コロナ禍で苦しいシングルマザー、ひとり親支援など抜け落ちてないかチェックを【専門家】
パート先でシフトが減らされるなど、コロナ不況のあおりを受けているシンママは少なくありません。しかし、シンママを対象にした支援を受けることで家計が持ち直すことも! ファイナンシャルプランナーで、自身もシングルマザーの丸山晴美さんに、コロナ禍におけるシンママの家計立て直し術について聞きました。
国からの「ひとり親支援」もらい忘れはないかチェックして!
新型コロナの感染拡大による経済的打撃により、非正規など立場の弱い労働者の雇用が危ぶまれています。とくに乳幼児を持つシンママは、子育てと仕事の両立がしやすいように非正規で働いている人が多いです。
「厚生労働省の発表によると、シンママ世帯の平均年収は243万円(平成28年度全国ひとり親世帯等調査より)。月約20万円です。けして余裕がある収入ではありません。そこでフルに利用してほしいのが、ひとり親のための支援制度です」(丸山さん)
シンママ向け国からの支援
18歳未満の子どもを育てるひとり親向けの国からの支援は、次の通りです(一部所得制限あり)。
●児童扶養手当 子ども1人当たり毎月1万180円~4万3160円支給される
●ひとり親家庭等医療費助成 親と子の診察代や薬代の一部または全額援助される
●母子家庭の住宅手当 住んでいる地域により異なるものの、支給額は5000~1万円が相場
●ひとり親家庭の遺族年金 配偶者が死亡した場合に受け取れる。支給額は、配偶者が加入していた年金の種類によって異なる
プラス、すべての親向けの「児童手当」や経済的な理由で給食費などの援助が必要な場合は「就学援助費」もあります。
「国からの支援は、お住まいの地域の役所でひとり親の手続きをしていれば、もらい忘れはほとんどありません。“もらい忘れがあるかも!”と思うときは、一度、役所で確認してください」(丸山さん)
自治体独自の「ひとり親支援」もあります
国だけでなく、自治体独自でも「ひとり親支援」を行っている場合があります。
「東京都は、児童扶養手当を受給していると“水道料金・下水道料金の免除”があるほか、都営交通が無料になる“都営交通無料乗車券”が発行されます。
また東京都渋谷区では、ひとり親家庭を対象に“日帰り施設利用の補助”として、ディズニーランドやディズニーシーに行くと2500円の補助を出すなど、市区町村独自で支援を行っている場合もあります。なかには公式ホームページなどで紹介していないこともあるので、詳しいことは役所の窓口で聞いてみましょう。
インターネット検索をしても見当たらない場合は、“ひとり親家庭が受けられる自治体の支援制度はありますか?”と聞いてもいいですし、困っていることを具体的に相談すると、ひとり親支援の情報が得やすいです」(丸山さん)
コロナ禍独自の支援は、3月末申請期限のものも
コロナ禍で新たに設けられた特別支援もあります。ただし申請期限が迫っているので、申請忘れがないかチェックを!
「3月末が申請期限のものは、休業などで収入が大幅に減り、家賃が払えない場合の「住居確保給付金」などがあります。
コロナ禍の国の支援は、意外と整っているので、厚生労働省のホームページをチェックしてください。
また東京都港区では3月末まで、ひとり親家庭にお弁当を提供する事業を行うなど、自治体独自の取り組みもあります」(丸山さん)
先行き不透明なコロナ不況に悩んだら、まずは家賃を見直そう
「前述の支援を受けても経済的に不安」というママで、賃貸物件に住んでいるなら家賃を見直してみましょう。
「公営住宅は、収入によって家賃が決まります。
国土交通省の公営住宅制度の概要によると
月収15万3000円以上17万8000円以下/家賃算定基礎額 5万3200円
月収17万8000円以上20万円以下/家賃算定基礎額 6万1400円
となっています。なかには競争率が高い物件もありますが、シンママは比較的入居しやすいと思うので、ぜひチェックしてみてください」(丸山さん)
お話・監修/丸山晴美さん 取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部
紹介した支援制度は、シンママだけでなく、収入制限などの条件をクリアすればシンパパも対象です。丸山さんは、「シングルの場合は、とくに情報収集が大切! 自分で調べて、気になることは役所の窓口に行って具体的に相談すると、解決の糸口が見つかるかも」と言います。
丸山晴美さん(まるやまはるみ)
Profile
ファイナンシャルプランナー。旅行会社勤務、コンビニ店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ゆとりうむプロジェクトの理事などを務める。近著に「シングルママの“お金に困らない”本」(徳間書店)。