新米パパたちからの育児の不安や悩みを小児科医に聞く

「赤ちゃんのお世話はママだけでなく、パパもして当然」。そんな世間の声がとてもいい追い風となって、積極的に赤ちゃんとかかわろうとするパパが増えているようです。でも、赤ちゃんとたくさんかかわればかかわるほど、悩みは出てくるもの。今回は0才代の子を持つパパたちの不安や悩みにについて、ベテラン小児科医の若江恵利子先生に答えてもらいました。
【0~6カ月ベビーのパパ】「耳掃除のコツは?」「ミルクをあげると嫌がる…」
まずは、0~6カ月の赤ちゃんを持つパパたちのお悩みから。赤ちゃんが生まれて数カ月たらず。「何をすべき?」「耳掃除が怖い…」など、小さな赤ちゃんを前に、とまどう様子がうかがえます。
【Q】新生児期にパパがしておくといいことはありますか?(0カ月・男の子)
【A】母乳での授乳以外のお世話は、ひと通りできるようになるといいですね。
ミルクでの授乳、寝かしつけ、おむつ替え、着替え、沐浴など、ひと通りのお世話をマスターしましょう。また、この時期、夜間の授乳は1時間おきになることもあります。ママが睡眠をとれるよう、家事を率先して行うなどのサポートもお願いします。
【Q】耳と鼻掃除が怖い…。上手にできるコツはありますか?(1カ月・女の子)
【A】耳の穴は皮膚が薄い場所なので傷つきやすく、奥まで綿棒を入れると鼓膜を破いてしまうことも。無理して奥まで掃除をしないでOKです。気になるなら、穴の入り口を軽くなぞり、外から見える汚れをふき取る程度にしましょう。綿棒にベビーオイルをつけ、目に見える範囲をなぞると、落ちにくい汚れが取れることも。
【Q】ママと比べて、僕にはあんまりおしゃべりしてくれません…(2カ月・男の子)
【A】すでにママとパパの区別がついているのかもしれません。なるべく優しい声で話しかけてみましょう。低月齢の赤ちゃんは、女性の声のほうが心地いいと感じることがあるようなので、パパはがっかりしすぎず、なるべく優しい声でたくさん話しかけるといいでしょう。また、赤ちゃんが声を出したら必ず返事をしてあげて。
【Q】夜、僕の帰宅の音で起きちゃう。生活リズムに影響が出る?(3カ月・女の子)
【A】3カ月ごろから体内時計が機能し、昼夜の区別がついてきて、夜の睡眠時間が長くなります。それに合わせて生活リズムを整えることが大切です。パパは赤ちゃんを起こしてかかわりたいこともあるかもしれませんが、グッと我慢を。できるだけ静かに帰宅しましょう。
【Q】母乳とミルクの混合ですが、僕がミルクをあげると嫌がります。(4カ月・男の子)
【A】母乳とミルクの混合かつ、母乳メインの子は、哺乳びんを嫌がることが多いものです。ミルク自体が嫌いなのかも。ただし、ママだとすんなり飲むなら、抱き方や哺乳びんの角度などの飲ませ方が好みでないのかも。まずはママのあげ方をまねしてみてください。
【Q】体温調節が気になります。肌寒い時期に気をつけることは?(5カ月・女の子)
【A】手のひらを触って汗ばんでいるようなら、暑い証拠です。着せすぎやかけすぎのことも多いので、1枚脱がすなどして調節しましょう。また、手のひらが冷たいと感じたら、腕を触ってみて。腕も冷たかったら寒いのでしょう。暖房や衣類で調節してください。
【Q】大人用ベッドで一緒に寝ています。ベッドは別にしたほうがいい?(6カ月・男の子)
【A】ベッドからの転落や、壁とベッドのすき間に頭が挟まって窒息の危険もあるので、大人用ベッドに寝かせるのは避けたほうがベターです。また、布団の場合も、大人用の布団は重すぎて赤ちゃんには不快。赤ちゃんにはベビー布団を使用し、敷布団、掛け布団とも大人と分けるのがいいでしょう。
【7カ月~1才ベビーのパパ】「抱っこで泣いちゃう…」「ダイナミックに遊んでOK?」
だんだんと赤ちゃんのお世話にも慣れてくると気になるのが、遊び方やかかわり方。パパが近づくと泣いてしまったり、パパと遊ぶのを嫌がったりする“パパ見知り”に悩まされる姿も! うまく乗りきるコツを、若江先生が教えてくれました。
【Q】“パパ見知り”が始まったら、赤ちゃんと2人きりは避けたほうがいい?(7カ月・女の子)
【A】2人きりの時間を増やすと余計に泣いて、パパとの関係がこじれてしまうかもしれません。無理に2人きりになるのは避けて。1日1回でも顔を合わせて覚えてもらったり、ママと3人で楽しく過ごせる時間をつくったりしてみるといいかも。1才ごろになるとパパ見知りも落ち着いてきますよ。
【Q】平日の夜、帰宅後に抱っこすると泣かれてしまいます…(8カ月・男の子)
【A】抱っこのタイミングが悪いのかもしれません。赤ちゃんがご機嫌で遊んでいたら、まずはその遊びにつき合って、楽しい雰囲気になってから抱っこを。急に抱っこするのはびっくりさせてしまうのでNGです。また、普段絵本を読むときに必ず抱っこするなど、パパの抱っこに慣れ親しませるのも効果的です。
【Q】このころの月齢の赤ちゃんとは、どんな遊びをするといい?(9カ月・女の子)
【A】9カ月ごろは、大人の身ぶりをまねする時期です。「げんこつ山のたぬきさん」などの手遊び歌は、言葉を覚えるきっかけにもなりおすすめです。また、お鍋をたたくなど、おもちゃ以外で工夫して遊ぶのは、想像力をはぐくみます。身近な日用品を取り入れて遊んでみて。
【Q】体を揺さぶるダイナミックな遊び、頭や体への影響はない?(10カ月・男の子)
【A】乳幼児揺さぶられ症候群は、明らかに激しい強さで、長時間赤ちゃんを揺さぶったときに起こります。赤ちゃんが喜んでいるようなら心配はありません。ただ、「たかいたかい」や肩車は、まれに転落の事故もあるので注意しましょう。
【Q】2人きりでお留守番のとき、グズッたらどうしたらいい?(11カ月・女の子)
【A】ママと一緒でも、泣いてグズることはあるもの。お気に入りのおもちゃや遊び方をママが熟知しているのなら、聞いておくといいでしょう。なぜ泣いているかを探ることも大切ですが、どうしようもないときは、抱っこして外に連れ出すのがおすすめです。
監修/若江恵利子先生 取材・文/ひよこクラブ編集部
赤ちゃんのお世話について、不安や疑問を抱くのはママにもパパにもあって当たり前です。「パパたちが心配していることや気になっていることを見ていると、赤ちゃんへの深い愛情が感じられました。自分が大切にされている、と感じられる子どもは、心身ともに健康に育つと思いますよ」と若江先生は言います。
参考/『ひよこクラブ』2020年12月号「赤ちゃん16人のすくすく成長日記」
若江恵利子先生(わかええりこ)
Profile
医療法人恵徳会 あさかクリニック 理事長。小児科医。東邦大学大森病院新生児科、愛育病院小児科を経て、栃木県で開業。「ひよこクラブ」の人気連載「すくすく成長日記」でもおなじみの先生です。お子さん2人のママ。