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妊娠超初期の「着床時出血」とは  出血の色、量、妊娠への影響は?【医師監修】

一人の女性がトイレの前で腹痛があります。
flukyfluky/gettyimages


生理予定日前に基礎体温の高温期が1週間以上続き、一時的な少量出血が見られたら、それは着床(ちゃくしょう)時出血かもしれません。受精卵が子宮内膜に根を下ろす着床時に、わずかな出血が起こるケースがあるからです。ただし、すべての人に出血が見られるわけではありません。
着床時出血が起きる理由や、心配な出血との見分け方について、東峯婦人クリニック理事長の松峯寿美先生に聞きました。

着床時出血とはどんなもの? どうして出血が起きるの?

着床時出血とは、受精卵が子宮内膜に根を下ろす際に起こる少量出血のこと。
そもそも妊娠判明前の妊娠4週未満の時点での出血なので、胎嚢(たいのう)が確認できるようになる妊娠5~6週以降の出血とは別物と考えて大丈夫です。
出血後から5日後くらいに妊娠検査薬でチェックして、妊娠反応が見られたら、さらに1週間後に産婦人科を受診しましょう。

着床時に出血する理由は?

排卵後、卵子と精子が出会って一つになり、受精卵が子宮内に到達するまでは約1週間。
早くも卵管を通過する時点から細胞分裂が始まり、細胞分裂を重ねた受精卵は「胚(はい)」と呼ばれるようになり、子宮内膜の居心地のよさそうな場所に根を張ります。これが着床という現象です。

この時期のママの体は、受精卵を受け入れやすいように、黄体ホルモンが優位になる時期。
基礎体温の高温期が続くとともに、受精卵の着床に備えて、子宮内膜をフカフカなベッドのように整えて待っています。そうして、受け入れ準備が整った子宮内膜に、すでに細胞分裂をスタートしている胚(受精卵)が根を下ろすのです。

根っことなる絨毛(じゅうもう)組織は胚(はい)の一部ですが、やがては胎盤のもととなる部分。絨毛が子宮内膜に孔(あな)を開け、しっかりと根を張るために、着床時にわずかな出血が起こるのです。

着床時出血が起こりやすいのはいつごろ? 生理予定日との関係は?

生理予定日の1週間前から数日前までの間に起こりますが、出血の時期や期間には個人差があります。「一時的に出血して、1日で止まった」という人もいれば、「3日間ほど、少量の出血が見られた」という人もいます。
もともと生理不順な人の場合は「今月は生理が早めに来て、短期間で終わってしまった」と、生理不順と区別がつきにくい場合が多いようです。

一方、不妊治療のタイミング法(排卵のタイミングでセックスする)を行い、基礎体温表の高温期が1週間以上続いている状態で出血が見られたら、生理不順ではなく、着床時出血と診断されます。
また、体外受精で胚移植を受けて、基礎体温が高温期に入っている場合は、妊娠の可能性が高いと考えて様子を大事に見ましょう。

着床時出血は、生理のときの出血とどう違うの? 量や色は?

着床時出血はいつもの生理のときのようなドロッとした出血ではなく、サラサラした少量出血。日数も短めです。なぜかというと、絨毛組織が根を下ろして着床しようと、子宮内膜の表面に孔(あな)を開けた部分だけが出血しているからです。
一方、通常の生理は、一般的に4~7日にわたって出血が見られます。子宮内膜がはがれて子宮の内側全体から出血するため、ドロッとしていて、とくに生理2日目は出血量も多いのが特徴です。

●着床時出血と生理との見分け方
・生理予定日よりも早めで、いつもと周期が異なる
・出血する日数が短め
・出血の量が少なめ
・基礎体温表の高温期の中間あたりで出血が見られる

●着床時出血の量や色は…
出血の量には個人差があります。1日で終わってしまう人もいれば、3日間くらい続く人もいますが、多量に出ることはなく少量です。着床時出血はほとんどの妊娠で起こっていますが、わずかな出血量のため、子宮内で吸収されてしまうことがほとんどです。そのため、出血として気づかないケースが多いのです。
また、通常のおりものは透明か白色ですが、少量の血液が混じると、ピンクや茶色のおりものに気づくケースもあります。子宮内にとどまっていた血液が腟外に出てくると、生理の終わりごろのような茶褐色の少量出血が見られます。

気になる症状が着床時出血と関係あるかどうか、前もって知っておくと安心

受け入れ側の子宮内膜にとって、受精卵はいわば異物。そのため、着床時に腹痛を伴うケースもあります。また、逆に、着床時出血にまったく気づかないというケースも少なくありません。

もしも着床時出血の量が多い場合は、母体の免疫拒絶反応が強いのかもしれません。母体の免疫拒絶反応が強い場合は、異物を体の外に押し出そうと子宮が収縮し、「化学流産」に移行するケースがあるのです。
化学流産とは、受精卵が着床したごく早い段階に起こる流産のこと。妊娠反応が出る前の妊娠3週ごろなので、通常の生理と区別できないことがほとんどです。

腹痛を伴う場合は?

母体が受精卵を異物とみなし、異物を押し出そうと子宮収縮を起こして、腹痛を感じるケースもあるようです。下腹部がしくしくと痛む場合は、体を冷やさないように温かくして、安静に過ごしましょう。

着床時出血がない人もいるの?

ごく少量の出血は子宮内で吸収されてしまうため、気づかないケースが少なくありません。また、少量の出血がおりものに混じって、ピンクやベージュの薄い色の状態で出てきた場合、血の色ではないので、出血に気づかないケースもあるかもしれません。

着床時出血と、流産・切迫流産の出血の見分け方は?

切迫流産の出血と着床時出血は起こる時期が異なるので、別物と考えてください。切迫流産は妊娠5週以降、尿中に妊娠初期特有のホルモンのhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が分泌され、妊娠検査薬で陽性反応が出たあとに起こる出血。これに対して、着床時出血が見られるのは、まだ妊娠検査薬でチェックできない妊娠4週未満の段階の出血です。まだ受精卵が子宮内膜に根を張るかどうかの瀬戸際で、着床できずに淘汰された場合は、流産という診断名がつかないのです。

妊娠5週以降に妊娠反応が見られれば、流産や切迫流産という診断名がつき、妊娠反応がない時期の出血であれば、着床時出血と考えられます。

不妊治療で胚移植をした人が基礎体温をつけていて、高温期の真ん中あたりで出血した場合、必ずしも着床しないこともあります。自然妊娠の場合も、生理不順か着床時出血か、医師も判断がつかない場合が多いのです。

流産につながるケースもあるの?

母体の免疫拒絶反応が強いと受精卵を異物とみなしてしまい、着床後の妊娠4週未満に化学流産することがあります。これは受精卵の絨毛組織が子宮内膜に根を張れず、着床できなかったということ。ただ、化学流産は妊娠4週までの早い時期に起こるため、ママ本人にとっては通常の生理と区別がつかないことがほとんどです。化学流産を繰り返す場合は、不育症という診断名がつきます。
一方、妊娠5週目以降、胎嚢が確認できてからの流産は着床時出血が原因ではありません。

●不育症の主な原因
・子宮筋腫、子宮形態異常
・子宮内膜症がある
・母体の免疫拒絶反応が強い(胚を母体にとって、一種の異物とみなしてしまう)
・胎児の染色体異常

性行為と着床時出血の関連は?

偶然、着床時出血が見られる直前にセックスして、出血するケースもあるかもしれませんが、そもそも出血する場所が違います。セックスが原因で着床時出血が起こることはありません。
セックスの直後に出血が見られたときは、子宮頸管ポリーブや、腟の入口が充血しているびらんが原因となる場合が多いでしょう。

着床時出血が見られたときの対処法は?

基礎体温の高温期が続き、なおかつ着床時出血が見られたのであれば、受精卵が着床した可能性が高いでしょう。
とはいえ、フライングで妊娠検査薬を試してみても、まだ確認できない時期です。妊娠検査薬を試すタイミングや、産婦人科を受診するタイミングを前もって知っておきましょう。

妊娠検査薬を試すタイミングは?

卵子と精子が出会って、受精卵が着床できても、妊娠検査薬で陽性反応が出るのは5日ぐらい先になります。生理予定日を5日過ぎてから妊娠検査薬を試すといいでしょう。生理予定日のころは、尿中にhCGがまだ分泌されていないからです。
最近では精度の高い妊娠検査薬も登場していますが、尿中のhCGの数値が上がってくるのが、ちょうど月経予定日の5日目以降なので、そのころに試すのをおすすめします。

産科を受診するタイミングは?

●自然妊娠の場合は…
着床時出血が見られたからと、産婦人科をあわてて受診する必要はありません。「もしや妊娠?」という場合は、まずは生理予定日まで待ちましょう。そして、生理予定日の5日後に妊娠検査薬を試し、陽性反応が出たら、その1週間後に受診しましょう。
もしも初診時に子宮内に胎嚢が確認できなかった場合は、卵管など、子宮以外の場所に着床する「異所性妊娠」の心配があります。異所性妊娠の疑いがないかどうかを確認する上でも、妊娠反応が出たあとは必ず産婦人科を受診することが大切です。
高年初産の場合は、卵巣機能が低下して、生理不順になっている可能性もあります。気になるときは基礎体温表を持参して受診するといいでしょう。普段から、カレンダーに毎月の生理開始日の印をつけておくと、出血の原因が生理不順なのか、着床時出血なのか、自分でもわかるかもしれませんね。

●不妊治療を受けている人の場合は…
「出血が見られたら受診するように」と、あらかじめ医師から指導を受けていると思いますので、かかりつけの産婦人科を受診しましょう。黄体ホルモンを補充するサポート(注射や飲み薬など)を受けることで、着床環境を整えることができます。

何日も出血が続く場合は?

●自然妊娠の場合は…
次の月経予定日よりも早めに月経が来たということで、生理不順と診断されるかもしれません。もしも数日以上出血が続く場合は、25日未満の周期で起こる頻発月経など、排卵後の高温期が短くなる「黄体機能不全」の可能性があります。

●不妊治療中の人の場合は…
黄体ホルモンのサポートがたりないケースがあるため、念のため、かかりつけの産婦人科を受診してください。このタイミングで黄体ホルモンを足すサポートを受けると、妊娠成立につながりやすくなります。

着床時出血は生理予定日の前に起きる少量出血です。自然妊娠の場合は、通常の生理や生理不順と区別がつかないことが多いのですが、基礎体温表の高温期の中間あたりで見られることが特徴です。
まだ妊娠4週未満なので妊娠反応は出ませんが、「着床時出血かも」と思ったら、5日後に妊娠検査薬でチェックしてみましょう。妊娠検査薬で陽性反応が見られれば、妊娠5週以降の切迫流産や流産につながる心配はありません。

●監修/松峯寿美先生(東峯婦人クリニック理事長)
●文/ライター 大石久恵、たまごクラブ編集部

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