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始まりは3時間止まらなかった鼻血…。6才で白血病を発症した女の子の闘病記【小児科医コメントつき】

小児白血病は成人白血病より治療成績がよく、長期生存率も高いといわれますが、おとなでもつらい治療に耐えなければいけません。石田千誉(ちよ)ちゃんは6才のときに急性骨髄性白血病を発症し、6カ月の闘病生活を送りました。ママの石田さつきさん(32才)に、発病から現在に至るまでの症状や、ママの気持ちなどについて聞きました。千誉ちゃんも同席してくれたので、一緒に話を聞きました。また、主治医である国立成育医療研究センター小児がんセンター血液腫瘍科診療部長の富澤大輔先生に、治療について解説してもらいました。

(上の写真は退院の日。手にしているのは、病棟スタッフからのお祝いの寄せ書き)

サラサラとした鼻血が3時間たらたらと。手足の黄色みや、あざも指摘され…

入院中、輸血をすると、副作用で全身にかゆみの強い発疹が出たことも。

白血病は「血液のがん」。石田千誉ちゃんが発症した急性骨髄性白血病は、骨髄で血液をつくる過程で、未熟な血液細胞の骨髄系前駆細胞に何らかの異常が起こり、がん細胞が増殖することで起こります。日本では年間約180人が新たに診断されています。

――千誉ちゃんが急性骨髄性白血病と診断されるまでの経緯を教えてください。

石田さん(以下敬称略) 2019年の年末近くの千誉が6才のとき、夜中に急にサラサラした鼻血がたらたらと出続け、止まるまでに3時間かかりました。でも、ほかに症状はなく元気なので、翌日は普通に保育園に行かせたんです。ところが迎えに行ったとき、保育園の先生に「千誉ちゃんはみかんが好きで、いっぱい食べてる?」と聞かれ、理由を聞いたら「手と顔が黄色い気がする」とのこと。

私はシングルマザーで、同居している実母は医療関係者。相談したら「白血病という血液の病気もあったりするから、一度病院で診てもらったほうがいい」と言われ、近所の耳鼻咽喉科を受診しました。もちろん“念のため”という気持ちでした。白血病という名前は知っていても、「まさかうちの子がそんなわけはない」という気持ちでの受診でした。

問診で先生が手首と足にあざがあるのを見つけ、血液の病気かもしれないからと血液検査をすることに。翌日、「白血病の可能性があるから、すぐに国立成育医療研究センターを受診してください」と電話があり、紹介状をもらったその足で行きました。

――「白血病かもしれない」と最初に医師から伝えられたとき、どんなお気持ちでしたか。

石田 鼻血が止まらなかったとき、少しだけ「白血病」という言葉が頭をよぎったけれど否定していたので、病院からの電話で「白血病」という言葉を聞いたときは、一瞬頭の中が真っ白になりました。でも、とにかくすぐに診てもらわなければ…と思い、取るものもとらず急いで国立成育医療研究センターに向かいました。

救急外来で検査し、即入院。ママはパニックになり、涙が止まらず目ははれっぱなしに

抗がん剤の影響で血球が減り、40度の高熱が出ているとき。ぐったりして食欲もない状態。

国立成育医療研究センターの小児がんセンターは、日本中の病院から紹介された白血病の子どもの治療を行っています。千誉ちゃんはその日のうちに急性骨髄性白血病と確定診断されました。

――検査後、緊急入院になったそうですが、つき添いはどうされましたか。

石田 急な入院で不安になっている千誉を1人にさせたくなかったので、そのまま私も病院に泊まり込みました。でも、不安で押しつぶされそうになっていたのは実は私のほう。千誉が寝たあとなどにインターネットで急性骨髄性白血病のことを調べ、「生存率60~70%」という説明を読むと、「千誉が生きられない確率は30~40%もあるんだ」と、怖くて悲しくて涙が止まりませんでした。白血病では「完治」という言葉は使われず、表現は「生存率」という言葉であることがショックでした。

今振り返ると、入院当初の私はほぼパニック状態でした。先生が病状や治療ついて説明してくれたのも、よく覚えていないんです。同席した母が冷静に聞いてくれたので本当に助かりました。

――石田さんはフルタイムで働いているそうですが、つき添いと仕事はどのように両立されたんでしょうか。

石田 新型コロナの感染拡大でつき添いがNGになるまでは、病院から出勤して病院に帰る生活でした。治療でつらい思いをしている千誉のそばにできるだけいたかったし、私自身も千誉の顔を見ないと安心できませんでしたから。

――白血病と診断された当初はパニックになってしまったけれど、白血病と向き合い、千誉ちゃんを支えなければいけないと決意されたとのこと。何かきっかけがあったんでしょうか。

石田 抗がん剤などの薬は中心静脈カテーテルから投与するのですが、長期間治療をするためにカテーテルを埋め込む手術をするんです。カテーテルを挿入された千誉の姿を見て、いよいよ本格的な治療が始まるんだと感じました。そして、私が泣いている場合じゃない、千誉を支えなければ、と気持ちを切り替えました。

5回の治療は、入院と一時退院の繰り返し 

土・日は持ち込みの食事が認められ、大好きなハンバーガーを食べてニコニコ。

白血病は「リスク・グループ」によって治療法が決まります。千誉ちゃんのグループでは、間隔をあけて5回の抗がん剤などによる化学療法を行うのがスタンダードな治療法です。

――抗がん剤の副作用として、髪の毛が抜けてしまうことがありますよね。千誉ちゃんの様子はいかがでしたか。

石田 ちょっと触るだけで髪の毛が抜けるのでびっくりしていましたが、すごくショックを受けているふうではありませんでした。病棟では周囲の白血病の子たちも、みんな同じように髪の毛が抜けていたからかなと思います。

――千誉ちゃん、治療で嫌だなあと思ったのはどんなことでしたか。

千誉ちゃん(以下敬称略) 大きくて苦いお薬(ダイフェン※)を飲むのがイヤでした。

石田 大人でも苦くて飲みにくい薬なんだそうです。最初はくだいてゼリーに混ぜたりしていたのですが、混ぜるとゼリーがまずくなり飲みにくかったようで、最終的には錠剤を半分に割ってそのまま飲むようになりました。最初はかなり苦戦していましたが、看護師さんが「お薬を飲むのが大人みたいに上手」とほめてくれたことで、頑張ろうと思えたようです。また、飲めたときは盛大にほめるとともに、小さなおもちゃなどを用意して、千誉の頑張りを応援しました。

千誉 あと、麻酔をしたときに急に眠くなるのは少し怖かったです。

石田 毎回治療の前に、骨髄穿刺(こつずいせんし)と髄注(ずいちゅう)をするための麻酔を行います。処置室で遊んでいているうちに、急に麻酔が効いて眠るようです。目覚めたときは視界がぼやけているらしく、慣れるまで気持ち悪そうにしていました。

また、熱など抗がん剤の副作用を減らすために使われるステロイド剤を投与すると、副作用ですごく不機嫌になるんです。一日中不機嫌で無表情で、話しかけてもプイッと顔を背けたりするので、薬のせいだとわかっていても、つらかったですね。

輸血の副作用で全身にかゆみの強い湿疹が出たり、高熱が出たりも。小さな体で耐えている姿を見ると「どうしてうちの子なんだろう、どうして変わってあげられないんだろう」と何度も何度も思いました。親は励ますことしかできないので、好きなものを食べていい土日には、千誉が食べたいものを持ち込み、少しでも笑顔になれるようにしました。

――20年6月に退院したあと、フォローアップで通院されているそうですね。

石田 退院後1年間は1カ月に1回、今は2カ月に1回通院し、血液の状態などを診てもらっています。5年間はフォローアップが必要で、将来的には不妊の可能性なども検査するそうです。

私も千誉も、再発のリスクを頭の中から消すことはできません。でも、今はとても元気ですから、そのことに感謝し、毎日笑顔で過ごせるようにしようと、千誉と話しています。

※ダイフェン
抗がん剤で免疫力が低下することで肺炎を発症するのを予防するための薬

【富澤先生より】5コースの化学療法を約半年かけて実施。経過は良好です

急性骨髄性白血病は子どもでは2番目に多い白血病です。白血病細胞だけに起こっている遺伝子や染色体の異常の種類、抗がん剤治療の効き具合から、再発リスクに応じてどの「リスク・グループ」に属するのかを判定し、最終的な治療方針を決定します。これを「層別化治療」といい、再発リスクが低いと見込まれる患者さんには、できるだけ副作用の少ない治療を、逆に再発リスクが高いと見込まれる場合には、骨髄移植などを含めた強力な治療を選択します。

千誉ちゃんの場合は、5コースの化学療法を約半年間かけて行う方針となり、幸いにして順調に経過しています。千誉ちゃんは定期の外来で、いつも学校や家庭でのできごとをはにかんだ笑顔で話してくれますが、私の外来での楽しみの1つです。


お話/石田さつきさん、千誉ちゃん

監修/富澤大輔(とみざわだいすけ)先生

取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

千誉ちゃんは現在小学校2年生。図工が好きで、将来はお花屋さんになりたいそう。急性骨髄性白血病のつらい治療に耐えた千誉ちゃんと、それを支えたさつきママ。二人の姿は、同じ病気の子どもを持つママ・パパに、希望を与えてくれるのではないでしょうか。

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