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RSの次はパラインフルが流行?!この秋冬、子どもが気をつけるべき感染症とは?【小児科医】

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発熱、クローズアップ医療温度計、親/父親は彼の病気の子供の温度を測定し、アジアの3-4歳の幼児の男の子は高熱を取得します
※写真はイメージです
yaoinlove/gettyimages

パラインフルエンザというウイルスを知っていますか?名前だけ聞くと、季節性インフルエンザの仲間なのかな、と思うママやパパもいるかもしれません。
パラインフルエンザは国立感染症研究所(※1)の報告によれば、この夏、流行が確認されたそう。そこで、パラインフルエンザウイルス感染症について知っておきたいことを、帝京大学医学部附属溝口病院の黒澤照喜先生に聞きました。

パラインフルエンザ感染症とはどんな病気?

国立感染症研究所の報告によれば、今年(2021年)は春から夏にかけて2才までに一度は感染するといわれるRSウイルス感染症の感染が急激に増加し、過去最高値になりました。その一方で、夏以降、年長児にはパラインフルエンザウイルスなる感染症が流行していると言います。
「パラインフルエンザは聞き慣れないウイルスかもしれません。パラインフルエンザ感染症とはどんな症状が出るのかお伝えします」(黒澤先生)

パラインフルエンザ感染症にかかった場合の例

「もともと元気な1才の男の子。今年の4月に保育園に入りましたが、それ以来何度も風邪をひいています。その後も保育園で風邪をひいている子どもが多い状態が続いていました。

今回は39度の発熱、せき、鼻水があり、かかりつけの小児科を受診しています。本人が比較的元気であったため診察を受け、風邪薬を処方されて帰宅となりました。その後も38度以上の発熱が続き、とくに夜間には40度近くになることもありました。せき、鼻水も強くなってきたため、発熱して4日目にかかりつけの小児科を再診したところ、こじれている可能性を指摘され地域の大きな病院を紹介されました。

紹介先では診察に加えて血液検査やエックス線検査が行われ、肺炎と診断されました。この紹介先は県立小児病院レベルの大きな病院であったため、病原体の検査を行ったところ、パラインフルエンザ(3型)が検出されました。これに加えて、本人も熱の割には元気で食欲も保たれ、眠れていること、息苦しさなどの呼吸の問題もないことより、引き続き風邪薬を使用しながら入院せず様子を見ることになりました。
自宅で安静にしていたところ、翌5日目には熱が下がり始め、6日目からは平熱になり、せき・鼻水も徐々に改善し、10日目にはほとんど症状がなくなりました。保育園は2週間程度休みましたが、その後は元気に登園しています」(黒澤先生)

パラインフルの症例からわかることは6つ

黒澤先生が挙げた例は、フィクションではありますがパラインフルエンザの比較的重症例の一つです。パラインフルエンザの症状には6つのポイントがあります。

1.健康な子にかかり、5才までに一度はかかる

「パラインフルエンザは健康な子どもに感染します。5才までにほぼすべての子どもが一度はかかるとされています。保育園に入りたてだといろいろなウイルスにかかり、その一つがパラインフルエンザであることがあります。
なお、乳幼児の風邪で多い原因ウイルスには、ライノウイルス、パラインフルエンザウイルス、コロナウイルス(新型ではない)、RSウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、インフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ボカウイルスがあります」(黒澤先生)

2.無症状から悪化して肺炎までさまざま

「熱は5日程度続くことがあり、せき・鼻水の症状は10~14日程度続くことがあります。一方で、単なる風邪で済む場合には熱は短く、せき・鼻水の症状も長くないことがあります。症状が長引いてこじれてしまい肺炎になってしまう子から、ただの風邪で済む子、症状が出ない子までさまざまです」(黒澤先生)

3.一般的には検査でウイルスの特定はしない

「パラインフルエンザはRSウイルス、インフルエンザウイルスなどと比べると検査が簡単にできませんが、全体として重症度が低めです。

一般の診療では病原体がわからずとも症状の重い軽いなどに応じた治療がされるため、このウイルスを同定する必要は必ずしもありません。一部の大きな病院や大学などが研究室レベルでは行うことがあります。なお、パラインフルには、ウイルスの型により、HPIV-1、HPIV-2、HPIV-3、HPIV-4 の4つの型があります。3型が初夏、それ以外は秋に多いとされますが、検査がしづらいこともあり全容はつかめていません。国立感染症研究所の報告によれば、この夏には3型の流行が確認されました」(黒澤先生)

4.特効薬はないため対症療法で治療

「パラインフルエンザに対する特別な薬はないため、症状に合わせた薬が用いられます。風邪薬(せき止め・たんを切る薬など)をベースに、解熱剤、(クループになっているとき)吸入、(細菌感染症を合併しているとき)抗菌薬(抗生物質)などを使用します。ほかの風邪同様、水分の摂取を促し、鼻水・鼻詰まりに対して鼻吸引を行ってせきや中耳炎対策を行います。ただし、本人の状態が悪い場合には入院することもあります」(黒澤先生)

5.出席停止指定ではない

「パラインフルエンザで保育園を休む期間は決まっていません。しかし肺炎を起こすくらい悪化した場合は、本人が十分に元気になるまで念のため自宅で安静にすることが多いでしょう」(黒澤先生)

6.こじれると中耳炎、クループ、肺炎などに

「最初は上気道炎や鼻炎などのいわゆる風邪ですが、こじれると中耳炎・クループ・気管支炎・細気管支炎・肺炎などになります。また、感染が長引く場合はパラインフルエンザウイルス感染症に細菌感染も合併するため、重症化の原因となります。なお、とくに大きな後遺症はないとされています」(黒澤先生)

感染予防は新型コロナ対策とほぼ同じ!

黒澤先生は保育園での感染例を挙げてくださいましたが、パラインフルエンザウイルスと新型コロナウイルスは共通する点も多いと言います。

「パラインフルエンザウイルスは、感染した人の気道の分泌物中に出てきます。感染した人がせきをすることによって生じた飛沫を吸い込んだり、感染した人の気道の分泌物が付着したものに触れた手でウイルスを自分の目・口・鼻等の粘膜に運んだりして、周囲の人たちに感染することがあります。

パラインフルは新型コロナウイルスと同様、エンベロープを持つウイルスです。エンベロープとは、脂肪・タンパク質・糖タンパク質からできている膜で、ウイルスが増殖して細胞から飛び出してくるときに細胞の成分をまとって出てきたものです。エンベロープは脂質に作用するアルコール消毒剤からダメージを受けやすく、失活します。

そのため、パラインフルエンザウイルスも新型コロナウイルス同様、アルコールが効きます。それ以外にも手洗い・マスクが効果的です。昨年パラインフルエンザウイルスが流行しなかったのは、新型コロナウイルスの対策がパラインフルエンザにも効いていたためと考えられます。

その結果として免疫を持った(=すでに感染した)子どもが例年に比べて少なくなっており、また、保育園登園などの社会生活はコロナ前に戻りつつあります。このため、今回のRSウイルスやパラインフルエンザのように、ひとたび感染が起こると、子どもたちの間でまん延したと予想されます」(黒澤先生)

最後に、これから秋冬に向けて、さまざまな病気にかかる可能性がありますが、黒澤先生に心がけたいことを聞きました。

「どのウイルスが子どもたちの間で問題になるかは、ウイルスの流行具合、子ども自身のかかりやすさ、免疫があるか、季節などさまざま要素で変わります。

ただ、今回取り上げたウイルスの大部分は、マスク・手洗い・アルコール消毒や3密回避といった新型コロナウイルス対策がそのまま利用できます。風邪をひかないようにするのは現実的ではないものの、こういった予防や体調が悪いときにはむちゃをしないなど、日ごろからできることをこつこつと行っていきましょう」(黒澤先生)

黒澤先生によれば、パラインフルエンザは症状が重くない層が一定数いて、検査も簡単にできないため感染の全容が明らかになっていないのが現状だそうです。親としてはどんなウイルスに感染したのか気になるところではありますが、いちばん大事なのは子どもが元気になること。何かのウイルスに感染したと思ったら、症状をよく見て早めに受診し、無理をさせないことが大切なようです。

お話・監修/黒澤照喜先生

取材・文/岩崎緑、ひよこクラブ編集部

※1パラインフルエンザ3分離・検出報告数
https://nesid4g.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data105j.pdf

※2直近のRSウイルス感染症の状況
https://www.niid.go.jp/niid/ja/rs-virus-m/rs-virus-idwrc/10607-idwrc-2129r.html

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