映画「トトロ」も話題に。令和の今、異性の子どもとの入浴、いつまでOK⁉【ママ泌尿器科医】
ママであり泌尿器科医でもある岡田百合香先生の連載第12回。今回のテーマは、「異性の子どもとの入浴」について。まだ先の悩みだと思っていても、案外すぐに子どもは成長するもの。悩んだときのために、具体的な判断材料をお伝えします。「お母さんのためのおちんちん講座」ママ泌尿器科医#12。
映画にある父娘の入浴シーン、どう思う?
最近、私が小さいころ見ていたアニメを、子どもも一緒に楽しめるようになってきました。『となりのトトロ』がお気に入りですが、親になってから見るとまた違った発見や感想を持ちます。
その一つが「お父さんの子育て」。
お母さんは病気で入院しているので、お父さんが2人の娘(さつき12才とメイ4才)を育てています。子どもたちへの向き合い方、声のかけ方がどれをとっても思いやりやユーモアにあふれていて、今から30年以上前にこの父親像を描いたことに驚きます。
さて、そんな名作『となりのトトロ』の中に、性教育にも関連する注目シーンが最近話題になったことをご存じですか?
それは「お父さんと娘たちの入浴シーン」です。湯船にお父さんと娘2人が一緒につかり、楽しく過ごすシーンが描かれています。とてもほほえましいシーンですが、欧米の方にとっては驚きの場面でもあるようです。
銭湯や温泉施設では、7~11才までが一般的
4才のメイはともかく、12才のさつきが異性である父親と一緒におふろに入ることについて、みなさんはどう思いますか。
実は、私が行っている講座でも「異性の子どもとの入浴はいつまで問題」は頻繁に話題になります。
いろいろと調べてみると、「小学校低学年まで」という家庭が多いようですが、中には「中学生になっても一緒に入っている」という家庭も。
銭湯などの公衆浴場はどうでしょうか。実は自治体ごとに年齢制限が設定されているのですが、7~11才と幅があります。
なので、「○○県の温泉では8才の異性の子どもと一緒に入れたのに、△△県では入れない!」ということも起こり得るんですね。ほかにも独自に身長制限を設けている浴場もあります。
子どものサインを感じたら、大人が入浴を強要するのはNG
性教育の本には「異性の親とおふろに入るのは小学校低学年までにすべき」とはっきり書いてあるものもあります。一方で、体つきの変化や「異性」を意識する年齢は個人差もかなり大きいもの。「まだママ(パパ)と入りたいよ〜」と子どもが言うような場合には、なかなか親から「NO」と言いにくいですよね。
個々の家庭の事情や、子どもたちの個人差もあるので、一律で「異性の子どもと一緒に入浴するのは○才まで!」と決めるのは難しいですが、次のような場面は一緒に入浴するのをやめる、一つのきっかけになるかと思います。
・子どもが親と入浴することに疑問や違和感を抱く
「○○ちゃんは1人で入るんだって」「ママ(パパ)とは入らない」といった言葉・サインを感じたら、それを必ず尊重してください。間違っても「え〜、さみしいからまだ一緒に入ろうよ」と親が一緒に入ることを要求したり、「大人ぶっちゃって~」とからかったりすることのないように。
・親が子どもと入浴することに違和感を抱く
子どもの体つきの変化が始まり、「そろそろ別に入ったほうがいいかな」という感覚を親が持つタイミングがあれば、一つの重要なきっかけです。子どもはまだ一緒に入りたいと望む場合も、「プライベートゾーン」の話や、異性は基本的に一緒に入浴いいでしょう。
子どもの“1人おふろ”デビューは、安全面の確認を
さて、性教育の話からは少しずれますが、おふろに関して忘れてはいけないことがあります。それは「おふろは子どもにとって危険な場所でもある」ということです。
実は乳幼児の事故の中で、家庭内浴槽での溺水は少なくありません。子どもは10cmのお湯でもおぼれることがあり、また、暴れたり騒いだりすることなく静かにおぼれます。中には死亡や後遺症を負うケースもあります。
親の目の届かないところで未就学児を一人で入浴させるのは非常に危険なのでやめてください。小学生でも発達の程度や持病、体調によってはおふろが命を脅かす場所になり得ます。
おふろに1人で入れるようになる時期には、「安全に入れるか」という視点も大切にしてください。
構成/ひよこクラブ編集部
異性の子どもとの入浴は、成長を感じるにつれ悩む問題です。子どもや親が違和感を抱いたら、立ち止まって考えるタイミングのようです。間違っても、嫌がる子どもに「一緒に入ろうよ~」と要求しないよう、気をつけたいものです。次回も、ちょっと気になる性や性器にまつわる話をお楽しみに。