吉田明世アナ 自粛生活、前向きでいられたのは最初だけ、不安を救ってくれたのは「絵本」
長引く自粛生活に「おうち時間が長くなればなるほど、そして、感染への恐怖を感じれば感じるほど、前向きな気持ちだけでは過ごせないのが正直なところです」と話すフリーアナウンサーの吉田明世さん。自粛生活のモヤモヤの救いとなったのは…? フリーアナウンサー吉田明世の子育てエッセイ8回目は「自粛生活のモヤモヤ。私を救ったのは絵本でした!」です。
長引く自粛期間。前向きな気持ちだけで過ごせないと思うことも
季節は夏。みなさまいかが過ごしでしょうか。緊急事態宣言が解除されているとはいえ、自粛生活が始まって、およそ4カ月。先の見えない不安な毎日、これまでと違った生活に、みんながいろいろなストレスを抱えていることと思います。
私自身も、緊急事態宣言を受けて娘が保育園をお休みするようになってから、親子で一緒に過ごす時間がぐっと増え、最初のほうは「こんなに一緒にいられる機会はなかなかないし、娘の成長をより間近で感じられるなんて、これはこれでとっても幸せなことだ!」と前向きに楽しく過ごしていました。しかし、おうち時間が長くなればなるほど、そして、感染への恐怖を感じれば感じるほど、前向きな気持ちだけでは過ごせないのが正直なところです。
とくに今年は、梅雨が長引いたせいで、ちょっとした気分転換に近所をお散歩でも…というわけにもいかず、ありあまるおうち時間をどう過ごしていいか戸惑うことも。しかし、そんな心も天気もすっきりせずモヤモヤとした中で過ごす日々に、私の救いになったものがあります。
それは、絵本の存在です。
ステイホーム時間に、絵本の読み聞かせをたっぷり!
実は、昨年から「絵本専門士」という資格を取るべく、絵本についての勉強をしていました。なので、わが家には、赤ちゃん向けのものから、大人も楽しめるものまで、さまざまなジャンルの絵本があります。でも、日々の生活や自分の仕事に追われて、まだ娘に読んであげられていない絵本もたくさんありました。
というのも、それまでの娘はというと、絵本を読み聞かせても集中力に欠けていたり、すぐ飽きてしまったり、「あまり絵本が好きではないのかな?」と感じることもたくさんありました。しかし、ここ数カ月で、絵本を読み聞かせる時間が増えれば増えるほど、比例するかのように、みるみる絵本が大好きになったのです。こんなにも娘と一緒にたくさんの絵本を読んだのは初めてだったかもしれません。今となっては、朝起きてすぐ、日中、夜寝る前と、四六時中、「これを読んで!」と絵本を自分で持ってくるようになったほど。そして、気づけば私のまねをして、つたないながらも、一人で絵本を声に出して読む姿も見受けられるようになりました。
もし、お母さんたちの中で、以前の私と同じように「絵本を読んであげたいけど、うちの子はあんまり…」と思っている方がいたら、ぜひ、あきらめないでほしいのです!笑
なぜならば、きっと、子どもはみんな、絵本が大好きだからです。
少しばかり、反応が悪くても、それは、絵本の楽しさにまだ気づいていないだけ。きっとどこかに“絵本大好きスイッチ”が潜んでいるはず。と、私は思うのです。
「絵本専門士」の資格をとったことで、絵本の楽しさを改めて感じています!
子どもに絵本を楽しんでもらうために、私が大切だと感じていることがあります。
まずは、お母さん・お父さん自身が楽しそうに読むこと!
ちょっととちっちゃっても、ページをめくるのにもたついちゃっても、そんなの全然気にしなくていいんです。親が楽しそうにしていると、子どもも楽しくなるもの。そして、絵本は書いてある文字を正しく読まなくても大丈夫。子どもたちが気になったところで、お話が脱線しても、一緒に注目しちゃっていいんです。子どもって、本当によくこんなところに目がいくなぁと感心してしまうほど、じっくりと絵本の中のイラストを観察しているのです。
次に、絵本はたくさんそろえなくても大丈夫だということ!
子どもたちは、同じ絵本を何度だって楽しむことができます。初めての絵本が、どんな展開なのか、ドキドキワクワクするのはもちろんなのですが、読んだことのある絵本こそ、子どもたちに絵本の楽しさを知ってもらえるチャンスだと私は思います。次がどんな展開か、次はどんな動物が出てくるか、絵本の展開が自分の記憶の中にある展開と同じであること、自分がこのお話を「知っている」ことを、子どもたちはうれしく思うのです。同じお話を何度も楽しむことができるなんて、子どもって本当にすてきでかわいい存在ですよね。
私自身、日々悩みながら、不安になりながらも、絵本の楽しさをあらためて実感することのできた自粛生活でした。
めざしていた絵本専門士にも、先月無事認定されたので、これからは一人でも多くの子どもたちに絵本の楽しさが届くよう、何かの形で活動できたらいいな、と思っています。
文/吉田明世 構成/ひよこクラブ編集部
「おすすめの絵本もご紹介したいところですが、それは、またの機会に。子どもたちも、お母さんもお父さんも、みんなが笑顔で過ごせますように」と長引く自粛生活に対してメッセージをくれた吉田明世さん。日々の遊びの中に絵本を取り入れて、親子でおうち時間を楽しめるといいですね。
吉田明世(よしだあきよ)
Profile
1988年生まれ。2018年5月に女の子を出産。TBSのアナウンサーを経て、19年にフリーとなり、テレビ・ラジオ・イベントなど幅広く活動中。現在は『THE TRAD』(TOKYO FM毎週月曜~木曜15時~)、Amazonプライムビデオ『プロ野球そこそこ昔ばなし』にレギュラー出演中。