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【医師監修】赤ちゃん、子どもの発達障害の1つ、吃音とは?チェックリストつき

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子供と母
DragonImages/gettyimages

吃音(きつおん)は「どもり」ともいわれ、発達障害と総称される注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、学習障害(LD)の近縁の障害と考えられています。赤ちゃん・子どもの吃音の特徴やかかわり方、専門家のサポートを受ける目安などについて解説します。

吃音とは?

言語、会話、コミュニケーションなどに不具合がある状態を「コミュニケーション障害」といい、吃音はコミュニケーション障害の1つです。

「発達障害」は生まれつきの脳機能障害の“総称”

まず大前提として理解しておきたいのは、「発達障害」は単独の障害の診断名ではなく、基本的には注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、学習障害(LD)という3つの代表的な障害の総称です。発達性協調運動障害(DCD)、チック症、吃音は「発達障害」の近縁の障害と考えられています。
なぜ「発達障害」という総称で呼ばれるのかというと、どれも幼少期から症状がみられる、生まれつきの障害だからです。以下で「発達障害」と表す場合は、診断名ではなく、これらの障害の総称として使っています。

多くは2~5才に発症し、特徴は「なめらかに話せない」こと

吃音は話し言葉がなめらかに出ない発話障害。「なめらかに話せない」状態は下記の3つに分けられ、多くは軽い繰り返しから始まります。

●吃音の3つの分類チェックリスト

□連発/初めの音や言葉の一部を繰り返す 例:き、き、きりん
□伸発/初めの音を引き延ばす 例:きーーりん
□難発/最初の言葉が出づらく、力を込めて話す 例:………きりんっ!

発達性吃音の特徴

・幼児が2語文以上の複雑な発語を始める時期に起きやすい
・2~5才に発症することが多い
・発症率は2~5才の5%程度
・男児の割合が高い

9割は幼児期に起きやすい発達性吃音です。

獲得性吃音の特徴

・神経学的疾患や脳の損傷などにより発症する場合がある
・心的ストレスや外傷経験などに続いて発症するものがある
・上記、どちらも発症時期は10代後半以降

吃音症状がある場合の親や周囲のかかわり方

軽い繰り返し程度であれば、本人は気づいていないことが多いです。しかし、吃音を周囲の人に笑われたり、「ゆっくり話してごらん」などと注意されたりすると、吃音に注目されていると感じて緊張が強くなります。その結果、吃音が悪化したり、話すのを嫌がるようになったりしてしまいます。
多少の吃音があっても子どもが話すのを止めず、話したいことに耳を傾け、会話を続けましょう。「吃音があってもいいんだ」と子どもが感じられると、言葉を発することへの不安や恥ずかしさなどを減らすことができます。

家庭でのかかわり方と専門家のサポートついて

幼児期の吃音は8才ごろまでに自然に治ることが多いですが、だからと言ってほうっておいていいわけではありません。なめらかに話せないことを子どもが気にしたり、思い通りに話せなくてイライラしたりしないように、ゆったりとした気持ちで話せる環境を整えてあげることが大切です。
なお、小学校入学後も吃音が残っている場合は、担任の先生などに相談して、専門家の指導を受けることを検討しましょう。
子どもが吃音を気にせずに、のびのびと話せる環境を整えることが大切です。よかれと思ってやったことが逆効果になることもあるので、やっていいこととダメなことを知っておきましょう。

吃音のある子へのかかわり方 やっていいこと

〇子どもと会話をするとき、大人が「ゆっくり」「ゆったり」と話すことを意識する
〇子どもが話し終わったら、一呼吸置いてから返事をする(発話と発話の間に十分な間を取る)
〇子どもが話しているときは相づちを打ったり、うなずいたりしながら最後まで話を聞く
〇忙しいときは「あとでお話を聞くから待っててね」と言い、あとで必ず話を聞く
〇子どもが複数いる家庭は「順番に話す」「人が話しているときに邪魔しない」ことを約束し、きょうだいが会話に割り込まないようにする
〇会話だけでなく、生活全般において時間に余裕をもち、あせらせないように心がける
〇短い時間でいいので、毎日子どもと一対一でかかわる時間を意識して設ける

吃音のある子へのかかわり方 やってはダメこと

×子どもが話し終える前に返事をするなど、会話を中断させる
×子どもに対して「ゆっくり」「落ち着いて」などの声かけを頻繁にする
×お出かけや習い事などの予定を詰め込み、忙しく過ごさせる

小学校入学後にも吃音がある場合は、専門家に相談を

幼児期の吃音は特別な指導や支援を受けなくても、8才ごろまでに自然に治ることが多いです。
小学校に入って吃音が引き続き見られる場合は、言語聴覚士など言葉の専門家に相談しましょう。適切な指導・支援を受けると、日常生活に支障が出るほどの吃音はなくなることが多いです。

小学生は小学校に設置されている「ことばの教室」で、授業の一部や放課後に週1回1時間程度、吃音の軽減や改善のための指導・支援を受けられる(通級指導)場合があります。担任の先生や、小学校の特別支援教育コーディネーター、住んでいる地域の教育委員会に相談してみてください。
就学前の子どもや、小学校に「ことばの教室」が設置されていない地域では、療育センターや病院のリハビリテーション科、耳鼻科などで、言語聴覚士による指導・ 支援を受けることで、吃音の軽減や改善を図ることが可能です。

8才ごろまでの吃音は自然に治ることが多いので、吃音を気にせずたくさんおしゃべりできる環境を整えることが大切です。小学校に入っても吃音がみられるときは専門家の指導が必要になることもあるので、子どもが話すことに困難を感じている場合などは、専門医の指導を受けることを検討しましょう。

取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

監修/榊原洋一先生

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