「おちんちんが小さい」男の子ママに多い悩み 大小に優劣を着ける時代はもう終りに、ママ泌尿器科医

今回のテーマはズバリ、「おちんちんの大きさ」について。ママであり泌尿器科医でもある岡田百合香先生が、力強いメッセージを発信しています。「お母さんのためのおちんちん講座」ママ泌尿器科医#6。
赤ちゃんのおちんちんの長さを測るのは困難
こんにちは。
今日は意外と多くのお母さんが気にしている「おちんちんの大きさ」について考えていきたいと思います。
私が行っている助産院での講座でも、「うちの子のおちんちんが、小さい気がして心配です」というお悩みを聞くことがあります。
身長や体重と同じように、陰茎(おちんちん)の長さにも、年齢に応じた目安の長さというのがデータとして出てはいます。
正常範囲を下回る場合には、まれではありますが染色体やホルモンの病気が隠れていることもあります。
ただ、とくに乳幼児の場合には下腹部の脂肪が厚く、陰茎の一部が皮下脂肪に埋もれてしまっているため、相対的に短く見えるだけのことも少なくありません。
正しい向き、ひっぱり具合で計る必要があるため、子どもの正確な陰茎の長さを計測することは意外と難しく、ご自宅で計って「基準より短い⁉」という不必要な不安を与えたくないので、具体的な数字はここには書かないことにします。
もし気になる場合には、乳幼児健診や予防接種の際などに医師に相談してみてください。
「おちんちんは大きいほうがいい」という考えを捨てよう
一方で、「うちの子のおちんちん、小さくないですか?」と心配されているお母さんの気持ちを深掘りしていくと、「病気ではないか心配」のほかに、「おちんちんが小さいせいでコンプレックスを持ったり、いじめられたりしないか心配」という要素も少なからずある印象です。
私は以前に、インターネット上で泌尿器科に関する質問を受けつけていたことがありますが、その際に10~20代の男性から「どうしたら陰茎を大きくできますか」という質問が非常に多く寄せられました。
若い男性にとって陰茎の大きさは大きな関心事のようですが、その背景には「男性器は大きければ大きいほど良い」「小さいことは恥ずかしい」という強い思い込み、社会の刷り込みがあるように感じます。
女性であるお母さんたちも、この刷り込みによって「わが子の陰茎も大きければ大きいほどいい」と思わされているのかもしれませんが、その考えは変えていく必要があります。
自分の父親に「うちの娘、胸が小さいのでいじめられないか心配」「小さいうちに、将来、胸を大きくするためにできることはないだろうか?」と心配されたら、正直、余計なお世話だと思いませんか。
そもそも男性器や女性の胸が「大きいほうが価値がある」というのはいつだれが決めたのでしょうか(歴史や文化をたどって研究してみたいです)。
陰茎の大きさにこだわり、悩む多くの若い男性を見る度に、当たり前のようにそういった情報を発信してきた、社会の状況のほうを変えていく必要があると思っています。
男性器や女性の胸といったプライベートゾーンはもちろんのこと、容姿や身体的特徴に優劣や社会的価値をつけて、人を評価したりからかったりすることは、誰かを傷つけたり生きづらさを生むだけです。
男性器はアクセサリーではないため、排尿や性行為が問題なくできればそれで正常です。身長や体格と同様に個人差はあるので、大きめ小さめといった違いはありますが、それ以上の意味はありません。
ママやパパから、お子さんのおちんちんの「大きさ」について言及することは避けてください。「小さい」と指摘することはもちろん、「大きくていいね、立派だね」というのもNGです。
陰茎の大きさに優劣をつける時代を終わりにしましょう。
構成/ひよこクラブ編集部
昨今、注目が高まっているジェンダーバイアス(男女の役割について、固定観念を持つこと)は、男性器の大きさについても言えるのですね。偏見を持たないようにわが子に接することが、社会を少しずつ変えることにつながるはずです。次回も、人には聞きづらい性器にまつわる話をお楽しみに。