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「赤ちゃん返り」が教えてくれること【3児のママ小児科医】

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ベッドの上で新生児を抱きしめるアジアの子供
twinsterphoto/gettyimages

3児を子育て中のママ小児科医・藤井明子先生が、診療の中でママやパパたちから寄せられたお悩みについてのアドバイスや、日々の子育てを頑張っているママやパパに伝えたいさまざまな情報を発信する連載です。第14回は、「赤ちゃん返り」をテーマにお届けします。

2人目出産を控えるママからの相談 「赤ちゃん返りが心配です」

私の勤めているさくらキッズくりにっくではきょうだいを一緒に診る機会が多くあります。初めての来院のときには赤ちゃんだった子がすくすくと成長し、弟や妹が生まれてお兄ちゃん、お姉ちゃんになっていく様子もよく見ています。

お兄ちゃんやお姉ちゃんになる子たちのママから「赤ちゃん返り」についての相談を受けることがあります。

子どもによっては、ママのおなかに赤ちゃんがいるとわかったと同時に、いつも以上に甘えるような言動をするようになる子もいるかもしれません。それまでできていたことができなくなったり、できるのにしなくなったりして、赤ちゃんに戻ったような状態に見えることから、「赤ちゃん返り」ともいわれます。

赤ちゃんに戻ったような状態に見える行動は子どもによってさまざまです。
夜泣きが増えた、一人で歩くのを嫌がって抱っこを求めることが増えた、保育園や幼稚園に行き渋るようになった、かんしゃくが増えた、自分で自分のことをしなくなった、おむつはずれ(トイレトレーニング)が後戻りしたなどがあります。

それまでママ・パパの愛情や注目を独り占めしていたのに、それらが自分よりも小さい赤ちゃんに注がれてしまうのではないかという不安や、また、弟や妹が赤ちゃんが生まれることによる環境の変化によって起こされるといわれています。

「あなたのことも大事だよ」というメッセージを伝え続けること

わが家の子どもたちは、きょうだいが生まれてくるときに赤ちゃん返りのような様子はありませんでした。親以外にも保育園やベビーシッター、ファミリーサポートなど甘える場所が複数か所あったからかもしれません。

また、新たに生まれてくる赤ちゃんの誕生を喜ぶと同時に、その子の誕生も同じように喜んでいたことを繰り返し伝えることを心がけました。たとえば、赤ちゃんのエコー写真を見せるときに、一緒にその子のおなかにいたときの写真を見せるなどしました。

「赤ちゃんも大事だけれど、あなたのことも大事だよ」というメッセージを伝え続けたのがよかったのかもしれません。

赤ちゃんが生まれてからは、赤ちゃんのお世話に手がかかり、なかなか上の子との時間をとるのが難しいときもあるでしょう。赤ちゃんが寝ている間のほんのひとときで構いません。上の子に意識を向けて、その子がしっかり甘えられる時間を作るのはいかがでしょうか。

また、簡単なお手伝いができるお子さんの場合には、お手伝いをしてくれたことに対して「ありがとう」ときちんと言葉などで伝えることで、お子さんの自己効力感を引き出すのも一つの方法です。

「自分はいていいのだ、注目してもらえるのだ、認めてもらえているのだ、注目してもらえるのだ」と思える機会があると上の子は安心でき、心配されるような赤ちゃん返りも解消すると考えられます。

このように、子どもに対して「そのままいていいんだよ」と認めていくことが、赤ちゃん返りの対応に限らず、子どもがいくつになっても、親が子どもに伝える一番大事なメッセージだと思います。

文・監修/藤井明子先生 構成/ひよこクラブ編集部

「そのままでいていいんだよ」なんて思えない、そんな心の余裕なんてないということもあるでしょう。子育て歴が長くなってきても、きょうだい育児はこれまでと違うことがあって当たり前です。
そんなときは、家族や一時保育、ベビーシッター、地域の子育てセンターなどを頼って、ママ自身が休むことを優先してください。周囲に頼れるところは頼って、息抜きをしながら、子どもたちとの時間を楽しめるといいですね。

【ママ小児科医の笑顔便り】に関する記事一覧はこちら

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