【産後お助け動画】乳幼児揺さぶられ症候群を知って! 日本助産師会監修
赤ちゃんとの生活は楽しいことも多いけど、思い通りにいかないこともあります。お世話をしていく中で、ちょっとした感情の高ぶりから、一瞬で赤ちゃんを傷つけてしまうことも!
とくに、赤ちゃんをあやしたりするときは注意が必要です。赤ちゃんの脳にダメージを与える「乳幼児揺さぶられ症候群」のことを正しく理解しておきましょう。
赤ちゃんを、やさしくゆったりと揺らすだけなら大丈夫です
赤ちゃんを抱っこして、ユラユラするだけの日常的なあやし方なら、赤ちゃんにダメージを与えることはありません。やってはいけないのは、赤ちゃんの首がしなるほど強い力で揺さぶること。赤ちゃんの脳を損傷させてしまう可能性があります。
また、首がすわっていない時期の小さめな「高い高い」であっても厳禁。首がしなって、赤ちゃんの脳にダメージを与えてしまうことが!
赤ちゃんをあやすときは、やさしくゆったりと。自分も一緒になってゆらゆらするイメージで行いましょう。
新生児に高い高いはNG!
ママやパパが、小さく上下させる「高い高い」であっても、首がすわっていない赤ちゃんにはNG。
あやしているつもりでも、赤ちゃんを傷つけてしまう可能性があります。
動画のように、やさしくあやして
赤ちゃんをあやすときは、抱っこしているママやパパも一緒にユラユラするつもりで行いましょう。
「乳幼児揺さぶられ症候群」は泣きやまないときに起こりがち。激しく揺さぶらないで!
「乳幼児揺さぶられ症候群」は、赤ちゃんがなかなか泣きやまず、大人がなんとか泣きやませようとして、激しく揺さぶることで発症するケースがほとんどです。
泣きやませようとして、首が前後にしなるくらい激しく、強い力で暴力的に揺さぶるのは絶対にダメなんです。また、実は無意識に、赤ちゃんに対して自分のイライラをぶつけている虐待行為になっている可能性も。
泣きやまないからといって、激しく揺さぶるのは、絶対にやってはいけません!
首がしなるようにあやすのは絶対にやめましょう
赤ちゃんが、なかなか泣きやまないと、大きく揺さぶってしまいがち。すると、首がしなってたいへん危険です。絶対にやめましょう。
そのとき、赤ちゃんの脳では…!
赤ちゃんの首が激しく前後に揺さぶられると、脳と頭蓋(ずがい)骨が大きくずれます。赤ちゃんの脳は動きやすくてやわらかいため、ずれやすいのです。このき、脳の血管や神経が引きちぎられてしまうことがあります! そうなると赤ちゃんは低酸素状態になり、脳の細胞が破壊され、硬膜下血腫(こうまくかけっしゅ)、呼吸困難、失明…などの厳しい状態に。時には死亡するケースまであるのです。
生後1~2カ月の赤ちゃんは生理的にもよく泣く時期
「いつもはすぐに泣きやむのに…。なんで今日は泣きやまないの?」と思うこともあるかもしれません。赤ちゃんはいつでもスムーズに泣きやむわけではないうえ、とくに生後1~2ケ月ころは、生理的に最もよく泣く時期と言われています。どうして泣いているのか探ってもわからない場合は、「赤ちゃんは泣きたい気分なんだ」と思って、様子をみましょう。
感情の高ぶり、怒り、イライラ…こんなときはどうする?
なかなか泣きやんでくれない赤ちゃん。どうしようもなくイライラしたり、怒りの感情がわいてしまったりすることもあるでしょう。「怒り」は、どの感情よりも強く、抑制するのが難しいもの。そんなときは、赤ちゃんを安全な場所で寝かせ、その場から離れることが、怒りをコントロールする方法です。ほんの数分間ですから、離れていけないことはありません。安全を確かめたらとにかくいったん離れる! そのことだけは頭に入れておきましょう。
怒りでコントロールできないときは
赤ちゃんをあお向けに寝かせ、ベビーベッドの柵を上げるなどして安全を確かめてから、その場から離れましょう。少し離れることが、怒りのコントロールに。
少し離れてみても
その場にいて赤ちゃんを傷つけてしまうくらいなら、ほんの少し離れてみても。
離れたら、ゆっくり大きく深呼吸を。数分間離れたことで冷静になれることもあります。
赤ちゃんとの生活は楽しいこともいっぱい。でも一方ではイライラしてしまうことだってたくさんあります。ママもパパも、いっときの感情で赤ちゃんを傷つけないように! 不安な気持ちや、困ったことが起きたら周囲に相談しましょう。
サポートを求める勇気も大切です。あなたのまわりには、あなたを助けてくれる人がたくさんいます。夫はもちろん、親や兄弟姉妹、友人など、心をゆるせる人と気持ちの共有を。子育ては、パートナー、家族、社会など、チームでするものです。
ひとりで抱え込まないで、大切な赤ちゃんをみんなで守っていきましょう。
監修/日本助産師会 撮影/小山志麻 モデル/深沢奈央(JAZZ) スタイリング/梶本美代子 ヘア&メイク/杉山ミキ 文・動画制作/たまひよ編集部 動画撮影日2020年5月13日