【医師監修】進行流産とはどういうこと? 症状やその後の処置、次の妊娠について知りたい
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流産といっても、出血や腹痛などの自覚症状がなく、超音波検査で初めてわかる場合もあれば、出血や腹痛が起こる場合もあります。妊娠初期の出血や腹痛が必ずしも流産の兆候とは限りませんが、出血が多く、強い腹痛がある場合は進行流産の可能性も考えられます。埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターの江良澄子先生に解説してもらいます。
進行流産とはどういう状態のこと?
「進行流産」とは、子宮の収縮が始まり、出血とともに子宮の内容物が体外に出てきて、流産が進行している状態のこと。子宮の内容物がすべて排出されると「完全流産」となり、一部が残っていると「不全流産」となります。
進行流産の原因と症状は?
流産の多くは妊娠12週未満に起こる早期流産です。その原因で最も多いのは受精卵の染色体異常で、成長する力が備わっていなかった運命的なものといえます。残念ながらなってしまったらとどめることはできず、ママが何かをしたから、何かをしなかったらというように、行動や運動が原因で起こるわけではありません。
進行流産は、子宮収縮が起こり、内容物が排出されるため、激しい腹痛や鮮やかな出血がみられます。始めは少量の出血であることが多く、腹痛が強くなっていくにつれ、出血量が増していきます。
進行流産の場合、対処法は? どんな処置をするの?
強い下腹部痛や鮮やかな出血がある場合、その時点で進行流産かどうか判断はできませんが、まずかかりつけの産婦人科を受診しましょう。超音波検査で胎児の心拍や子宮内の様子を調べ、そこで胎児の心拍が確認できない、胎児が見えない、胎嚢が消失し、異所性妊娠も否定されている場合に流産と確定されます。
流産が確定したら、子宮内の内容物を取り除く子宮内容除去術をすることが原則ですが、経過観察をして自然に子宮の内容物が排出されるのを待つこともあります。ただし感染症を起こすこともあるため、流産の状況やリスクも考えてよりよい方法が選択されます。
進行流産のあとはまた妊娠できる? 生活の注意点は?
一度流産を経験すると、また流産をしてしまうのではないかという不安が起こるものです。ですが、一度の流産経験では気にする必要はありません。流産を経験しても、順調に子宮が回復すれば、次の妊娠に影響を及ぼすことはありません。ただし、2回以上続けて流産した場合は習慣流産の可能性があるため、専門機関を受診して、体の状態を確認してもらうことをおすすめします。
流産の処置後は、無理をせず、できれば数日間安静に過ごしましょう。月経は個人差にもよりますが、流産から1~2カ月後に再開するのが目安です。次の妊娠は月経が2~3回来てからのほうが、子宮の状態も安定してより安心と考えられています。ですが、生理周期も個人差があるので、どのくらい待ってから次の妊娠に臨めばいいかは、医師に確認しておくといいでしょう。
進行流産を経験したママの体験談
「一度7週で心拍確認したあと、8週で稽留流産と診断され、その後9週で進行流産となりました。初めての妊娠だったのと、なかなかできなくて待望の妊娠だったのでつらかったです。」
「数ヶ月布団から起き上がれないような日々が続いたり、突発性難聴にもなりました。本当だったら今ごろ出産だったのに…と予定日間近はさらに落ち込みました。」
「その後約1年で一人目を授かり、今は二人目妊娠中です。一人目を妊娠するまでは、毎日泣いていました。」
「時が解決してくれるわけではありませんが、時間がたてば少しずつ日常を取り戻せていけると思います。乗り越えなくてもいいです。忘れることなんて絶対できませんから」
流産はとてもショックな出来事で、思っている以上に心身に負担があるものです。無理をせず、ゆっくりと体を休めましょう。悲しみはひとりで抱え込まず、パパや家族に伝えましょう。そうすることで少しずつ次の妊娠を考えることができるかもしれません。(文/たまごクラブ編集部)
■文中のコメントは、『ウィメンズパーク』の投稿からの抜粋です。
初回公開日 2018/06/30
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