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流産の基礎知識。その原因と症状と予防法

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妊娠するとうれしい一方で、「もしも流産したらどうしよう?」などの不安はつきものです。流産はママのせいではないことがほとんどですが、実はひとくちに流産と言ってもいろいろな種類があり、それぞれに経過やケアの方法も違います。万が一、何かあったときのために慌てないように、基礎知識はつけておきましょう。

流産の原因は?

流産とは、赤ちゃんがおなかの外で育つことができない妊娠22週未満に、妊娠が終了してしまうことをいいます。流産は妊婦さんの7〜10人に1人の割合で起こるもので、決してめずらしいことではありません。その流産のほとんどは妊娠12週未満に起こる早期流産です。多くの場合、出血を伴いますが、出血したからといって、それが流産につながるとは限りませんし、痛みや出血がない場合もあります。
残念ながら流産には「安静にしていればよい」などの予防法はありませんが、出血があった場合は過度な運動は避けましょう。

早期流産の原因はほとんど赤ちゃん側にあります

流産全体の9割以上を占めるのが妊娠12週未満に起こる早期流産です。その原因のほとんどは、赤ちゃん側に理由があります。最も多い原因は、受精卵の染色体異常によるもの。ママが何かをしたから、あるいはしなかったから流産になるということはありません。早期流産は運命的なもので、残念ながらなってしまったらとどめることはできません。万が一流産を経験しても、ママは決して自分を責めないでください。

赤ちゃん側の原因にはどんなものがある?

①受精卵の異常
流産の原因で最も多いもの。精子と卵子のどちらかが、たまたま異常を持っていた場合、育つことができない受精卵が発生します。とくに卵子の異常は加齢によって増える傾向があるため、妊娠する女性の年齢が高くなればなるほど、流産の確率や染色体異常の赤ちゃんが生まれる確率は高くなります。

②自然界の選択
どうして精子や卵子の異常が起きてしまうのか、原因はまだ完全には解明されていません。たとえ正常な精子と卵子が受精したとしても、その後の過程で異常が生じることも。受精卵の異常は偶然起きてしまい、誰にも起こりうることなのです。受精卵に重い異常がある場合は、流産という形で自然淘汰されてしまいます。

ママ側の原因にはどんなものがある?

①子宮の異常
子宮に子宮腺筋症や子宮頸管無力症などの病気があると、流産に至る原因になることがあります。また、子宮筋腫が子宮の内側にあり子宮内腔が変形するような状態だと、流産や切迫流産の原因になることも。ただし、子宮の形態異常があっても細菌感染の併発がなく、赤ちゃんの心拍が確認できれば問題ないでしょう。

②感染症によるもの
妊娠初期に、風疹やサイトメガロウイルスなどの一部のウイルスに感染した場合、流産の原因になったり、赤ちゃんの発育に影響したりすることがあります。妊娠初期は感染症予防のためにも、人ごみを避ける、外出後は手洗いやうがいをしっかり行うようにしましょう。

流産の種類によって対処の方法が変わります

人工的に流産させる人工流産を除き、自然に起こる流産のことは全て「自然流産」と呼ばれます。流産はその状況により、「完全流産」「不全流産」「稽留流産」「進行流産」というように分類されます。症状や超音波検査によってわかる子宮内や子宮頸管の様子で、その後のケア方法違ってきます。また、流産の兆候とされる出血や腹痛などの自覚症状がなくても、流産している場合もあります。受精卵が着床したころの早い段階で流産した場合は、月経と区別できないことがほとんどで、これは「化学的妊娠」と呼ばれています。

それぞれの流産の症状と対処法

①【完全流産】
子宮内にある胎嚢(赤ちゃんの袋)などが完全に娩出された状態。
○症状は?
下腹部に軽い痛みがあるものの、次第に消失。ごく少量の出血があるか、完全に止まっている状態です。
○対処法は?
流産の手術は行わず、しばらく経過観察をします。

②【不全流産】
子宮内の胎嚢などが、完全に娩出されずに残っている状態。
○症状は?
下腹部の痛みが強くなったり弱くなったり、陣痛に似た痛みを感じることもありますが、次第に軽い痛みに変わります。中等量〜少量の出血が続きます。
○対処法は?
流産が確定したら、血液検査を行い、子宮の内容物を取り除く手術をします。

③【稽留流産】
自覚症状はないものの、子宮内で赤ちゃんが死亡してしまっているか、赤ちゃんはできておらず胎嚢だけがそのままとどまっている状態。
○症状は?
自覚症状はなし。
○対処法は?
流産が確定したら、血液検査を行い、流産手術(子宮内の内容物を取り除く手術)をすることが原則ですが、経過観察をすることもあります。

④【進行流産】
子宮が収縮を開始して、流産が進行している状態。残念ながら、進行流産をとどめる手だてはありません。
○症状は?
陣痛に似た規則的な強い痛みが続いて、多めの鮮やかな色の出血が見られます。
○対処法は?
流産が確定したら血液検査を行って、流産手術(子宮内の内容物を取り除く手術)をすることが原則ですが、経過観察をすることもあります。

流産の手術の流れとその後について

流産にはその後に手術が必要な場合とそうでない場合があります。子宮の中に赤ちゃんや胎盤などの組織が残っている場合は、出血を止める、感染症を予防するなどの目的で、早い時期に手術が必要となります。ただし、完全流産で子宮の内容物がすべて出てしまっている場合は、手術は不要です。
手術は必要な検査を事前に行って、全身麻酔を施し、10分程度で終了します。

流産の手術の流れ

①手術前の検査
流産の診断が確定したら、血液検査など一般的な検査を行います。必要に応じて、出血凝固検査や胸部X線検査などを行う場合もあります。検査内容はそのときの流産の状態によって異なります。

②入院
入院の日程は、産院と相談して決定します。一般的には午前中に入院し、午後に手術を受けて、翌日退院になるケースが多いようです。中には日帰り入院となるケースも。術後の出血量や体調によっては、入院が長引く場合も。

③手術
手術そのものは10分程度で終わるものです。麻酔はたいてい全身麻酔になるでしょう。妊娠12週以降の場合、お産と同様に陣痛を薬で誘発してから、子宮の内容物を排出するようにします。

④退院
手術当日から翌日は安静に過ごします。基本的には麻酔の影響がなくなれば退院できますが、出血量や体調なども考慮した上で判断されます。術後の出血は1週間ほど続き、その期間は子宮収縮薬や感染症予防薬を服用します。

手術後の体の回復について

流産の手術後、1週間ほどして検診があり、子宮の回復具合を診察します。個人差はありますが、出血は1〜2週間で治まるでしょう。月経は流産後1カ月くらいで再開します。流産しても、順調に子宮が回復すれば、次の妊娠に影響を及ぼす心配はありません。次の妊娠はできれば月経が2〜3回来てからのほうが安心でしょう。

流産を予防するためにはどうすればいい?

残念ながら、流産を予防するための特別な方法というものはありません。「切迫流産」のように、出血やおなかの痛みといった流産の兆候はあるものの、おなかの赤ちゃんが元気であるケースでは、安静にすることで順調に育っていくこともあります。ただ、流産そのものを予防することはできません。繰り返しになりますが、早期流産の原因のほとんどは、染色体の異常など赤ちゃん側にあります。それをよく頭に入れておき、ママは自分を責めないでほしいと思います。

まとめ

いかがでしたか。残念ながら流産は一定の確率で起きてしまうことですが、ママのせいではないことがほとんどです。むやみに怖がることなく、正しい知識と対処法を知っておくことが何よりも大切です。
(文/たまごクラブ編集部)

監修
日本赤十字医療センター 周産母子・小児センター顧問
東都文京病院 院長 杉本充弘先生

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