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AIの時代に生きる子どもたちに必要な「非認知能力」、実体験こそが重要と小児科医

2 人の子供の部屋で遊んで
maroke/gettyimages

日々進化しているAI(人工知能)。子どもたちが大人になるころには、さらに高度な技術が実現しているはず。そんな時代に生きる子どもたちに必要な力とはなんでしょうか。「小児科医は子どもの代弁者であるべき」という考えに基づき、子どもに寄り添う医療を行っている、慶應義塾大学医学部・小児科教授の高橋孝雄先生に聞きました。

「非認知能力」はさまざまな実体験を通して子どもが自ら育てていくもの

オセロや将棋で人間に勝つなど、思考する力をつけているばかりか、小説を書くなどクリエイティブな作業も可能になっているAI。AIの時代に生きる子どもたちには「非認知能力」が必要になるといわれています。

--「非認知能力」というのは、わかるようで実はよくわからない言葉です。具体的には、どのような力なのでしょうか。

高橋先生(以下敬称略)「遊びや日常生活の中で子どもが自然と身につけていく力」だと私は考えています。「考える力」、もっと具体的には「考えつく力」「考え出す力」とも言えます。教育により身につく「認知能力」、いわば「知識という力」の対極にあるものです。
教育を通じて身につく知識(認知能力)も、もちろん大切です。認知能力が「教えられる」という受け身の姿勢を通じて養われる部分が大きいのに対して、「考える力(非認知能力)」は、遊びや日常生活の中で子ども自身が自発的に考え、行動し、いつの間にかはぐくまれるもの。すべての子どもが「考える力」の“芽”を持っていて、それが自然に育ち開花する、というイメージです。

――「非認知能力」は、だれかが教えて伸ばしていくものではないんですね。遊びや日常生活の中で、どのように身につけていくのでしょうか。 

高橋 ママやパパ、お友だち、先生など多くの人々とのかかわりの中で喜怒哀楽の感情を刺激され、「考える力」は育っていきます。
大切なのは、日常生活の中でたくさんのことを実際に体験すること、つまり実体験を重ねることです。楽しいこと、うれしいことなど、子どもにとって好ましい実体験だけでなく、悲しいこと、くやしいことなど、好ましくない実体験も含めてです。こうした実体験によって喜怒哀楽の感情がゆさぶられることが、子どもの「考える力」の芽を刺激し、成長させ、花を咲かせるのです。

「考える力」が育つ場は「普通の生活」の中にこそある

「考える力」は、親が「身につけさせよう」と働きかけて伸ばせる能力ではない、ということがわかりました。
でも、子どもが「考える力」を伸ばしていくにはママやパパの働きかけも大切、と高橋先生は言います。

――子どもが自然と「考える力を」を身につけるのを応援するというのは、何かを教えるよりも、ずっと難しい気がします。

高橋 「教える=教育する」ことで身につく認知能力は、「できる」「知っている」ということが目的なので、成果を評価しやすいですよね。
一方、日々の生活の中で子ども自身が身につけていくよりない「考える力(非認知能力)」は、目に見えるものではないし、正誤判定もできない。だから自然に任せるしかない、というのが私の考えです。
もちろん、「自然に任せる」ということと「無関心にほうっておく」ということは違います。特別な教育や体験は必要ない、ということです。

――普通の生活の中に、子どもの「考える力」をはぐくむ機会がたくさんあるということですね。たとえば、どんなシーンが考えられるでしょうか。

高橋 まずは「遊び」のシーンです。「何して遊ぶ?」と子どもに聞いたら「外に行く!」と言われたとします。そのとき「暑いからダメ。家の中で積み木をしよう」と大人が結論を示すのではなく、「外は暑そうだね、ちょっとベランダに出て確かめてみようか」と誘ってみる。そして実際にどれくらい暑いか親子で体験したのち、「ビックリするくらい暑かったね~。外に出られそう?」と子どもに聞いて考えさせる。「暑くてダメ…」と答えたら、「そうだね、じゃあ何して遊ぼうか」とさらに考えさせ、「お部屋で積み木をする」と提案させる。
実際には酷暑で危険な外遊びを回避し、室内遊びに誘導しているわけですが、子どもに暑さを体験させ、なぜ外に出られないのか、外に出られないなら何をして遊ぶか、自分で答えを探し出してもらう。この一連の作業が「考える」ことであり、その繰り返しが「考える力」につながっていくのだと私は思います。考えつかせる、考え出させることがポイントです。
こういうことって、ママやパパは日々の生活の中で意識せずにやっていませんか?だから「特別な教育や体験は必要ない」なんです。

――日常生活の中でいろいろなことを実際に体験し、子ども自身が考え、行動することが大事なんですね。では、非日常的な、感情を大きく揺さぶるような体験は、「考える力」の育ちにプラスになりますか。

高橋 日常を離れた珍しい体験は、確かに貴重なものであり、子どもの感情をゆさぶりますね。いい刺激になるでしょう。
でも、そういった特別な体験ばかりが続くと、しだいに慣れてしまい、感情の動きが鈍化してしまいます。どんなに豪華なごちそうも、毎日続いたらいつか飽きてしまうのと同じです。非日常の体験は、日常ではないからこそ感情を刺激するのです。

――「自分で考える力を伸ばす」ことを目的にした幼児教育が最近人気です。先生の考えを教えてください。

高橋 子どもに学びの機会を与えるのはいいことだと思います。でも、これまでお話ししてきたように、「考える力」は元来、教育によってはぐくまれるものではないので、「この教育法で考える力がぐんぐん伸びる!」など、過度の期待は抱かないほうがいいかなと思います。子どもが楽しく通っているから続けよう、くらいの気持ちでいてほしいです。
あと、教室への行き帰りは、単なる移動時間ではありません。親子のコミュニケーションの場として大切にしてほしいです。「今日は何して遊ぶんだろうね」「何が楽しかった?」などと問いかけてみませんか。そんな何気ないやり取りで、子どもなりに回答を考えることこそが「考える力」につながるのでは。

人の気持ちに共感する力はAIにはない。人とかかわる仕事は人にしかできない

AIが進化すれば進化するほど、人がしていた仕事をAIに奪われるのではないか…という危機感が高まりそうです。子どもたちが大人になるころは、それがますます深刻化しているかもしれません。
でも高橋先生は「人間にしかできない仕事はある」と言います。

――これからの時代は、AIと共存しつつ、自分らしく生きていく道を探すことになると思います。そのとき、「考える力」がどのように子どもたちの支えになるのでしょうか。

高橋 AIは「認知能力」のかたまりですから、認知能力では人間には負けるはずがありません。でも、これから先も「非認知能力」では、AIは人間には勝てないはずだと私は考えています。
人の感情は揺らぐものです。それに共感し、対応することは、同じ人間にしかできないからです。AIがどんなに進化しても、人と人がかかわる仕事は人間にしかできないはず。そして、こうした仕事は「考える力」がないと務まりません。

――「考える力は遊びの中で育つ」とのことですが、新型コロナウイルスが発生する前と比べ、子ども同士で遊ぶ機会がかなり減っていそうです。この状況について、どう思われますか。

高橋 とても心配しています。共感力や相手を説得する力などは、ゲームや大人との遊びだけでは得られないからです。
ママやパパが新型コロナウイルスの感染を心配する気持ちもよくわかります。でも、これからの時代を生き抜いていくために必要な「考える力」をはぐくむためには「普通の生活」が不可欠です。子ども同士であたり前のように遊ぶ機会を、子どもたちから奪わないでいただきたいと思います。

お話・監修/高橋孝雄先生 聞き手/東裕美、ひよこクラブ編集部

子どもの「考える力(非認知能力)」は遊びや日常生活の中で自然に育っていくもので、親にできるのは、日常生活でたくさんの実体験をさせてあげること。そして、子どもが自ら「考える力」をはぐくんでいくのを見守りつつ、手助けをすることが大切です。

高橋孝雄先生(たかはしたかお)

Profile 
慶應義塾大学医学部・小児科教授。医学博士。専門は小児科一般と小児神経。1982年慶應義塾大学医学部卒業。1988年から米国マサチューセッツ総合病院小児神経科に勤務。ハーバード大学医学部の神経学講師も務める。1994年より慶應義塾大学小児科で、医師、教授として活躍。高橋先生の最新著書「子どものチカラを信じましょう 小児科医のぼくが伝えたい 子育ての悩み解決法」(マガジンハウス)には、「『最高の子育て』とは何か」のヒントが詰まっています。

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