妊娠時期別 胎動の変化と赤ちゃんの成長、こんなときおなかの中で何してる?
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おなかの赤ちゃんの存在を実感できる“胎動”。ポコポコだったり、にょろにょろだったり、感じ方もいろいろですよね。“赤ちゃんはおなかの中で何をしているのかな?”。ママの感じ方から赤ちゃんの動きを想像できたら、ますます赤ちゃんが身近に感じられるはず。
『赤ちゃんはおなかの中で何をしているのか』(草思社)の著者でもある産婦人科医の丸茂元三先生に、妊娠時期別の胎動について詳しく伺いました。
妊娠3~4ヶ月:赤ちゃんはとっても元気ですが、まだ胎動を感じない人がほとんど
妊娠3~4ヶ月ごろ、すでに赤ちゃんは小さな体で子宮の中を宇宙飛行士さながらに動き回っています。ですが、まだ体が小さい上に、ママの胎動の感じやすさには個人差があるため、胎動として感じるママはあまりいないようです。たまごクラブのアンケート(※)でも、初胎動の時期は、早い人で妊娠4ヶ月ごろ、遅い人で7カ月以降と幅があるという結果に。ママの快感ホルモンは赤ちゃんにも伝わるといわれ、ママがうれしいとき、楽しいときに胎動は活発になる傾向があるそうですよ。
※たまひよ100人アンケート(第1子が1歳11ヶ月までの方対象 2018年9月実施)より
いつ、どんなときに? 初胎動のヒント
<いつ?>
1位 寝る前
2位 入浴中
3位 食後
気持ちも体もリラックスした状態が胎動を感じやすいといえそうです。逆に仕事中など集中したり、緊張感があったりするようなシーンでは感じにくいとか。
<姿勢は?>
1位 横になっているとき
2位 あお向けのとき
3位 座っているとき
寝るときやひと息つくときなど、リラックスして体をラクにした姿勢だと感じやすいようですね。
<どこに?>
1位 おへそまわり
2位 下腹部
3位 右わき腹
おへその上や下などおへそまわりに感じた人が多数。妊娠前でいう“腸が動くときのような感覚”で、最初は半信半疑だったというママも多いようです。
妊娠5~6ヶ月:多くのママがおなかのふくらみとともに初胎動を体験
妊娠5~6ヶ月ごろになると、赤ちゃんの体全体がふっくらしてバランスのとれた体つきに。腕や脚をしっかり曲げ伸ばしできるようになり、筋肉も発達し、子宮の壁を押す力がアップ! いよいよ胎動を感じ始めるママが多くなります。
このころの胎動の感じ方を丸茂先生が大分析!
●ママの感じ方例1・泡が動いている!?
「赤ちゃんがおなかの中でこまめに動いているのでしょう。同じところを蹴っていると、泡のような動きとして感じることもあります」
●ママの感じ方例2・ピンポン玉がコロコロ!?
「おなかの中を全身を使ってよく動いているのでしょう。宇宙遊泳のように足で子宮壁(しきゅうへき)を蹴(け)りながら回るように動くこともよくあります」
●ママの感じ方例3・デコピンを連発!?
「脚で勢いをつけてポンポンとキックをしているか、跳びはねた赤ちゃんの頭が子宮壁に当たっているかしているからでしょう」
妊娠7~8ヶ月:赤ちゃんの成長とともに胎動がますます活発に
羊水(ようすい)の量が多くなり、赤ちゃんがますます動きやすくなる時期。よりダイナミックな動きで、ママは胎動を強く感じるようになります。外の光を感じているかのようにまばたきをしたり、ほほ笑んだりするなど表情も豊かに。
このころの胎動の感じ方を丸茂先生が大分析!
●ママの感じ方例1・ボコッボコッと蹴られて眠れないほど
「赤ちゃんが頭を下に体を“く”の字のように曲げて、足で自分の顔の前を蹴っている可能性や、体育座りのような姿勢をとって動いている可能性があります」
●ママの感じ方例2・ぐいーんとかかとの場所が目で確認できる
「ゆっくりと足をぐーっと伸ばしているのかも。赤ちゃんは足の裏でおなかの中からぐーっと押すので、かかとはおなかの外からもわかりやすいんです」
●ママの感じ方例3・マタニティヨガでよく動く
「ママがリラックスしているとよく動きます。聴覚も発達してきているので、マタニティヨガの音楽にも反応し、ノリノリで動いているのかもしれませんね」
妊娠9~10ヶ月: 狭くなった子宮の中で元気いっぱい活動中
皮下脂肪が増え、赤ちゃんらしいふっくらとした体つきに。大きくなったので子宮の中が狭くなり、体全体を使ったダイナミックな動きは減ってきますが、手足の動きはより力強くなります。子宮の壁が伸びて薄くなっているので、ママはさらに胎動を強く感じやすいでしょう。
このころの胎動の感じ方を丸茂先生が大分析!
●ママの感じ方例1・グリグリと皮膚が引っ張られる感じ
「グーの形にした手やひじ、足のかかとなどで子宮壁を押しているのでしょう。曲げた足を子宮壁に沿ってゆっくり伸ばしている場合も」
●ママの感じ方例2・ブルンブルンとママ自身も揺れそうなほど
「狭くなった子宮の中を動く大きくなった赤ちゃんの動きを、体で感じやすい時期。おなかが揺れるように感じることも確かにあるでしょう」
●ママの感じ方例3・ムギュームギューと肋骨(ろっこつ)を押される
「子宮の壁越しでも肋骨を蹴ることがあり、痛いという妊婦さんは多いもの。力強くなった足を思う存分伸ばしているのでしょうね」
胎動のココが気になる!Q&A
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胎動に関する心配や素朴な疑問に、丸茂先生が答えます。
Q.胎動を感じないときは赤ちゃんも動いていないの?(妊娠3~4ヶ月)
A.子宮の壁に当たらないと胎動と感じられません
ママが胎動として感じるのは、赤ちゃんが子宮の壁に当たったとき。そのため、目をこすったり、指しゃぶりをしたりといった小さな動作は子宮壁に当たるほどではないので、胎動として感じられないでしょう。赤ちゃんが動いていてもママが感じない場合もあるんです。
Q.ママが太っていると胎動はわかりにくいの?(妊娠3~4ヶ月)
A.その傾向はあるようです
胎動は子宮壁に赤ちゃんが当たって感じるものなので、太っていてもやせていても感じ方は同じはず。ですが、確かに太っているとわかりにくい傾向はようです。妊娠後期に赤ちゃんの動きをおなかの外から見たい場合、脂肪が多いと見えにくいことはあるでしょう。
Q.20週にもなるのに胎動がありません。不安です(妊娠5~6ヶ月)
A.まったく心配ありません
胎動を感じ始める時期には個人差があります。20週よりも前からわかる人もいますが、24週以降になって感じる人も多いもの。ママが胎動を感じていなくても、健診で赤ちゃんが元気なことを確認できていれば大丈夫ですよ。
Q.おなかの右側だけに胎動を感じます。大丈夫?(妊娠5~6ヶ月)
A.左側に胎盤があるのかも
赤ちゃんがいくら動いていても、子宮壁との間に胎盤を挟んでいると、ママが胎動として感じにくいでしょう。右側だけでもしっかり胎動を感じられているなら心配ありません。
Q.おなかのふくらみより下のほうで胎動を感じるのですが…(妊娠5~6ヶ月)
A.元気に動いていれば場所は気にしなくてOK
赤ちゃんが頭を下にした状態でおなかの中にいる場合でも、ジャンプしたはずみで頭が子宮壁に当たると、ママは下腹部で胎動を感じることになります。人によって胎動を感じる場所はさまざま。元気に動いていれば、場所は問題ありません。
Q.あまりにもぐるぐる動くのでへその緒が絡みませんか。(妊娠7~8ヶ月)
A.動いているうちに自然にほどけることがほとんど
首や体にへその緒がいったん絡まったとしても、多くは動き続けているうちに自然にほどけます。もし、出産時にへその緒が絡まったままだとしても、多少時間がかかっても無事に生まれてくるので安心してくださいね。
Q.胎動が激しくなると、水っぽいおりものが出ます。破水ですか?(妊娠7~8ヶ月)
A.胎動で破水は起こりません
おなかの赤ちゃんの動きがどんなに激しくても、胎動によって破水が起こることはありません。ただし、おなかの張りも伴う場合は、破水しやすくなります。胎動が強くて元気そうでも、おなかの張りが続いている場合は産院を受診しましょう。
Q.朝から昼まで胎動を感じられず、不安です(妊娠7~8ヶ月)
A.心配なら念のため受診を
ママが仕事などで集中しているときは、胎動に気がつかないこともあります。でも、心配なときは産院で相談してみましょう。また、張りがあるわけでもないのに半日以上胎動を感じられない場合は、念のため受診することをおすすめします。
Q.胎動で腟(ちつ)の奥に痛みを感じます。早産につながりますか。(妊娠9~10ヶ月)
A.胎動で早産にはなりません
たとえおなかの赤ちゃんが子宮の出口を頭で押して、ママが腟の奥に痛みを感じたとしても、それにより子宮口が開いて早産になるということはありません。ただ、腟の奥の痛みに加えて出血がある場合は、ほかの原因が考えられるので受診しましょう。
Q.おなかが張ると胎動が減ります。苦しいのでしょうか。(妊娠9~10ヶ月)
A.苦しいわけではありません
おなかが張ると一時的に胎動が減ることは確かにあります。ただ、それは子宮が収縮して子宮内のスペースが狭くなり、赤ちゃんの動きが制限されるから。元気がなくなっているわけではないので安心してくださいね。
Q.ピクッピクッとけいれんのような動きが長く続くと不安になります。(妊娠9~10ヶ月)
A.しゃっくりのような動きが続くことも
妊娠後期によくある感じ方です。赤ちゃんの横隔膜が上下に動いて、しゃっくりのようにピクッピクッと一定のリズムが続きますが、必ず治まるので心配ありません。しゃっくりできるほど成長したんだなぁと喜んでくださいね。
Q.胎動と生まれてからの赤ちゃんの性格は関係あるって本当?(妊娠9~10ヶ月)
A.どちらの場合もあるよう。生まれてからのお楽しみ!
おなかの中でよく動いていた赤ちゃんは生まれてからも活発で、動きがおとなしかった子は生まれてからもおとなしいという話はよく聞きます。ただ、「生まれてみたら胎動の動きとは逆だった」というママもいます。これは生まれてからのお楽しみです。
まだ見えないおなかの赤ちゃんの成長や元気な様子を伺い知ることのできる“胎動”。“胎動”を意識していると、時にはわくわくするだけじゃないこともあるかもしれません。心配なことや疑問は健診などで先生に相談して一つ一つ解消しましょう。妊娠中にしか味わえない貴重な体験をぜひ楽しんでください。
(文/たまごクラブ編集部)