の中で、悶々(もんもん)としていると暗く憂うつになります。気づけばいつもしかめっ面ばかりで笑顔を忘れていませんか?
新型コロナウイルスだけでなく、恐怖・不安といった後ろ向きな気持ちも周囲にうつっていきます。一方、前向きな気持ちも周囲にうつっていきます。同じうつすのであれば、前向きな気持ちをまわりにうつすほうがよくないですか? そのためには、ママ・パパも笑うことが大切です。
気持ちが暗い時は、どんなきっかけでもいいので大きな声で笑ってみてください。

笑顔は、苦しみを半分にし、喜びを倍にしてくれます。
子どもたちが幸せであるために、ママ・パパの幸せは必要です。笑顔は、幸せをたくさん運んできてくれます。

外出自粛は何も悪いことばかりではないと思います。家族との団らんが増え、子どもと一緒に過ごせる時間が増えていませんか? 新型コロナウイルス感染症発生前の当たり前の生活の中では気づけなかったことに気づかされることも多いのではないでしょうか。

私のことをお話しすると、5月の大型連休の4日間は息子とずっといっしょにいました。当たり前ですが、言葉が日に日に上手になっていき、まねごとのレパートリーがどんどん増え、昨日できなかったことが今日できるようになっていること・・・。どれも愛おしく思えました。

新型コロナウイルスは、これからの私たちの社会の在り方を考えさせるいいきっかけになっているのかもしれません。外出自粛で悶々とする日々ですが、新型コロナウイルスを契機に、子どもたちの未来がどうあってほしいか、それには今何が必要か、問い直されているのではないでしょうか。

文/佐藤潤一郎先生
(さとう小児科・院長)

宮崎市出身。1999年宮崎医科大学医学部卒業。宮崎大学医学部小児科、榊原記念病院小児科などを経て、2012年12月より現職。「こどもの未来のために今、何ができるか?」を日々考えて診療にあたる。

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