SHOP

たまひよ会員

  1. トップ
  2. 赤ちゃん・育児
  3. 子どもの自己肯定感の育て方、海外と日本の教育ではどう違う?!【イギリス在住・著述家に聞く】

子どもの自己肯定感の育て方、海外と日本の教育ではどう違う?!【イギリス在住・著述家に聞く】

更新

イギリス在住の著述家 谷本真由美さん。イギリス人の夫と現在7才になる息子みにろまくん(愛称)とともにイギリスで暮らしています。自発性・自己表現が求められるというイギリス流の教育から見る、日本での子育てのヒントについて、谷本さんに話を聞きました(写真はみにろまくんが2才のころ、東京行きの飛行機内での様子)。

日本とイギリス、子どもへの教育の違い

――日本では近年子育てのキーワードとして「自己肯定感」が注目されています。イギリスの子どもたちは自己肯定感の面で見て、幼稚園や学校でどのような教育を受けているのでしょうか?

谷本さん(以下敬称略) イギリスでは4才から小学校準備クラス(日本の幼稚園にあたる)が始まり、5才になる年の9月から小学校1年生となります。

幼稚園の年齢のうちから与えられたテーマについて調べ、発表するといったアウトプット主体の教育が始まり、算数なども「パンケーキを焼くのに100gの小麦粉と20gのバターを出すと全部でどのくらいの重さになるでしょう」といった、数字を使って日常のあれこれを考える課題に取り組みます。単なる丸暗記ではなく、説明することが求められます。音楽の授業なども、上手に演奏できることではなく、自発的に考えて楽しみながら表現することが評価されます。

また、イギリスでは愛国教育を積極的に行っています。たとえば毎年11月には戦没者追悼記念日(第一次世界大戦以降の戦争で亡くなった軍人らを追悼する日)の行事を幼稚園でも行い、小学校では現役軍人を招いてお話を聞いたり軍事行進をしたりします。戦争も自分たちの国を作った歴史の1つという考えです。「自分たちの国はすごいんだ」という愛国教育を幼少期から行っているのは、日本人からすると驚く点であるでしょう。

――では家庭での親のかかわり方はどうでしょうか?

谷本 イギリスは1980年代ころまでは子どものしつけがとても厳しく、家庭でも学校でも体罰が日常的に行われていたそうですが、80年代後半ころから教育の価値観が大きく変わりました。

最近のイギリスの家庭では子どもに「あなたはすごい、何でもできる!」ということを繰り返し伝えています。ただ、これは自己肯定感の面ではいいですが、一方で何か問題が起きると「自分は完璧だから悪くない」と他人の責任にする傾向もあると感じます。

――日本ではまだまだインプットの教育が主流と感じますが、谷本さんから見て日本の教育のよさはどんなところだと思いますか?

谷本 日本の教育のよさは、まず全国的な平均レベルが統一されていて全体のレベルが非常に高いことです。さらに教育に関しては、単に知識を教えるだけではなく、生活習慣や公衆衛生といった総合的な教育を行っているところは評価が高いでしょう。そのことが、この度の新型コロナウイルス感染拡大の状況で、世界的に見て日本での感染者数や死亡者数が少なかった理由の1つと考えられます。日本では子どもでもきっちりとマスクをつけて手洗いをし、こまめに手を消毒していますよね。

また教員は、労働環境が恵まれているとは言えないのにもかかわらず、倫理観が高く、熱心に仕事に取り組む人が多いと思います。これは日本文化の中で教育というものがただの経済活動ではなく、地域を支える非常に重要かつ徳の高い活動と考えられてきたからでしょう。

子どもの自己肯定感や思考力を育てるかかわり方

――子どもが自発的に意見を言ったり自己主張したりできるようにするために、日本の家庭で親がどんな育て方やかかわりをするといいと考えられますか?

谷本 子どもが自発的にしたことをほめるのがいいと思います。たとえば何か失敗しても「挑戦したことをほめる」。人と違っていたら「違うからよい」とほめる。日本だと場合によっては前向きに取られないこともありますが、自発性、挑戦したこと、人と違うことなどをほめるのは重要です。

ほかには、親が子どもを大人扱いしてたまに非常に厳しい議論を問いかけてみるといいかもしれません。たとえば、日常生活でも買い物をするときなどに、あなたはこの商品の中からどちらを選ぶか、その商品を選んだ理由は何なのか、利点は何か説明せよといったような議論をふっかけるのです。すると子どもも自分なりに理由を考えますから、そういったことを繰り返しているとだんだん思考力が育っていくと思います。

アニメを見るときにも、ただ見せているだけではなく、あなたはこの作品のどこに魅力を感じるのか、このキャラクターの特徴は何か、作品のテーマは何か、どこが問題点だと感じるか、もっと面白くするのには自分ならどうするか、この作品の作画は別の作品と比べるとどう違うか、作品にかかわっているスタッフはだれか、どのようなメディアミックス展開をしているかということを質問してみると、子どもなりに考えるきっかけになるでしょう。

――谷本さん自身が、子育てで息子さんの自己肯定感を高めるために行っていることがあったら教えてください。

谷本 息子は今7才ですが、彼の好きなことや得意なことに関しては金銭的、時間的に支援を惜しまないようにしています。たとえば彼は日常系アニメや特撮、SFなどを見ることや、ゲーム開発が大好きです。ゲームでいいプレイをした場合は徹底的にほめるようにしています。また『干物妹!うまるちゃん』『進撃の巨人』『小林さんちのメイドラゴン』などのアニメを見て日本語を覚えた場合は絶賛してもっと日本語を学ぶようにすすめています。

ほかには、結構複雑な時事問題に関して彼に直接質問をしてうまく答えられたら絶賛するようにしています。すると、ほめられたくて自分で勝手に経済ニュースを見たり新聞を読んだりしていますから、やはりやる気を刺激するのが重要ではないでしょうか。なるべく子ども扱いしないで大人と同じようにかかわるようにしています。

お話・画像提供/谷本真由美さん 取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

子どもの教育やかかわり方に対して、日本と欧州では価値観も哲学も大きく異なるようです。日本以外の国の子育ての現状を知ることは、これからの社会を生きていく子どもたちに、親として何ができるか、考えるきっかけになるのではないでしょうか。

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

谷本真由美さん(たにもとまゆみ)

PROFILE
1975年神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院国際関係論修士、情報管理学修士を取得。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関情報専門官、外資系金融機関などを経て、現在はロンドンに住む。近著に『世界のニュースを日本人は何も知らない』『世界のニュースを日本人は何も知らない2 未曽有の危機の大狂乱』『日本人が知らない世界標準の働き方』など。

めいろま「みにろま君とサバイバル」

「みにろま君とサバイバル 世界の子どもと教育の実態を日本人は何も知らない」

英国在住の日本人ツイッタラー「めいろま」こと谷本真由美氏による、息子みにろま君(愛称)が生まれて初めてわかった、海外と日本とでは驚くほど異なる子育て事情の赤裸々レポート。「バイリンガル教育の実践」「子どもを国際人に育てるには?」など、日本で暮らす親子が知らない世界の情報がわかる。

■おすすめ記事
おすすめの赤ちゃんとの遊び方

赤ちゃん・育児の人気記事ランキング

関連記事

赤ちゃん・育児の人気テーマ

新着記事

ABJマーク 11091000

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第11091000号)です。 ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら→ https://aebs.or.jp/

本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。