【医師監修】完全流産とはどういうこと? 症状やその後の処置は?
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妊娠22週未満になんらかの理由で妊娠が中断してしまうことを流産といいます。全妊娠の約15%の割合で起こるとされ、決してめずらしいことではありません。ただし、流産といっても症状や進行の状況によっていくつかに分類されます。兆候のひとつとしては出血や腹痛などが挙げられますが、症状だけでは判断できないので、産婦人科で診察してもらうことが基本です。埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターの江良澄子先生に開設してもらいます。
完全流産とはどういう状態のこと?
流産は、その症状や超音波検査でわかる子宮内や子宮頸管(しきゅうけいかん)の様子で「完全流産」「不全流産」「稽留流産(けいりゅうりゅうざん)」「進行流産」とに分かれます。完全流産は子宮内にある胎嚢(たいのう=赤ちゃんの袋)などが完全に娩出(べんしゅつ)された状態です。
完全流産の原因と症状は?
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完全流産を含め、流産の多くは妊娠12週未満に起こる早期流産です。その原因の多くは胎児側によるものです。最も多いのは受精卵の染色体異常で、成長する力が備わっていなかった運命的なものといえます。残念ながらなってしまったらとどめることはできません。
完全流産は子宮の内容物がすべて体外に排出された状態。そこにいたるまでは下腹部痛や出血などの症状がありますが、完全に体外へと排出されると、痛みや出血はしだいに消失し、ごく少量の出血があるか、完全に止まります。
完全流産の場合、どんな処置をするの? 対処法は?
超音波検査などでくわしく子宮内を確認し、出血も止まっていることが確認されると、とくに治療や手術の必要はなく、経過観察となります。ただし、子宮が元の状態に戻ろうとする過程で痛みを感じる場合も。痛みや出血が再び起こった場合には、産婦人科を受診しましょう。
完全流産のあとはまた妊娠できる? 生活の注意点は?
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流産はとてもショックな出来事で、思っている以上に心身にダメージがあるものです。完全流産後は、無理をせず、できれば数日間安静に過ごしましょう。月経は個人差にもよりますが、流産から1~2カ月後に再開するのが目安です。流産を経験しても、順調に子宮が回復すれば、次の妊娠に影響を及ぼすことはないので安心してください。次の妊娠は月経が2~3回来てからのほうが、子宮の状態も安定してより安心と考えられています。ですが、生理周期も個人差があるので、どのくらい待ってから次の妊娠に臨めばいいかは、医師に確認しておくといいでしょう。
一度流産を経験すると、また流産をしてしまうのではないかと不安になる人も多いでしょう。ですが、一度の流産経験では気にする必要はありません。ただし、2回以上続けて流産した場合は習慣流産の可能性があるため、専門機関を受診することをおすすめします。
完全流産を経験したママの体験談
「私にとって初めての赤ちゃんで初めてエコー写真もらって母親になるんだなってうれしくて次の健診もとても楽しみで。でも、ちょうど8週目に入った日に自宅で完全流産になりました。」
「先生からだんなから家族から「初期はしかたない」「だれも悪くない」と何度も言われ心配させたくないからみんながいるときは明るくしてました。1人の時や、夜になるとたった1枚だけのエコー写真をみて「産んであげれなくてごめんね」「痛かったよね」「元気に会いたかった」って毎日泣いてました。」
「1ヶ月たっても半年たっても今でもあの時のことは忘れることはできないです。今思い出しても涙がでてきます。」
「忘れることはできなくても時間がたつことで前向きに考えれるようにはなりました。無理に乗り換えなくてもいいんです。泣きたいだけ泣いて考えたいだけ考えたえたらいつか自分で気持ち切り替えて前向きになれる日がきます。」
「その日が来るまでは亡くなった赤ちゃんのこといっぱい想ってあげていいと思います」
「初めての健診の6週5日では胎嚢ともしかして胎芽?みたいな白い点が見えたくらい。
半年前に同じような状況でしたがその後、9週ごろに完全流産。その時は絶望的な気分でした。
ですが、今回は2週間後と言われた健診で心拍を確認できました。その後も出血があったりおなかが張ったりと不安な事もたくさんありましたが、38週まできました」
だれにでも起こるかもしれず、ママがどうすることもできないとはいえ、流産を経験するのはとてもつらいことです。つらい気持ちはひとりで抱え込まず、パパや家族、病院のスタッフに伝え、まずは心と体を回復させていきましょう。(たまごクラブ編集部)
■文中のコメントは、『ウィメンズパーク』の投稿からの抜粋です。
初回公開日 2018/06/28
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