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なかなか治らない子どもの鼻水、放置しておくと危険!こんな鼻水には注意して【小児科医】

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日本の赤ちゃんと若い母親がリラックス
※写真はイメージです
itakayuki/gettyimages

この4月から新入園して保育園生活や幼稚園生活がスタートした子どもたちも多いと思います。と同時に、集団生活と切っても切り離せない、子どもの「鼻水」が気になっているママ・パパもいるのではないでしょうか。
「鼻水くらいで病院へいくのは…」と、受診をためらっていたら、赤ちゃんが中耳炎になってしまった、というケースもあるようです。赤ちゃん・子どもの鼻水との上手なつき合い方について帝京大学医学部附属溝口病院の小児科医・黒澤照喜先生に聞きました。

保育園・幼稚園に通い始めると、子どもは鼻水を出すことが多くなる?

――保育園・幼稚園に通い始めると、子どもは体調を崩して鼻水を出すことが多くなるのでしょうか?

黒澤先生(以下敬称略) 5月・6月頃の外来でよく見かける風景です。「今まで健康だったのに、この1~2カ月、せき・鼻水が治らない。大きな病気にかかっているのではないかしら」というママの訴えで、お子さんが受診します。聞けば、4月に保育園・幼稚園に入園したとのこと。お子さんは比較的元気で風邪という診断に落ち着くのですが、時に中耳炎が見つかることもあります。これは入園後に、立て続けに風邪をひいているからです。

――集団生活に入ることで、ウイルスに触れる機会が増えるということでしょうか?

黒澤 入園前は、周囲から病原体をもらう頻度が少ないため、結果として免疫を持っていない状態で入園を迎えます。そのようなお子さんたちの中に何種類もの病原体が次から次へと感染するため、すぐに鼻風邪にかかります。とくに、2021年6月現在はRSウイルス感染症が流行しており、鼻風邪のまん延に影響しているようです。

――子どもが鼻水をよく出すのはなぜでしょうか?

黒澤 赤ちゃんなら、ママからもらった免疫が減ってくる生後6カ月ごろからや、保育園や幼稚園入園後に風邪をひきやすくなります。ウイルスが原因の風邪では、鼻水は下記の「鼻水の経過」の1→2→3の経過をたどります。しかし、細菌感染だけでなく、通常のウイルス感染(たとえばRSウイルス感染)でも粘っこい鼻水が多量になることがあります。その場合は1→2→4の状態に。とくに、2~4の状態は鼻水がのどに落ちてせきが出たり、中耳炎や結膜炎になったりしやすいので注意が必要です。
その中でも、3や4はどろどろした鼻水が垂れてこないで鼻の中にたまっているため、知らぬ間に中耳炎になったり、せきが収まらなかったりします。

【鼻水の経過】
1.少量のさらさらで透明な鼻水
2.多量のさらさらで透明な鼻水
3.少量のどろどろで色つきの鼻水
4.多量のどろどろで色つきの鼻水

――鼻水は色味や形状、さまざまなタイプがあります。どんな鼻水に注意をしたらいいでしょうか?

黒澤 鼻水の色はあまり関係なく、むしろ、ねばねばした鼻水かどうかが重要です。鼻水が外に垂れていると鼻吸引をしようという気になるのですが、ねばねばの場合は垂れてこないため、鼻吸引が不要と思ってしまったり、回数が減ってしまったりすることで、かえってこじれることが多いので要注意です。

気づけば中耳炎になっていた!そんなことにならないために

――一度、中耳炎になると、くせになりやすいと聞きますが、本当でしょうか?

黒澤 私はくせになりやすいとは思いません。ただし、繰り返している場合は以下の原因が考えられます。

[1]年齢の問題
小さいお子さんは体の構造的に中耳炎になりやすいです。また、免疫を持っていないため、風邪をひきやすく、結果として中耳炎にかかりやすくなります。

[2]環境の問題
入園後は風邪を繰り返し、結果として中耳炎にかかりやすくなります。

[3]鼻吸引・鼻かみの回数がたりない
鼻吸引や鼻かみが不足していて、鼻水や病原体が中耳に流れ込むと中耳炎にかかりやすくなります。

鼻水が中耳に流れ込むと中耳炎になるため、私は「中耳炎は耳の病気というより鼻(鼻水)の病気」と伝えています。

[1]や[2]の構造・免疫・集団生活については変えることはできないため、風邪をひかないようにするのは現実的ではありません。一方で、[3]のように鼻水を吸引してあげる・鼻かみをさせると風邪がこじれるのを防ぎ、中耳炎に至らないようにすることはできる可能性があります。

「鼻吸引をしっかりすることで、中耳に流れ込む鼻水・病原体を減らすことができる」ということが受診に来られた親御さんにうまく伝わると、お子さんの中耳炎になる回数が劇的に減るという事例を見てきました。


――子どもが体調を崩してしまったら、どんなケアをしたらいいでしょうか?

黒澤 対策としては、1つめは、ひとつひとつの風邪をしっかり治すこと。
2つめは、頻回の鼻吸引、鼻かみです。中耳炎・せき対策になります。
3つめは、登園再開は慎重にすることです。登園の目安は、丸1日平熱で、せき・鼻水がだいぶ減り、十分に眠れて、食欲・活気・機嫌も元に戻っていること。病み上がりは次の風邪をもらいやすいです。園での活動は、大人の仕事同様かそれ以上に体力を使います。1日休めばその分体力が回復します。
4つめは、入園後3カ月くらい(4月入園ならば6月くらいまで)は風邪をひくことが多いので、ママやパパもお仕事のシフトに注意をしてください。病児・病後児保育室の活用もいいと思います。それ以降(4月入園ならば夏以降)、あるいは1年後には、うそのように風邪をひく回数が減るので、それまでどうか頑張ってください。

風邪をこじらせない予防法は、頻回の鼻水吸引・鼻をかみ!

――子どもの鼻水を長引かせないために必要なことは「頻回の鼻水吸引と鼻かみ」とのこと。1日に何回、吸引するといいでしょうか?

黒澤 大人の鼻かみと子どもの鼻吸引は同じものです。自分が風邪をひいたときに鼻をかむ回数を思い出して、こまめに吸引もしくは鼻かみをしましょう。また、鼻が垂れていなくても油断しないでください。鼻の中に鼻水がたまっていれば中耳炎になったり、のどに落ちたりして、せきが出ます。綿棒・ティッシュでぬぐうだけでは鼻の中の鼻水が取り切れず、不十分なこともあります。とにかく頻回吸引、もしくは鼻かみが大切です。

鼻水があるかどうかわからなければ、まずは頻回に吸引をしましょう
・起床時
・飲む、食べる前
・おふろ上がり
・寝る前
・せき込んで起きてしまったとき
などがそのタイミングです。吸引しても、空気の通りがよくなれば、回数を減らしていきます。

「子どもが嫌がっても吸引ができない」というママやパパの声を聞きますが、鼻吸引が好きな子はいません。しかし、吸引すれば数時間はラクになり、中耳炎・せき対策になります。歯を磨くときのように、一時的にしっかり押さえてでも吸引したほうが長期的にはお子さんのためになると思います。

吸引のコツは、吸引管の向きを顔面に垂直にすること。わからなければ、先端をぐるぐる回して吸引できる向きを探しましょう。管を密着させることも大切です。

監修/【小児科医】黒澤照喜 先生

取材・文/ひよこクラブ編集部

集団生活とは切っても切り離せない、子どもの鼻水。保育園、幼稚園入園後はママやパパの心構えが必要なようです。子どもの鼻水は、頻回の吸引、または鼻かみをすることで、こじらせることなく乗りきっていきましょう。

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