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AKB劇場での公演の合間に家電にハマり難関試験に合格、異色の経歴「家電女優」奈津子が母に

更新

家電に関する豊富な知識で、今やテレビ出演のみにとどまらず、専門媒体や主婦誌などの原稿執筆、取材とひっぱりだこの奈津子さん。15歳で女優としてデビュー後、アイドルグループSDN48のメンバー経験もある奈津子さんは、常に「自立」を求めて、自分の信じる道、目標に向かって挑戦し続けて来ました。そんな彼女を支えてきたのは、家族と何事も吸収しようと学ぶ力。迷ったり悩んだりする姿は、働く女性そのもの。現在第一子妊娠中の奈津子さん。働くママとしてまた一歩踏み出そうとしています。


前編では、小学校5年生のときに歯科医だった父がコンビニで倒れて寝たきりに、年の離れた2人の姉、双子の妹、母と女だけ5人の家族で「必死に生きてきた」という奈津子さんの家族の話や、女優として順調なデビューをするも、ストレスからいったん芸能活動を休止し大学に進学した話、その後演じる楽しさを思い出し芸能活動を再開した話などをお聞きしました。
そして表現というつながりからSDN48への加入。アイドルの厳しさを実感し、「瞬発力」と「根性」が身に着いたと奈津子さん。

前編に続いて、後編では奈津子さんの芸能界デビューからアイドル、そして家電女優として多くの編集者から頼りにされるまでの道を辿ります。

年間100冊の本で猛烈なインプットをし、家電女優へ

SDN48時代の奈津子さん。双子の妹とともに走り抜けた日々。

――― 奈津子さんが家電女優として活動を始めたきっかけを教えてください。

アイドル時代、公演の合間に、当時パフォーマンスをしていたAKB劇場近くの秋葉原のヨドバシカメラや電気街を一人でよく歩いていました。自分の実力不足で落ち込むことのあるなか、家電を眺めたり、量販店の店員さんとおしゃべりしているうちに、家電ってすごくおもしろいなと思い元気をもらっていたんです。毎日通って質問したり調べたりしているうちに、気がつけば店員さんに負けないくらい家電に詳しくなっていきました。

そのころは「家電が好き」ということは特に公にはしていませんでしたが、20代半ばのグループを卒業するタイミングで、仕事が来るのをただ待っているだけではなく、自分で種を撒けるようにならなくてはいけないと思いました。そのためには、これからは何か特技がないと、女優、タレントとしての活動の幅が広がっていかないだろうなと考えたんです。

そこで、女優で家電が好きなのは珍しいから、特技になるかもしれないと思いました。そのときに「家電製品アドバイザー」という資格があることを知ったんです。

――― かなり難易度が高い資格だと聞きましたが、どんな試験だったのですか?

人工衛星やテレビの映り方の仕組み、リサイクル関係など、とてもマニアックな問題です。半年ほど、毎日5時間くらい勉強して資格を取りました。家電が好きというだけでは乗り越えられないくらい難しい試験でしたが、芸能界は「好きだ」と発信しているだけでは仕事につながらない部分があるので、資格を取るのはマストだろうなと根性でとりました(笑)。

結果的に、「家電製品アドバイザー」の資格をもっていることが、私のひとつのポテンシャルになっているし、男性向け、女性向け、ママ向け媒体、それぞれの編集部さんもだからこそ安心してお仕事を依頼してくださっていると思います。

家電女優として工場取材にも

――― 最近は執筆のお仕事も増えていますね。

母や姉の影響で、子どものころからたくさん本を読んできました。特にアイドルを卒業して、家電女優になろうと決めてからは、教養を育む必要性を感じたので年間100冊くらい小説やビジネス書を読みました。経営やマーケティング関連の本は、芸能界を生き抜く上での知恵やヒントがたくさん書いてあって面白いんですよ。

そんな風に本を読んでいたことが今の書く仕事にもつながっていると思います。多いときは月に8本の連載記事を書いていました。さらにそれを見たメディアの方が声をかけてくれて、と仕事が広がってきました。

書く仕事も演じる仕事と通じる点があります。いかにたくさん作品を見ているか。アウトプットするときにそれが糧になると本当に思います。

子どものことを考えるとコロナ禍で仕事をすることに罪悪感を感じ…

――― 現在、第一子妊娠中の奈津子さん。コロナ禍のなか毎日どのように過ごしていますか?

奈津子:5月末に出産予定ですが、ありがたいことに撮影や収録など、ぎりぎりまでお仕事を続けています。コロナ禍ということもありプライベートな外出は極力避けているんですけど。

多くの働いている妊婦さんと同じく、仕事をしながらの妊娠生活はとても大変です。特にタレントにとって仕事を断るのはとてもつらいし、何よりもわたしは働いている瞬間が好きなんですね。だけど、コロナ禍にあっておなかの子どものことを考えると罪悪感もあって…。そこは心が常にせめぎあっている感じでした。

でも、いつも通っているストレスクリニックの先生に相談をしたら、「奈津子さんが仕事を通じて誰かの役に立つ情報や、癒しとなる時間を提供するのは、とても意味があると思う」とアドバイスされて、その言葉がとても腑に落ちたんです。

先生が言ってくれたように、私がメディアに出演することでひとりでも癒される人がいるなら、意義のあることかもしれない。そして、生まれてくる子どもが大きくなって、そういうことを知ったとき、喜んだり、母である私に誇りを持ってもらえたりするかもしれない。それは私だけじゃなく、多くの働く妊婦さんもみんな同じなのかも。そう思えたらすっとラクになりました。

不安なのはみな同じ。だから一緒に乗り越えたい

――― 本当に今の妊婦さんは大変だなと思います。今の気持ちを教えてください。

奈津子:世の中のために、自分のために、そして子どものために意義があることなら、感染対策に十分に気をつけながら仕事をがんばろうと思えてきました。もちろん仕事だけではなく、人によっては、自身のメンタルの支えが趣味や生きがいであっても良いと思います。


同時期の妊婦さんの置かれている立場を想像すると、妊娠中というだけでとても不安な時期なのに、新型コロナウイルス感染症という非常事態のなかで、これまで以上にストレスにさらされていると思うんですね。でも、この状態がずっと続くわけではないし、いつかは終わりがあること。

本来なら、子どもができることも、子育てができることも素晴らしいことじゃないですか。だから不安を感じたら、夫や家族、身近な人に相談しながら、もしそれが難しいようなら、心のプロなどに頼ってうまく発散させながら、なんとか乗り越えることができたらいいですね。きっと楽しいこともたくさんありますから。

だから今は、妊婦のみなさま、一緒にがんばって乗り越えましょうね‥!という気持ちです。

取材・文/米谷美恵 撮影/成田由香利 ヘア&メイク/田村直子(GiGGLE) スタイリング/梶本美代子

奈津子(なつこ)
Profile
ドラマ「野ブタをプロデュース」で女優デビュー。以降様々な作品に出演。二十歳の頃にはSDN48のメンバーとなり、アイドル業も経験。その際、劇場近くの電気街を通じて家電の魅力に目覚める。卒業後は「家電アドバイザーGOLD等級」を取得し、現在は家電女優として多くのメディアへ出演。私生活ではエンジニアの夫と二人暮らし。テレビ東京系列「開運!なんでも鑑定団」東京FM「スカイロケットカンパニー」レギュラー出演中。

公式Instagram natsuko_kaden

公式twitter @natsuko_twins

公式YouTube 奈津子の家電クリニック 

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