「産後、夫婦げんかが増える」「セックスレス」その原因は?解決の糸口とは?【夫婦カウンセラー】

子どもが生まれるまでは、夫と仲がよく意見の違いもなかったのに、子どもが生まれてからはしょっちゅう夫婦げんかをしている、スキンシップが減ってしまった、というようなことはありませんか。
年間200組以上の夫婦カウンセリングをしているというおいかわのりこさんは、「日本でも最近は夫婦問題について、夫婦でカウンセリングを受ける人が増えてきた。夫婦問題は放置していても改善はしないので、早めに解決に向けて動いたほうがいい」と言います。
子育て世帯の夫婦にこのような問題が起こる原因と解決のヒントについて、おいかわさんに話を聞きました。
「産後、夫婦げんかが増える」その原因は?
おいかわさんのもとを訪れる相談者の人たちの夫婦げんかの原因は、家事・育児の分担への不公平感が多いとのこと。
「男性側が仕事優先で家事・育児に非協力的だったり、女性側が育休中なので家事・育児の分担が偏ってしまったりしている家庭が多いですね。
家事・育児ともにワンオペだったり、ワンオペ気味だったりすると、相手への不満がたまりやすく、けんかに発展しやすくなります。男性側は十分に家事・育児を分担しているつもりでも、女性側からするとたりていないと感じていて、認識がそろっていないことが多いです」(おいかわさん)
解決の糸口は、不満の原因を明らかにすること
「夫婦げんかが増えたと感じるときは、まずは現状に不満を感じている側が何に不満に感じていて、どんな状況になれば不満が解消するかを突き止めることが重要です」とおいかわさんは言います。
「不満の原因が家事・育児の分担量についてなら、それらから解放される時間を作ることが大切です。パートナーと話し合って分担量を見直すか、仕事などでどうしてもパートナーが分担できないなら家事代行サービスなど外部の手を借りる方法もいいでしょう。
家事・育児の分担量は許容できるものの、パートナーが感謝や思いやりの気持ちがないことが不満というケースもあります。その場合は、パートナーが日々ねぎらいのや感謝の言葉をかけるなどの行動を改善することが必要です。
このように、現状のどこに不満を感じているのかを突き止め、改善することから始めるといいでしょう」(おいかわさん)
「産後のセックスレス」その原因は?
産後のセックスレス問題も、子育て世帯から多く寄せられる相談のひとつなのだそうです。
「子どもが生まれる前が最後で、それから1回もセックスをしていないという話はよく聞きます。産後のセックスレスの原因は、男女どちら側の場合もあります。
女性側だと、産後のホルモンの影響や疲労で性欲が落ちていたり、心に余裕がなくて気持ちが追いつかなかったりなどがあります。一方、男性側だと、母親になったパートナーを女性として見られなくなったり、女性と同様に心や体に余裕がなくなったり…といったケースがあるようです」(おいかわさん)
解決の糸口は、心に余裕を取り戻して夫婦の時間を作ること
夫婦カウンセリングでセックスレスについて相談されたら、まずは心に余裕を取り戻せるようなライフスタイルに改善する提案をするそうです。
「体が疲れ、心に余裕がなくいっぱいいっぱいな状態だと、セックスをする気持ちにはなれません。パートナーも、セックスがないことに不満を感じてお互いに余裕がなくなる…といった悪循環に陥ってしまいます。
そのような場合は、心に余裕を取り戻せるような提案をします。たとえば、夫婦のどちらかが子どもを見ている間にどちらかが自由に外出する時間を作る。お子さんをベビーシッターに数時間預けて夫婦2人の時間を作るなど…。実際にライフスタイルを変えて、心に余裕を取り戻すことがセックスレス脱出の第一歩です」(おいかわさん)
相手の価値観や気持ちを尊重しあうことが夫婦円満のポイント
数多くの夫婦問題を解決してきたおいかわさんが考える、夫婦円満のポイントはどのようなものでしょうか。
「夫婦円満のポイントは、相手の価値観(こだわり)や気持ちを尊重しあえることだと思います。時には、どうしても受け入れられない価値観もあると思いますが、そこを不満としてためこまないように、夫婦で話し合える関係性をいかに構築できるかにかかっていると考えています。
そして、お互いに“いて当たり前”“やって当たり前”の関係にならないように意識し、常に感謝の気持ちを持ち続ける努力は必要だと思います。
それができないと、しだいに共感できなくなったり、信頼できなくなったりして感情をぶつけ合ってしまいます。争いをしても愛情は育ちませんよね。
もし、夫婦間での話し合いがうまくいかないときは、夫婦カウンセリングを依頼するなど、プロに相談するのもおすすめです」(おいかわさん)
夫婦カウンセリングでは、夫婦が抱えている問題を明確にすることからスタートします。そして、解決の妨げとなっていることを突き止め、問題解決・関係修復に向けて具体的に何を変えていけるか話し合いが行われます。
「ただ話を聞くだけではなく、関係改善に向けた実践的なアドバイスも行えるので、問題解決に有効でしょう。どんなご夫婦になりたいのかをあらためて考えていただき、建設的な方向へとかじをきるきっかけの場にもなると思います」(おいかわさん)
お話・監修/おいかわのりこさん 取材・文/ひよこクラブ編集部
夫婦間で問題が起こったときは、不満をためこまずにしっかりと話し合うことが何より大切です。どうしても話し合いが平行線になってしまう場合は、プロのカウンセラーに相談するのも方法のひとつではないでしょうか。
おいかわ のりこさん
Profile
「夫婦問題相談室フォルテ」にて、相談者が抱えている悩みを伺い、カウンセリング・コーチングなどさまざまな手法を用いて問題解消に向けたサポート業務を行う。夫婦、家族、子育てなどの相談多数。【資格】夫婦カウンセラー、子育てアドバイザー、行動心理士、コミュニケーション心理学マスターコーチ。