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いよいよ鬼上司が帰国!突然の妊娠、どう告げる?【小説「ご懐妊!!」Vol.7】

『ご懐妊!!』Vol.7
スターツ出版文庫の大人気小説『ご懐妊!!』が、たまひよWEBにて連載中。「たまごクラブ」でもおなじみの産科医・大浦訓章先生のひと言解説もお見逃しなく。

●これまでのあらすじ
広告代理店で仕事に打ち込む佐和。悩みといえば、上司のイケメン鬼部長・一色が苦手なことくらい。それなのに、お酒の勢いで彼と一夜を共にしてしまい、後日、妊娠が判明!不安と途惑いの中、佐和はある決心をし…。


三ヵ月

三ヵ月
妊娠三ヵ月(八~十一週目)
胎児(十一週末)…四~五センチメートル
子宮の大きさ…女子の両手をあわせたぐらい

 もう、どうしたらいいかわかんない。それが、私の感想だった。
 どうしたらいいの? 産む? 産まない?
 このお腹の生命を消すことはもう考えられない。
 あの瞬間、力強い鼓動を聞いてから、そんな考えは消え失せてしまった。
 堕胎という選択肢を選べなくなってしまった今、私には産むという選択肢しか残っていない。
 じゃあ、どうやって産むの? どうやって育てるの? それがわからない。
 ひとつだけ希望がある。実家だ。仕事を辞めて、実家に戻ろう。そして、両親と私でこの子を育てる。両親は怒り狂うかもしれない。でも私はひとりっ子だし、最後には許してくれるんじゃなかろうか。それとも、甘い考えかな。
 お腹の子は、来年の七月に産まれてくる。もう予定日も出ている。
 排卵日がズレたことと、私の心当たりが一回しかなかったことを総合して出た日にちは、七月十八日。
 嘘みたい。六月に私の誕生日が来て、七月にはママですわ。
 どうするの? ねぇ、私どうするの? 自問しながら、今日も会社に行く。
 異常な眠気は続いていた。先週から、夕方になると胃が気持ち悪くなる。たぶん妊娠のせいだ。
 十二月がやってきていた。今日、一色褝が帰国する。

「今、帰ったぞー」
 まるで自宅のように声をかけて、一色褝がオフィスに入ってきたのは、昼過ぎのことだった。
「ゼンくん、お土産(みやげ)!」
 副部長の和泉さんが怒鳴るように言った。
「和泉さん、第一声がそれかよ。とりあえず、はい、お菓子」
「しけてるわねぇ」
 オフィスにいたみんなが笑う。
 私は笑えない。うう、部長の顔を見たら、また気持ち悪くなってきた。
 和泉さんが引き続き声を張る。
「ゼンくん、帰国早々悪いけど、今夜飲み会だからよろしくね」
「え? なんの?」
「国治(くにはる)くんの送別会」
 私は話を聞きながら、そうだったと思い出す。
 今夜は飲み会。体調的にはしんどい。
「えー? 国治って、上のフロアに異動するだけだろ?」
「まー、それでも飲むわよ。社長がやろうって言ってんだから」
「自分が飲みたいだけだ、あのジジイ」
 部長は悪態をつきながら、自らのデスクに戻る。私の横を通り過ぎるタイミングで、ご丁寧に声をかけていく彼。
「おう、梅原。今夜飲み会らしいな。嬉しいだろ」
「部長……それが」
 そのときまで、私は部長にお腹の子のことを言うか言わないか決めていなかった。覚悟もなかったし、あんなことがあったとしても、苦手な人には変わりない。
 それに、彼ほどのいい男に、たった一回のエッチで『子どもができたの!』なんて、どれほど下心がありそうに見えるだろう。たとえ、それが本当のことだとしても。
 でも、このとき私は発作的に言った。
「今夜、飲み会の前にお時間をいただけませんか? みんなが居酒屋に行ったあと、ここで」
「……今じゃダメなのか?」
「丸友の件で、マズイことが起こりまして。誰もいないところでお話しすべきかと」
 これは咄嗟(とっさ)についた嘘。でも、こうでも言わないと引き止められない気がした。
「今夜で間に合うんだな?」
「それは……間に合います」
 部長は怪訝(けげん)そうに眉をひそめ、それから頷いた。

 その夜、誰もいないオフィスで、私と部長は対峙(たいじ)した。
「丸友の件ってのは、なんだ? 俺は昼からずっとヒヤヒヤしてるぞ。なにをやらかした?」
 先に切り出したのは部長だ。私は俯(うつむ)いていた。
 お腹を無意識に触る。
 ここにいるあなた。あなたの存在を父親である人に言わないのは不当だよね。
 私は部長の顔をまっすぐに見据えた。
「赤ちゃんがいます」
 どストレートな告白がオフィスに響いた。

つづく
【小説「ご懐妊!!】次回をお楽しみに


大浦先生アドバイス

【大浦先生アドバイス】精子の寿命は72時間、ときには7日前の精子で妊娠することもあります。予定日のずれは妊娠8週にならないとわからないものとなります。

著者/砂川雨路  イラスト/くにみつ 監修/大浦訓章先生

この小説はスターツ出版文庫から刊行されている『ご懐妊!!』より掲載しています。たまひよWEB版は産婦人科医大浦訓章先生の監修のもと一部改訂しております。


砂川雨路
Profile
群馬県出身。東京都在住。著書に、『愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~』『クールな御曹司の本性は、溺甘オオカミでした』(ベリーズ文庫)、『僕らの空は群青色』(スターツ出版文庫)などがある。現在、小説サイト「Berry's Cafe」「ノベマ!」にて執筆活動中。『ご懐妊!!』(スターツ出版文庫)は現在3巻まで発売中。テキストリンクなどもはれる。

大浦 訓章先生
Profile 
南流山レディスクリニック院長 慈恵医大卒。産婦人科准教授、同大付属病院総合母子健康センター産科部門長、東京母性衛生学会理事、日本周産期新生児学会評議員・副幹事長、日本周産期新生児学会新生児蘇生法委員などを歴任。「たまごクラブ」でも監修をつとめる。

南流山レディスクリニック

ご懐妊!!3~愛は続くよ、どこまでも~

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