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発達がゆっくりめな赤ちゃんにおすすめの「中心軸遊び」って何?

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彼女のラップに横たわっている間、母親を見ている小さな赤ちゃん
※写真はイメージです。
Prostock-Studio/gettyimages

近年、小学生の運動能力が低下しているといわれています。赤ちゃん時代からできることはあるのでしょうか? 子どもの療育にも携わっている鍼灸師の渡辺早美さんに、問題となることと改善のためにママやパパができることを聞きました。

発達を促す「中心軸」遊び

「体の機能は使わないと発達が進みにくくなるといわれます。筋肉も自由に使えない状態では、十分発達しにくいんです」と話すのは、鍼灸師の渡辺早美さん。

渡辺さんは、小児鍼灸を行うほか、ドイツで開発され、欧米では医療保険適応されている、「DP(ディベロプメンタル<発達>プログラム)」という赤ちゃんや子どもの発達をサポートするプログラムの認定トレーナーでもあります。

「25年ほど前、うつぶせ寝が危ないといわれるようになったころから、赤ちゃんの発達の様子が変わってきたといわれています」(渡辺さん)

親をサポートしてくれる便利グッズに頼りすぎが発達を遅らせる!?

「たしかにうつぶせ寝は、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高めるので、避ける必要があります。でも、その余波でうつぶせ姿勢での遊びをしない子が増えたことと、バウンサーやベビーソファなど、親をサポートしてくれる便利グッズが多くできて、腰がすわる前から、おすわりをさせられている赤ちゃんが増えたあたりが、トラブルの誘因になっている様子が疑われます」(渡辺さん)

腰が座る前の赤ちゃんが、あお向けや安全な状態のうつぶせの姿勢で遊ぶことはとても大切です。あお向けなら手足を動かして両手を組んだり、手で足を持ったりしますし、うつぶせなら、腕で体を支えて頭を持ち上げて顔を左右に動かしたりします。

「そういった動きをすることで、赤ちゃんは自分のボディイメージをつかみ、体の中心軸を覚えていきます。けれども、腰がすわる前の時期から便利なグッズなどによっておすわり姿勢をしていると手で足をつかめませんし、腕で体を支えることもできません。おすわり時間が長くて手足をつかむようなことができなければ、発達が遅れる可能性が出てくるというわけです」(渡辺さん)

問題なのは、バウンサーやベビーソファなどを使うことではなくて、毎日、長く座らせたままにしてしまうこと。子どもは目線が高くなるので、比較的機嫌よく座っていることが多いのもあり、親のかかわりが少なくなりがちなのも問題です。

「いつも抱っこしたままというのも、心配です。置くと泣くから抱っこしたまま、抱っこひもに入れたまま、おんぶしたまま…などは2人目の子に多い印象ですが、結果、手足を自由に動かす機会を奪うことになります。抱っこは親子のかかわりと思っている人が多いですが、目と目を合わせず、やりとりがない場合は、かかわりではないんです」(渡辺さん)

もっともこういう小さい発達については、大きな発達の遅れに直接つながるわけではないので、小さい月齢の乳幼児健診で指摘されることは少ないでしょう。でも小さい発達の遅れは、成長とともにその差が開いていくことが多く、小学校に通うぐらいになると、わかりやすくなってくるそうです。

「まっすぐな姿勢で座れない、片足立ちやスキップができない、まっすぐな線を書けない、よく転ぶ…これらはすべてボディイメージや体の中心軸に関係しています。発達障がいのグレーゾーンということで療育相談にこられる子には、こういう子が多くみられます」(渡辺さん)


「グレーゾーンの中でも、発達の空洞時期があって発達が遅れている子は、適切なサポートをすると、抜けていた脳のコンセントにプラグが差し込まれたようによく反応して、遅れを取り戻せることも少なくありません。

ただ、サポートを開始が遅くなるにつれて、遅れを取り戻すまでに長い時間が必要になってきます。ですから、最も大事なのは、発達する時期に、発達に見合った行動を妨げないこと。そして早期発見・早期サポートをすることなんです」(渡辺さん)

ボディイメージをつかませ、発達を促す 「中心軸」遊び

「中心軸遊び」は、ボディイメージを獲得させ、ひいてはすべての体の動きや発達を促すための方法です。

ママ(パパ)は、壁などに体をもたれかけさせて座り、両脚の上に赤ちゃんを寝かせます。赤ちゃんの両脚は開いて、ママ(パパ)の体をまたがせるようにします。赤ちゃんの頭が下がらず、あごをひく姿勢が取れるように、深い位置に寝かせ、首の下に、タオルなどを敷くといいでしょう。少し大きい子は、床に寝かせてもかまいません。

親子で目と目を合わせ、ママ(パパ)は赤ちゃんの両手を持って、打ち合わせたり、手を赤ちゃん頭にもっていったり、おなかを触ったりして遊びましょう。

親子のコミュニケーションをとりながら発達を促そう

「赤ちゃんの両脚を持って、足を打ち合わせるのもおすすめです。こうやって手、足同士の合わせることが、赤ちゃんの中心軸の理解を促します。

でも難しいことは考えず、赤ちゃんの機嫌がいいときに、遊びの1つとして楽しんでみてください」(渡辺さん)

監修/渡辺早美さん 撮影・取材・文/笹川千絵、ひよこクラブ編集部

忙しいママやパパをサポートしてくれる便利グッズですが、頼りすぎると弊害があることも知っておきたいもの。ぜひ毎日の遊びの中に、「中心軸」遊びを取り入れてみましょう。
また、「寝かしつけが難しい、夜泣きがひどい、よく泣く赤ちゃんなどにはDPに加えて小児鍼灸の施術も効果的」と渡辺さんは言います。

渡辺早美さん(わたなべはやみ)

Profile
鍼灸師。柔道整復師。鍼灸あのん和療院院長。DP(ディベロプメンタル<発達>プログラム)認定トレーナー。2016年に鍼灸あのん和療院(東京・小平市)を開院。整体・鍼灸経絡治療を行う傍ら、関東地区の鍼灸師&関西地区の指圧師とともに、DPプラグラムの普及に取り組んでいます。3人の女の子のママ。
鍼灸あのん和療院

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