忘れ物が心配! でも自立させたい! 子どもの学校の持ち物いつまで見るの?
子どもの学校の持ち物っていつまで親が確認したほうがいいの?という疑問について口コミサイト「ウィメンズパーク」ママたちの意見を集めてみました。現役小学校教諭の景山功一さんと堀川紘子さんのアドバイスもあるので参考にしてくださいね。
子どもの性格や家庭の状況によってさまざま
ランドセルの中身より、机周りをチェック!
「息子は4年生で基本的には自分ひとりで準備できるようになりました。私は、ランドセルの中身よりも机回りや部屋に出ているものがないかチェックするようにしています」
自分ですると決めてからはノータッチ
「2年生から突然、『自分でやるから!』と言って、学校の準備と次の日の洋服選びをしています。私が手を出すと、怒られます…なので、チェックもしていません。忘れ物したら自業自得だと思っています。下の子は来年1年生ですが、甘えん坊なので、ひとりで準備できるのはいつだろう…と予測不能です」
時々抜き打ちでチェック
「1年生時は一緒に、2年生の今はほぼ自分でしています。時々抜き打ちでチェックしますが、持ち物は準備できています。が、片づけ苦手な子なので、プリントがランドセルの底で丸まっていたり、筆箱の中にあるはずの鉛筆が散乱していたり、使用済みのハンカチが入っていたりと問題はまだまだ。そこは練習中です」
まだまだ親のチェックが必要
「3年生ですが、まだまだ親の介入が必要です。多少親をあてにしている感があるので、まずは自分でやってもらって、後から声かけしています。声かけしているのに、やらずに忘れ物した時は自己責任ということで。担任からも、まだ見てあげてくださいと言われています」
宿題が終わったら準備を習慣化
「うちは、宿題が終わったら、すぐ鉛筆を削り、持ち物の準備をします。1年生の息子は、学校が6月に始まってからすぐ、自分でやっています。上の子を見ているので、自然に覚えたんだと思います。でも、気になって子どもが寝てから、こっそりチェックしています。数日前、『削った』と言っていたのに、鉛筆を削っていませんでした…」
持ち物の用意も人それぞれ。子どもも保護者も心地よい距離感で続けられることが大切。
少しずつひとりでできるようになるために親はどのように関わるといいのでしょう。京都市公立小学校教員である景山功一さんと堀川紘子さんにアドバイスを聞きました。
「上記のママたちのお子さんの姿からも、子どもによって持ち物チェックが異なることがわかります。教科書やノートを先に入れたい子、鉛筆を削ることを先にやりたい子もいます。1年生の時から自分で全てやりたい子も入れば、給食の用意や体育の用意は一緒にやってほしいと思っている子もいるように、用意の順番も人それぞれ。持ち物チェックのやり方や、いつまで一緒にするかというのは、子どもによって違います。
はじめは、持ち物を子どもと一緒に確認しながら準備するのがいいですね。一緒に準備する中で、その子どもが準備する時に上手にできることや、苦手なことがわかってくると思います。例えば、チェックリストのようなものがあれば自分でできる子、カバンへの荷物の入れ方の写真を見ながらであればできる子など、その子にあったサポートの方法があります。
また、『失敗を経験させることでやる気が出るタイプ』と、『できるだけ失敗せず小さな成功体験を積み重ねる方がやる気が出るタイプ』など、子どもによって物事の習得方法にも違いはあります。大人が何かを習得する時に『失敗経験が必要だ』と思っていても、子ども自身は失敗がやる気につながらないこともあります。どのように関わっていくか、子どもと過ごす中で探りながら決めていきましょう。
自分ひとりでやりたがる場合は、初めは親がチェックし、次はこっそりチェックするなど、子どもと持ち物のチェックの仕方を相談しながら決めていくといいですね。子どものチャレンジを応援するために、学校の先生に伝えておくという方法もあります。例えば、学校の先生に『家で持ち物を自分で用意することに挑戦しているから、もし忘れ物が多かったらこっそり伝えてほしい』と、相談しておけば学校での様子を知ることができます。
子どもの忘れ物に悩む場合も事前に学校に伝えておくと、保護者も担任の先生も安心して子どもと関わることができます。私たち小学校教員も、むしろ子どもたちが家でこんなことにチャレンジしているということを教えていただけると、学校でもそのチャレンジを応援することができます。
『答えはひとつではない。方法はひとつではない。成長のあゆみも一様ではない』
学校では、カリキュラムがあるため、ほかの子たちと同じようなペースで学ばなければならないと思いがちですが、それだけではありません。寄り道してもいいし、学ぶペースもみんな一緒でなくてもよいのです」(景山功一さん、堀川紘子さん)
子どもの成長を促す親のサポート
●つかず離れずのお互いが心地よい距離感でサポートを
低学年だから親が一緒に用意をしなければならない、高学年だから子どもがひとりで用意をしなければならないという決まりやルールはありません。「一緒に用意する」「横で見守る」「子どもの背後からそっと見守ってあげる」「こっそり確認してあげる」など、サポートの方法や見守り方も様ざまです。子どもも大人もお互い無理のない関わり方を見つけましょう。
●「I(アイ)メッセージ」で伝える
注意する時に、「学校の用意ぐらい自分でしなさい」と、つい子どもをコントロールするような発言をしてしまいがちです。これを「学校の用意が自分でできるようになったら、私はとってもうれしいよ!」などと、「Iメッセージ」に変身させましょう。子どもたちは、人の役に立ちたい、「ありがとう」と言われたい、「褒められたい」という気持ちをもっています。「Iメッセージ」で子どもも、大人もハッピーな気持ちになりましょう。
●サポートする時は、「こうすれば上手にできるよ」という声かけを
持ち物の用意が上手にできなかった時に、「なんでできないの!」ではなく、「こうすれば上手にできるよ」と、伝えることが大切。持ち物の用意の仕方がきちんと理解できていないのに、「なぜできないの!」と注意してしまうと、子どものやる気を奪ってしまうので注意しましょう。
●できたことを褒めてやる気アップ
学年が小さい時ほど、子どもにとって「褒められた」という経験はエネルギーになり、やる気につながります。たとえ9割上手に準備できていないとしても、残りの1割が上手にできていたら、うんと褒めましょう。
●準備もゲーム感覚で達成感を味わわせて
持ち物の用意ができていたらシールをもらったり、カードに色を塗ったりして、ゲーム感覚で達成感を味わいながら進める方法も。シールやカードがなくても、用意ができていればカレンダーにチェックを入れていくなど、親も子どもも無理せず続けられるものから始められるものでOK。
先生はもちろん、ママたちのサポートもとても参考になりますね。本当に子どもの成長は人それぞれです。忘れ物の頻度が多いと、ついできないことばかり目を向けがちですが、褒めて伸ばすが大事なのですね。(文・酒井範子)
景山功一さん
教師歴22年。L D等通級指導教室担当。子どもや保護者の悩みにターゲットをあてた、「どうすればできるか」「自信ややる気につながるか」を追求している。
堀川紘子さん
教師歴10年。特別支援教育デザイン研究会・委員。情報モラル教育の研究が専門。「ネット社会の歩き方」の教材開発やテキスト作成、実践発表などを行なっている。
■文中のコメントは『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。