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育休推進の法改正。パパが育休を取りたくても阻害…パタハラの実態とは?【専門家】

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日本人男性ビジネスマン
※写真はイメージです。
kazuma seki/gettyimages

男性も育休が取りやすいように、企業側から育休取得を個別に働きかけることなどを義務づけた「育児・介護休業法」の改正案が、2021年6月3日衆院本会議で可決、成立しました。
現行の法律でも、子どもが原則1歳になるまでは、男性も育休が取れることになっています。しかし男性が実際、育休を取ろうとすると職場から理解を得られないケースが多いのが現実です。男性が受けるパタハラ被害などの労働問題に詳しい、弁護士法人みお綜合法律事務所 弁護士・社会保険労務士石田優一先生に話を聞きました。石田先生は、5カ月の女の子のパパでもあります。

パパが育休を取りたくても阻害されるパタハラの実態とは!?

パタハラという言葉を聞いたことはありますか。
パタハラとは、パタニティ(父性)・ハラスメントの略。男性が育児参加を通じて自らの父性を発揮する権利や機会を、職場の上司や同僚などが阻害することです。

石田先生は、男性の育休取得によるパタハラには主に次のようなケースがあると言います。
男性が育休を取得することによって
1.職能給の昇給を認めない
2.昇格試験が受けられない
3.過小な業務内容に変更される
4.プロジェクトメンバーや海外出張など一部の業務からはずされる
5.職場で「やる気がない」など批判される 

パタハラは法律違反!法的被害を受けている意識をもって

パタハラの裁判で知られているのは、2014年7月18日、大阪高裁で判決が下った「医療法人稲門会(いわくら病院)事件」です。
このケースでは、3カ月間の育休を取得した男性看護師に対して、就業規則の規定を理由に職能給の昇給を認めない扱いをしたほか、昇格試験の受験資格も与えませんでした。大阪高裁はこれらを違法と判断し、昇給を認められなかったことで男性看護師が受けた損害の賠償を命じました。

しかし石田先生は、この事件のようにパタハラが裁判で争われるケースはかなりまれだと言います。

「パタハラの被害を受けても、そのことを争う方はとても少ないと思います。パタハラの被害を受けても、それが違法なことだと意識していない人が多いのが、理由の1つです。また、違法なことだとわかっていても“多くの人がガマンしているから自分もガマンしないと”と泣き寝入りしているケースも多いと思います。1人1人がこういった考え方を見直していかなければ、今の状況は変わっていかないと思います」(石田先生)

悩んだときは、労働問題に詳しい弁護士など専門家に相談を

もしパタハラを受けて困ったときは、どこに相談するといいのでしょうか。

「労働基準監督署への相談も考えられますが、まずは、労働問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。弁護士というと裁判で争うことしか相談できないイメージをもつパパ・ママも多いと思いますが、たとえば職場の上司と話し合うときの注意点をアドバイスしたり、穏便な解決策を提案したりもできます。弁護士選びに迷ったときは、各地方の弁護士会に相談してください。

パタハラ、マタハラと区別することなく、妊娠・出産・育児に関連したハラスメントがなくなり、ワークライフバランスを保ちながら働ける環境づくりが、これからの日本の課題だと思います」(石田先生)

取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

お話・監修/石田優一先生

石田先生は、弁護士に相談するときは「穏便な解決をめざしたいか?」「争いたいのか?」などの方向性をあらかじめ考えておくことが大切と言います。1人の弁護士の答えだけで納得できなければ、複数の弁護士に相談することもおすすめだそうです。

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