「立ち会い出産」で手を握るだけはNG! さする、いきみのがしに肛門を押すなど、すべきことは?
夫婦で赤ちゃんの誕生を待つ、立ち会い出産。パパはただそばにいてママの手を握っていればいいというわけではありません。普段は理解のあるママでも、つらい陣痛中の的外れなパパの行動は「いてくれないほうがよかった」ということになりかねません。妊娠中から一緒にお産の流れを学んで、2人でシミュレートを。今回は、産婦人科医の小川隆吉先生にパパが立ち会い出産でお産をサポートするときのコツについて、伺いました。
立ち会い出産は、どんなスタイルがある?
パパ・ママの希望や産院の方針によって、陣痛室まで立ち会う場合と、分娩室に入って誕生まで立ち会う場合があります。
●陣痛室まで立ち会う
入院から分娩室に入るまでの間、ママのサポートを行います。長時間にわたりますが、大きな心とこまやかな配慮で支え、分娩室に送り出したいものです。
●分娩室まで立ち会う
赤ちゃん誕生まで立ち会うケース。分娩室に入るころには、陣痛もピークを迎えます。ママの頭のほうに立ち、水分補給や呼吸法のサポートなども行います。
いつまでに決める?
仕事の日程や家族の役割分担、心の準備も含めると、妊娠8カ月ごろまでには意思を固めておきたいもの。このころ、両親学級が行われることも多いので気になることは確認を。
妊娠中の準備は?
お産が始まってから赤ちゃんが生まれるまでの流れを2人で勉強し、ママがそのときに何をしてほしいかを話し合っておきましょう。
【お産の始まりから入院までのサポート】パパはあわてず、冷静に行動を
お産はいつどこでどのように始まるかわかりません。たとえ予想外の始まり方をしても、パパはあわてずに冷静に行動しましょう。仕事の段取りは気になるところですが、「まだ?」「早く」などの言葉は禁句です。
とにかくママの元に駆けつける
ママと一緒にいないときにお産が始まったら、知らせを受けたタイミングにもよりますが、なるべく早くママの元に駆けつけましょう。
陣痛の間隔などをメモする
陣痛の間隔や破水した時間、破水の量や色などは大切な情報です。ママがあわててしまっても冷静にメモをとってあげて。
ママに自分で産院に電話をかけるように促す
産院で必要な情報は、ママ自身のほうが正確に伝えられます。陣痛の合間にママが自分で電話で話せるよう、サポートしてあげて。
破水している場合、車の座席にビニールシートを
破水は大量に起こることも。車の座席に敷くビニールシートや大きめのバスタオルを用意しておくと安心です。
【陣痛中のサポート】進行に合わせてママが痛いところをマッサージ
お産の進行とともに、ママが痛みを感じる場所は変化していきます。そのつど痛みの場所や様子を確かめながら、ママがしてほしいことをしてほしいときに行いましょう。予定していたことが変わることがあっても、臨機応変に対応を。
肛門の押し方のポイント
テニスボールや拳(こぶし)で、ママの肛門を強く圧迫します。強さはママの希望を聞きながら行いましょう。
陣痛の初めのころ
● レベル1
背中をさする
● レベル2
肩甲骨周辺を押す
● レベル3
腰〜仙骨周辺を押す
飲み物、おにぎりなど食べやすいものを買ってくる
陣痛の間は汗をかき、のどが渇き ます。また、産院の食事が食べられない場合もあるので、ママが飲みたいもの、食べられるものを聞いて買ってきてあげましょう。
いきみ感が出たら肛門を圧迫
赤ちゃんが下がってくるにつれていきみ感が出てきます。まだいきんではいけない時期なら、肛門を圧迫して、いきみ逃しに協力してあげましょう。
リラックスをサポート
陣痛には波があるので、陣痛と陣痛の合間は少しでもリラックスさせてあげましょう。楽な姿勢に誘導したり、一緒に深呼吸をしたりして、リラックスできるようサポートを。
【分娩室でのサポート】
分娩室では医療スタッフがあわただしく動き回ります。その邪魔をしないようにすることが大切です。ママの頭の位置にいるよう指示されることが多いですが、あらかじめどの位置にいればよいか確認しておきましょう。
【分娩まで立ち会う場合】上体を起こして腹圧をかけるのを手伝う
いきみまできたらあとひと息。ママは上体を起こしぎみにして腹圧をかけるので、タイミングに合わせて体を支えてあげましょう。スタッフと一緒に声をかけてあげても。
【分娩まで立ち会う場合】呼吸法がうまくできるようにサポート
痛みのピークを迎え、ママの呼吸も乱れがちに。助産師さんが呼吸法をリードしてくれますから、パパもそれに合わせて声をかけて。
【分娩まで立ち会う場合】汗をふき、水分補給を手伝う
陣痛の合間にうちわであおいだり、汗をふいたり、水分補給を手伝います。陣痛室から分娩室へ移動するときは、必要なものを忘れずに。
【陣痛室までの場合】分娩室近くで待機。勝手に離れない
分娩室に送り出すときは「頑張れ」と励ましの声を忘れずに。その後は少し時間がかかってもその場を離れずに待機を。やむを得ないときは、スタッフに声をかけて出ましょう。
【共通】出産後、感謝の気持ちを伝えよう
出産後のママにはまず「お疲れさま」「よく頑張ったね」「ありがとう」の言葉をかけてあげて。赤ちゃんの話をする前にひと言あると、ママの疲れも癒やされます。
お産はいつ始まるか分かりません。臨月に入ったら頻繁に連絡をとり合いましょう。お産に立ち会うことができたら、パパはあわてず冷静に行動することが大切です。赤ちゃん誕生前は陣痛やいきみ中の楽な姿勢をサポートしたり、水分を確保して飲ませてあげたり、誕生後はママへの感謝の気持ちや疲れを労う言葉をかけてあげるといいですね。(文/たまごクラブ編集部)
監修/小川クリニック 院長 小川隆吉先生
日本医科大学卒業。同大学産婦人科講師、都立築地産院産婦人科医長を経て、1995年より現職。セックスカウンセラーセラピスト協会会員、日本不妊学会会員。
URL http://www.ogawaclinic.or.jp
参考文献:たまひよブックス「いつでもどこでもHAPPY妊娠・出産ガイドBOOK」(ベネッセコーポレーション刊)