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「体は男の子だけど、女の子の遊びを好む」これってトランスジェンダーなの?性の多様性を考える

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朝食をとっている息子との女性カップル
※写真はイメージです
JLco - Julia Amaral/gettyimages

宇多田ヒカルさんが自身のインスタグラムでノンバイナリー(自身の性を男女のどちらかに当てはめない)であると公表したことや、ジェンダーレスな魅力をもつ有名人の活躍などをきっかけに、性のあり方について考えた人もいるのではないでしょうか。性の多様性への理解が進み始める一方で、妊娠をすると「女の子?男の子?」と聞かれることもまだ多くあります。性の多様性とはどういうことなのか、臨床心理士で明治大学准教授の佐々木掌子先生に話を聞きました。

性別は男女2つに分けられない。人の数だけ性がある

――性の多様性とはいったいどういうことなのか、教えてください。

佐々木先生(以下敬称略)性は主に
【1】身体的性別
【2】性同一性(gender identity)
【3】性役割(gender role)
【4】性的指向(sexual orientation)
などの構成要素があります。
こうしたさまざまな要素の濃淡が一人ひとり異なるということが「性が多様」という意味です。

【1】身体的性別は、内外性器・性染色体などの性的特徴のこと。それは2つだけには分けられず、ホルモンの量や性器の特徴、性染色体などまで、実はさまざまなパターンがあります。出生時に法律上の性を決めるために、主に外性器のかたちで赤ちゃんの性別を決めますが、大きさもさまざまなので、判断が保留になることもあります。【1】~【4】までと違い、法律上の性は多様性を認めていません。したがって体の性は多様なのに、医療者や親をはじめとする社会が赤ちゃんにどちらかを割り当てているといえます。

【2】性同一性(gender identity)は、ある性別に対するアイデンティティのことです。自分が所属していると感じている性別が、人から見られている性や、自分のありたい性と同じだと感じられていれば、性同一性が安定しているといえます。

【3】性役割(gender role)は、社会や文化、時代によって、ある性別に与えられる役割のことです。服装や髪型、しぐさ、趣味嗜好(しこう)など多岐にわたります。たとえば日本ではスカートは女性がはくことが一般的と思われているけれど、国によってはそうではないこともあります。

【4】性的指向(sexual orientation)は、恋愛や性愛の対象となる性別のことです。

これらの要素が、男性的な方向に強いのか、女性的な方向に強いのかは人によって異なります。そして、それぞれが独立しているというのが大事なポイントです。身体的に女性の特徴が強いとしても、スカートを好まない人もいます。男性アイデンティティを持つ人が、男性に対し、あこがれやときめきを感じることもありますし、そしてその人の性役割行動が、強く男性的であることもあります。

すべての人に、さまざまな性の要素がグラデーションで存在していて、どのくらいの濃淡で持っているかが、その人のセクシュアリティの個性だといえます。性は「男・女」の2つには分けられず、一人ひとりが異なる性の個性を持っているのです。決して、性的マイノリティの人たちがいるから性が多様なのではありません。

――このように性が多様であるなかで、性的マイノリティといわれるのはどのような人たちなのでしょうか。

佐々木 代表的なもので、LGBTQという言葉をよく目にするでしょう。

L=レズビアン(女性同性愛)
G=ゲイ(男性同性愛)
B=バイセクシュアル(両性愛)
T=トランスジェンダー(出生時に割り当てられた性別とは異なる性別で生きる)
Q=クエスチョニング(自分のセクシュアリティを探求している)
などです。ほかにも
Asexual(エイセクシュアル:無性愛)
Pan sexual(パンセクシュアル:全性愛)
など、聞いたことがあるかもしれません。

これらは、欧米の当事者たちが自分自身を定義するための用語として使い始めたものです。肯定的に自己のアイデンティティを捉えるための言葉といえます。

性別違和を感じる子どもたち

――幼児期の子どもで、体は男の子だけれど、女の子の遊びを好む、というような場合は、トランスジェンダーといえるのでしょうか?

佐々木 性役割の好みの話であれば、トランスジェンダーではありません。ただし、子どもが割り当てられた性別とは違う性別だと主張したり、違う性別になりたいと言ってきた場合は、将来、トランスジェンダーになることもあります。

海外の調査では、6才前後で性別違和があり受診した子どもを追跡したところ、青年期になってもその違和が持続するのは2割程度だというデータがあります。幼いときに自分の性別とは違う性別だと主張していたとしても、将来的にもずっとそれが続いたり、トランスジェンダーとして発達したりするかというと、そうではないことが多いのです。もちろん、2割くらいのお子さんはトランスジェンダーになるという調査結果でもありますから、「みんなならないんだ」という理解をすることは不適切です。

子どもが性別違和を感じて悩んでしまうのは、「男の子はこうすべき」「女の子はこうすべき」という、性役割を押しつけられてしまう環境が大きいです。どんな服を着てもいい、どんな遊びをしてもいい環境なら、子どもは悩まないでしょう。周囲が、プリンセスのお人形で遊ぶ男の子を見て「なんで?」「変だね」「たいへん!」などと言うと、本人は悩んでしまうんですね。

――子どもが性別違和を感じていても、周囲になかなか言えないものですか?

佐々木 子どもは大人の表情を見たり発言を聞いたりして学んでいます。親がテレビを見て「やだ、男なのにあんな格好をしてる」と笑う、保育園の先生が「女の子はかわいいね」とほめるなどのちょっとしたことが「男はこう」「女はこう」しないといけないものなんだ、と内在化させます。
自分はこうしたいけど、きっと笑われる、変だと言われるだろうから、できない、または言えないということはあります。それでつらさを感じる子どももいます。

子どもの性を決めるのは子ども自身

――たしかに、気づかないうちに「男」「女」という性を決めつけ、はずれると特別視してしまうところがあります。親である私たちが気をつけるべきことはどんなことでしょうか?

佐々木 どんな服、髪型、しぐさ、行動を好むか、どんな人を好きになるのか、どんな体の特徴があるかなど、人によって性の個性は異なります。「多様な性」といったとき、「マイノリティを認めましょう」ではなく、自分自身もその多様な性を持つ1人であると理解してほしいです。そして、子どもの性のアイデンティティを決めるのは、親ではなく子ども自身であることも知っておいてほしいです。

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

お話・監修/佐々木掌子(ささきしょうこ)先生

子どもには、いろんなお友だちと仲よくして、豊かな人生を生きてほしいと願うものです。それにはまず、親である私たちがさまざまな生き方について知り、自分の考え方を振り返ることが大事です。気づかないうちに「こうあるべき」と決めつけていないか、考えてみるといいかもしれません。

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