どうする?子どものイヤイヤ期 今すぐ実践できるコツを伝授!現役ベビーシッター漫画家さいお なおさんにインタビュー
ベビーシッターで漫画家のさいお なおさん。保育園で勤務後、独立をし、ベビーシッターとして活動をしています。1年で約350回以上シッティングを行い、様々なご家庭や子どもたちと関わる中で見たもの、感じたことを漫画に描いています。
今回のインタビュー【続編】ではイヤイヤ期の対処法、さいおさんが子どもたちと接する際に意識をしていることにについてお話をお伺いしました。
■プロフィール /さいお なおさん
ベビーシッター、漫画家。保育園で3年勤務後、独立し、現在ベビーシッター・漫画家として活動中。シッターとして働く傍ら、毎日の日常や出来事を描いた漫画をTwitter(@saionao_)、ブログ「おとなりのシッターさん」にて発信している。
食べない!イヤ! 子どものイヤイヤ期に使える方法って?
『美味しくないのか、甘えたいのか』
<嫌がる食べ物は無理にあげようとしないのが◎>
――食べ物の好き嫌いがある子にはどう接していますか?
「好き嫌いに関しては家庭の教育方針に合わせるところもあるのですが、私自身は無理に食べさせなくてもいいと思っています。成長して、ふと食べた嫌いなものが美味しかったことって、誰しも経験がありますよね。
「ちょっとチャレンジして欲しいな」と思った時は、実際に大人が美味しそうに食べているところを見せたり、好きなお人形と一緒に食べてみたり。食べるのを促すこともありますが、嫌がったらそれ以上はやりません。
無理に食べさせられた記憶があると、「この食べ物=嫌なことが起こる」というネガティブなイメージがどんどん付いてしまうので、むしろ好き嫌いを乗り超えにくくなる恐れもあります。」
『美味しくないのか、甘えたいのか(続き)』
<シッターさんがあげてもイヤ!本当に嫌いだと気づけた瞬間>
『イヤイヤ期「食べない!」にその場で出来る 4選』
<さいおさんも実践!その場で試せる4パターンを伝授>
――イヤイヤ期のお子さんはどうでしょうか?
「イヤイヤ期は、何年も保育士をやっているベテランさんでも「分からん!」となったりするので…。これぞ解決策!というのは難しいです。
ただ、イヤイヤされて憤り、そのまま感情をぶつけてしまうことはしません。イヤイヤされてムッとするときって、子どもに「これをやって欲しいのに」と期待しすぎたり、「自分の言ったことを受け止めてくれなかった」と否定されたように感じるところから来るものが多いように感じます。「わかった。嫌なのね〜、そだね〜。」と、程よく受け流すことを意識しています。
周囲に人がたくさんいる状況で対処をする場合は、まず環境を変えます。人の目が余計に気になって大人も冷静な判断ができなくなってしまうので、多少強引に抱っこしてでも、人っ気のない場所まで移動するのがいいと思います。子どもだけでなく、大人側も落ち着くまで時間が必要です。」
――泣きつづける子を寝かしつける際はどのような工夫をされているのでしょうか?
「泣きまくる間は寝られないので、諦めます。無理にお布団に連れて行こうとすると余計に泣いてしまい、さらに眠れなくなります…。まずは泣き止んで、子どもが安心できるようにすることを優先しています。
どのご家庭でも行っているかと思いますが、落ち着いてきたらおんぶ紐で揺らしたり、ちょっと外に出てお散歩したり。窓の外を見たりもします。また、車が通りすぎるのを見ていると落ち着くことも多く、音楽をかけると、フフッと笑う子もいます。子どもが落ち着いたら、普段通りの寝かしつけに入ります。
どうしてもあやすのと寝かしつけを同時にやりたい時は、ベビーカーや揺れるベビーベッド、抱っこ紐などの子どもが動きにくい場所に移動して、揺らしながら様子を見ることもあります。それでもやっぱり激しく泣いちゃう時は、諦めています。」
ベビーシッターさんに聞きたい! 子どもを怒るときに意識をしていること。
『怒った』
<危険な『行為』に対してはしっかりと注意を。>
――お子さんへ注意をする際はどのようなことを意識していますか?
「緊急でない場合にはいきなり注意せず、「なぜそれをやったか。注意する必要はどこにあり、何に対して注意するのか」を自分の中で考えるようにしています。
たとえば子どもが玩具を投げたとして、突然「こらー!」と大声を出すようなことはしないようにしています。『行為』に対しては注意するけど、『投げたい』という自然に湧き起こった感情に対しては注意しません。「なんでそんなことするの」ではなく、「投げてみたくなっちゃったの?音鳴ったりするもんね!でもね、投げるのはいけないことなんだよ」と、ちょっと回りくどいですが丁寧に伝えています。
子どもは聞いていないようで、案外しっかり聞いてくれていたりします。思い返すと、大体「おっとっと〜」や「あらま〜」とか、気の抜けた反応をしてるかもしれません(笑)
「こら!」と言われても、子どもはなぜ大声を出されたのか理解ができません。悪いことだという認識がない状態では恐怖の方が勝ってしまったり、「自分で行動を起こすのはいけないことなんだ」という誤った解釈になる可能性もあります。
叱り方については、玩具の擬人化をして子どもが想像しやすいようにしています。「友達に当たるよ」だと分かりにくいのですが、普段から一緒にいて大事な「玩具が痛がっちゃう」だと、理解しやすくなると思います。「投げると玩具が痛いよ、可哀想だね。優しくしてあげようね」と伝えています。」
『子育てにちょっと役立つ言葉』
<手を繋いでくれない子どもには…!時には技も使うのも大切です>
――お子さんと接するときに気をつけていること・意識をしていることがありましたらお教えください。
・私からたくさん「ありがとう」「ごめんね」と挨拶をする。実際に言う時には、何に対して言っているのかをハッキリ言葉で伝える
・長所を見つけて褒める
・子どもの感情は否定しない
・自分がされて嫌だと思ったことはハッキリと伝える
・脅さない(「〇〇しないと、〜になるよ」という伝え方をしない)
・『やってほしいこと』『やらないでほしいこと』はしっかりと伝える
・「先生なんか嫌い!」と言われたら、「なんで!先生はこんなに大好きなのに!」と返す
・信頼関係が築けていないうちは無理強いをしない
などなど。本当に挙げたらキリがないのですが、各シーンごとに気をつけていることはあります。関わる上での基礎として、子どもの性格や笑うポイント、嫌がるところなどはしっかり把握するように努めています。」
シッターさんならではの「お悩み」と 今すぐ実践できるシッター術を伝授。
『「ママじゃないんです」を言いたい(前編)』
<ママではないと伝えていいのか…迷う時もしばしば>
――「シッターさんあるある」はありますでしょうか?
「一番よくあるのは「ママに間違えられる」ことです。公園で遊んでいる最中、他の子のママに話しかけられることがあるのですが、「どこで「シッターです」と切り出そうかな…」「そもそも、シッターだと名乗ってしまっていいのかな…」など、話しながらドキドキしていることがあります。必要がなければ、私はそのまま「ママです」とも「シッターです」とも言わずに話しています。
可愛らしいエピソードで言えば、子どもによく引っ越しを迫られることです。「お家のこのお部屋空いてるよ!住めばいいんじゃん!」「お家の隣に引っ越せばいいよ!」とか(笑)「なんで帰るの!?」と怒られることもあるので、その気持ちの延長なんだろうなと思います。」
『シッターさん』
<一緒にいる時間が多いけど、シッターさんは“親”ではない…>
――家庭で実践できるベビーシッター術を教えてください。
「ベビーシッターは一人ひとりの子どもの性格や好きなものに合わせて動くことが多いです。
頭を悩ますことが多いであろう2歳くらいのお子さんを相手にする場合、
・大人がやるところを見せる(大袈裟に楽しそうにやるパターンと何気なく見せるパターン)
・〇〇と△△、〜ちゃんはどっちが良い?と選択肢を絞って片付けを促す
・これをやってくれたら、すっごく喜んじゃう!びっくりしちゃう!と、大人のリアクションを期待してもらうパターン
・できない!助けて!と子どもに助けを頼むパターン
などがあります。もしお子さんがお願いを聞いてくれたら、一緒に喜ぶところまでセットにすると、より子どもに響いていくかと思います。」
『私はベビーシッター③』
<一人ひとりの子供に合わせて、様々なアクションを試してみる!>
いちばん大切なのは「リラックス」をすること。 育児に奮闘する読者の方へメッセージ
『リアル』
<子どもたちだけではなく、自分自身に向き合う時間も大切です>
――最後に、育児に奮闘中のママ・パパたちにメッセージをお願いします。
「パパとママが健康的でリラックスをしていることが一番の育児法です!シッターに頼る・頼らないという選択はそれぞれですが、もしもの時には是非選択肢に入れてみてください。親が不在で仕方なく、という場合もありますが、「親の自由時間を作るため」という依頼も少なくありません。
育児はキツキツでやるものではないと思っています。自分自身をまず大切に、そしてリラックスした状態で子どもと接することが出来るよう、全ての子育て家庭のことを応援しております。」
今回はベビーシッターとして働くさいおさんに様々なパターンの対処法についてお伺いしました。
伝え方・話し方は一人ひとりの子どもによって異なります。その子自身にどうやったら伝わるか、自分はなぜ怒り、注意をする必要があるのかといった目的に立ち返って、落ち着いて向き合うことが大切。そのためにはパパとママが健康で、リラックスをしている状態が育児には必要であり、それを保つための手段として「ベビーシッター」にお願いすることも良いかもしれません。
さいおさんの描く漫画は、クスッと笑えて、明るい気持ちになれるようなものばかり。Twitterやブログにて公開されているので、気になった方はぜひ読んでみて取ってみてくださいね。
(文・清川優美)
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。