ファッションエディター、小脇美里、育児で眠れなすぎで「私ってダメな母親」と、負のループに
2児の母であり、エディターや整理収納アドバイザーとしても活躍中の小脇さん。
今回は、1人目育児のときに日々悩んでいた「眠り」について、当時の自分自身やママ・パパに、今だからこそ伝えたい、ホンネを語ります。小脇美里の「子育てのホンネ」Vol.13 です。
「私ってダメな母親」と、負のループにハマっていました
突然ですが、あなたはちゃんと眠れていますか? 今回は長い夜を乗り越えよう、という話をしたいと思います。産後は授乳や夜泣きで睡眠不足になり、眠れないと悩む人が多いです。まさに私もそうでした。長男はとにかく寝ない子で、私が2時間以上続けて眠れたのは、授乳を終えた1才半ごろ。1年半も、2時間ごとにたたき起こされる日々は本当にしんどく、そこに育児の不安も重なり…。思い返すと、当時は産後うつに近い状態だったのかもしれません。
息子を寝かせるために、書店に並ぶネントレ本のほぼすべてを読みましたが、思うようにはいかず、夜が来るたびに憂うつになりました。インターホンの音、窓からうっすら差し込む朝日、ドアの開け閉めの音などでも息子は起きてしまうため、あらゆることに注意をはらいました。背中スイッチが敏感すぎて、私のおなかの上から下ろせなかったり、昼寝中はずっと立ってゆらゆらしないと寝なかったり…。カフェなどですやすや眠る赤ちゃんを見ては、「うちの子、おかしいのかも…」と悩み、小児科に行ったほどでした(もちろん、何も異常はなく、先生に「それは個人差だからね」と慰められ終了)。
真っ暗な部屋で、泣く息子を抱え、まるで世界から取り残されたような気持ちになりました。何を考えてもマイナスな方向にしか気持ちが向かず、「ああ、こんなに息子を泣かせて、私ってダメな母親だ」「今日も何もできなかった」「子どもを満足に眠らせることもできない」なんて気持ちがムクムクとわいてしまい、負のループにぐるぐるとハマっていました。
悩みや不安を紙に書き出し、気持ちを切り替えています
そうして日々“眠り“に悩んた私が、ご縁があり、3年前から老舗寝具メーカー「西川」で寝具のプロデュースをさせていただけることに。創業454年目を迎える「西川」は、寝具や眠りを研究し続けているいわば眠りのプロ。私の悩みを話すと、やはり夜はだれしもがマイナス思考に陥りやすいこと、眠るべき時間に活動をすることは体にも心にも悪影響を及ぼすことを学びました。当たり前のことと感じますが、ママになるとこの当たり前に気づけないほど、追い詰められることもあります。
そんな経験をしたからこそ、2人目は生後すぐから眠りやすい環境を整え、私も敏感になりすぎず、物音のする場所でも眠らせてみたりして、長男よりは眠る子になりました。夜泣きがひどい日でも「夜さえ乗り越えたら大丈夫」という感覚があるからか、あのころのように追い詰められることもなく、経験ってすごいと感じます。あれもしなきゃ、これもしなきゃ…と眠れずに悩んだ過去の自分に声をかけるとしたら、「とにかく寝ろ!!」と伝えたいです。本当に追い詰められているときって、電話で悩みを相談する気力すらないものですが、私は今、悩みや不安があると紙に書き出すようにしています。紙に書いたことはもう頭から出たものと認識し、とにかく寝る。アロマなどで気分を変えてみるのもおすすめです。それでも眠れないときは、布団から出て『ちびまる子ちゃん』を読み、クスッと笑って心をほぐしています。
日々いろいろな情報があふれ、簡単に気持ちが悲しい方向に持っていかれそうになりますが、自分なりに情報の取捨選択をして、そして気持ちの切り替え方法を見つけてほしいです。そして、とにかく夜を乗り越えて。すべてのママ・パパが、明日も笑って過ごせることを願っています。
文/小脇美里 撮影/辻田美咲[miicha_photo] 構成/ひよこクラブ編集部
小脇美里さん(こわきみさと)
Profile
アパレルプレス&デザイナーを経てファッションエディターに。整理収納アドバイザーや商品企画のプロデュースなど多岐にわたり活躍。2015年に第1 子、19年8 月に第2 子を出産。19年の経済部門ベストマザー賞を受賞。