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【専門家に聞く】話題のこども庁。子育て世代が望む機関になるために、今、ママ・パパにできることは?

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※写真はイメージです
vaeenma/gettyimages

自民党が創設を検討している「こども庁」。今秋に予定される衆議院議員選挙の公約になるとも考えられています。「こども庁」創設で直接影響を受ける子育て世代は、どのような点に注視すべきなのか、教育行政学、教育財政学が専門の、日本大学文理学部教育学科教授の末冨芳先生に聞きました。

「こども庁」は、子どもの危機を1つ1つ解決するような機関になってほしい

現在のしくみだと、子どもに関するいくつかのことは、厚生労働省(保育園や学童保育)、文部科学省(幼稚園や学校)、内閣府(子育て支援対策)などに分かれて対応しています。
縦割り行政のため横の連携が取りづらく、各機関を横断して取り組む必要がある案件は、対応に時間がかかるのが問題になっていました。

2021年4月に、自民党が創設の検討を始めた「こども庁」は、子どもに関することを一元化し、「妊娠期から新生児期、小児期を経て大人になるまで、切れ目なく支援する体制・施策を推進」することをめざしています。

――子どもに関することを一元化するのは重要だと思いますが、新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態が続く今は、こども庁を作るタイミングとしてどうなのでしょうか。

末冨先生(以下敬称略) このタイミングで作ることには疑問があります。本気でこども庁を作るのであれば、十分な人員と財源が必要になるからです。この2つを考えず、「こども庁」という形だけ作るのであれば、子育て世代にとってメリットがないだけでなく、デメリットばかりのものになってしまうのではないかと心配しています。その点は今後も注意して見ていく必要があります。

自民党政権は、これまで子どもと親に寄り添っているとは理解しづらい政策を続けている印象でしたが、「こども庁」に関しては、若手・中堅議員有志が、子どもと子どもを育てる親にとってメリットになる「こども庁」を作るために本気で取り組んでいます。今の動きを見ていると、それには期待していいのでないかと考えています。

また、ほかの政党も、こども庁の創設に向け、独自の創案を打ち出しています。

――先生は教育行政学の専門家であると同時に、小学生2人の子どもを持つママでもあります。研究者として、ママとして、こども庁にどのようなことを望まれますか。

末冨 子どもの命にかかわる緊急事態に迅速に対応できる機関になること、子どもが持つ「幸せになる権利」を守るために動く機関になることを望みます。

具体的には子どもの自殺、虐待、いじめ、不登校、貧困への対応です。これらはそれぞれが関係しあっていることが多いのに、管轄の省庁が異なるために、対応が遅れるケースが後を絶ちません。これらの問題を一手に引き受けて、政策を作ったり改善したりしていく機関になることこそ、こども庁を作る最大の意義だと私は考えています。

幼保一元化など、すでに横の連携ができている分野ではなく、まだ省庁を超えた連携が不足しており早急に連携が必要な課題に力を注ぐ。「こども庁」という箱だけを作って満足するのではなく、目の前で起こっている子どもの危機を、1つ1つ地道に解決していくような機関になってほしいです。

たまひよ世代のお子さんよりかなり上の世代の話ではありますが、コロナ禍で子どもの自殺が増えています。今この時期にこども庁を作るのであれば、一刻も早く対応が必要な、こうした問題から取り組むべきです。

投票した人が落選しても意思は伝わり、子育て支援の充実につながっていく

――2021年秋の衆議院議員選挙では、各政党が公約として、こども庁のことを入れてくることが予想されます。こども庁の創設で直接メリット・デメリットを受けることになる子育て世代は、この動きにどう対応すればいいでしょうか。

末冨 子どもを本当に守ってくれるこども庁を作ってくれるのはどの政党なのか、このことをよく考えましょう。そのためには、各政党の公約をしっかりと読む必要があります。
また、子どもの権利を重視するだけでなく、子どもを産み育てる親が、社会的・経済的な不利益を被る「子育て罰」のない社会、子どもと親にやさしい日本を作ることをめざしているのはどの政党なのかを考えることも重要です。
そして、必ず選挙に行って投票してください。

――「子育て支援に力を入れている候補者に投票しても落選してしまうから、選挙に行っても意味がない」と考え、投票に行かない人もいるようです。

末冨 それは大きな間違いです。どの政党も選挙後に、どんな政策を公約にしたのか、候補者にどの程度の票が入ったのかをかなり綿密に分析し、その結果を次の選挙にいかそうとします。「子育て支援に力を入れるとこれくらいの票が入る」とわかれば、その票を獲得するために、次の選挙には子育て支援を公約にする候補者を立て、その公約を実現させるために動きます。
つまり、たとえ当選しなくても、子育て支援に力を入れている候補者に投票することは、「こういう政策をとってくれれば票を入れる」と与党や野党に意思表示することになり、子育て支援の充実につながっていく、ということです。

一方、投票に行かない有権者の意思は、だれにも伝わりません。その結果「子育て世代は投票率が低いから、子育て支援策を公約にしても票が取れない」と判断され、子育て支援策をおろそかにする社会になってしまうのです。
投票しない(選挙に行かない)ことと、投票した候補者が落選することは、まったく意味が違うことを理解してほしいと思います。

今回の選挙に限らず、投票できる機会はすべて逃さず、子育て世代の意思を伝えるようにしましょう。それが、ママ・パパたち自身と子どもたちの幸せな生活につながっていきます。

取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

お話・監修/末冨芳(すえとみかおり)先生

こども庁が、子どもと子育て中の親の幸せに貢献する機関になるかどうかは、注意深く見ていく必要があります。その最初の一歩となるのが、今度の衆議院議員選挙ということになりそうです。

子育て罰「親子に冷たい日本」を変えるには

子育て世帯に福祉的な「ボーナス」を与えるどころか、金銭的・社会的に「罰」を与えるよう政策を続ける日本を変え、「親子にやさしい国」にするための方策を論じています。(光文社)

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