【助産師直伝】会陰切開をしないために妊娠中からできるケア
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会陰(えいん)切開を回避するためのキーワードは、会陰の柔軟性&いきみ方。
妊娠中から出産当日までできることを、芥川バースクリニックの助産師、鳥越敦子さんに聞きました。
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妊娠中にできるケア
妊娠中からしておきたいのは、会陰の柔軟性をよくしておくケア。どんな方法があるのでしょうか?
Q.伸びやすい会陰を作るためには?
A.オイルパックで会陰部を保湿し、皮膚の柔軟性を高めると、伸びやすくなります。また、会陰切開したとしても、回復が早くなります。
パックのやり方は簡単!
まずは、500円玉大のオイルを浸したコットンを生理用ナプキンにのせます。
そのナプキンをおふろ上がりに、お股にあてておくだけ。
長時間のつけっぱなしはおすすめできないので、トイレにいったときにははずしましょう。妊娠28週以降から始めてみて。
Q.会陰に使うオイルはどんなものを使ったらいい?
A.マッサージに使用するオイルは、香りがきつくなくて、アレルギー反応が出にくいものが適しています。妊娠中は、添加物などが少ない、自然由来のものにしましょう。
中でも、肌になじみやすく値段も手ごろなホホバオイル、傷の治りを早める働きもあると言われているカレンデュラオイルなどがおすすめ。
オイルは酸化すると効果が下がるので、数カ月で使いきれる量で、遮光ボトルに入っているものを選びましょう。商品の説明がきちんとできるスタッフがいる店で買うと、安心です。
Q.会陰の伸びをよくする方法ってあるの?
A.妊娠経過が順調であれば、産科のスタッフに確認をしたあと、28週以降に会陰マッサージをするのもいいでしょう。
オイルをつけた人さし指と中指で、肛門(こうもん)の手前の会陰部分を5分間、または100回目安で、U字を描くように軽くなでます。
上記左の時計のイラストを、右の会陰部分のイラストに置き替えたとして、4時から8時の間を肛門のほうに圧迫しながらマッサージ。息を吐きながら圧迫します。
このとき、「便意を少し感じるかな~」くらいの圧力がベスト。
はじめは痛みを感じるかもしれませんが、徐々に腟がやわらかくなると、痛みが減ってきます。
おなかが張るときはやめておきましょう。
Q.お産のとき「いきみ」って我慢できるの?
A.いきみを我慢するためには、いかに「下半身の力を抜くか」がカギになります。そのコツをつかむために役立つのが、骨盤底筋体操。
広げたハンカチを腟の入り口でつまみ上げるイメージで、腟に力を入れたり抜いたりを繰り返す体操です。だんだん腟の力を調整できるようになるので、お産のときもいきみ方の調節が可能になり、うまく力が抜けるようになります。
日ごろの生活の中で、骨盤底筋体操をしていくとよいでしょう。
出産当日にできること
出産当日、分娩台の上でもできることはあります。会陰切開をしなくてすむための「いきみ方」について伺いました。
Q.切りたくないけど、できることはある?
A.子宮口が十分に開いていないときや、赤ちゃんの頭がしっかり下りていないときに、いきむのはNG。早いタイミングで無理にいきむと、子宮頸管(しきゅうけいかん)や腟壁が裂けてしまうことも…。
分娩室に移動し、いざ分娩!となったときも、やみくもにいきむのはやめましょう。力まかせでいきむと、会陰が十分に伸びていないので裂けやすくなります。
助産師のリードに合わせながら、子宮収縮の波に乗っていきむ、そして力を抜くことが大切です。
「いきんでOK」と言われるまで、いきまないと覚えておきましょう。
Q.陣痛時にできることってある?
A.いすの上にカイロを置いてその上に座り、下着の上から会陰部を温めるのもおすすめ。血行がよくなり、周辺筋肉の緊張がゆるみます。
会陰の伸びをよくするだけでなく、子宮口が開きやすくなり、お産を進める効果も期待できます。ただし、低温やけどには注意をしてください。
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分娩台でむやみにいきまないなど、ちょっと覚えておくだけで、会陰が大きく切れることを防ぐこともなり、産後の体がずいぶん楽になります。
妊娠中のケアも、ぜひやってみてくださいね!(文・たまごクラブ編集部)
■監修/芥川バースクリニック 助産師 鳥越敦子さん
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