子どもが自分の性器を触り始めた!親の正しい対応は?【ママ泌尿器科医】
ママであり泌尿器科医でもある岡田百合香先生の連載第21回。今回のテーマは、「子どもが自分の性器を触るようになったとき、親はどうすればいい?」です。岡田先生によると、この悩み、多くの親から相談されるそうです。「お母さんのためのおちんちん講座」ママ泌尿器科医#21。
実際に子どもに性教育をしてみると、うまくいかないという声も
先日、「子育てする上で知っておきたい性のお話」というテーマで乳幼児の保護者向けの講座をオンラインで行いました。
最近は、「本や動画で性教育について自分で学んでいて、基本は押さえています」というママやパパも少なくありません。子育てと性に関心・知識のある保護者が増えているのは、とってもうれしいことです。
そんな参加者からの質問は、「本(動画)ではこう言っているけど、いざ実行してみると、困りごとが出てきた」という実践的なものが多くなります。今日はそんな質問を共有しながら、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。
あるある悩み“子どもが自分の性器を触る問題”。正しい対応は?
今回の質問は次のようなものでした。
「4才の娘が、下着の中に手を入れて性器周辺を触るようになりました。かゆみや痛みがあるわけではなく、なんとなく触っていると落ち着くようです。ダメとは言わないようにしていますが、このまま様子を見ていいのか不安です」
『子どもが性器を触る問題』は本当に多くの保護者が気にしています。交流会で、「うちもですー!」と、あまりに盛り上がるので、「あ、こんなにも一般的なことなのね」とそれだけで安心する人も多数。また、女の子の保護者の場合、より深刻に感じるケースも多いですが、幼少期に性器を触るのは男女問わず、とってもよくあることです。
基本的な考え方としては、
1)性器を触ること自体は悪いことではないので、「ダメ」「やめなさい」としかったり、無理にやめさせるのはNG。性(器)へのタブー意識を持たせることは避けたい。
2)「プライベートゾーンだから、人前では触らないようにしようね」「ばい菌が入らないように、きれいな手で触ろうね」と伝える。
3)痛み、かゆみなど、病的な症状がないかどうか確認し、あれば病院へ。
4)精神的ストレスや性被害のSOSである可能性も。「だれかに触られていない?」「プライベートゾーンを触られたら教えてね」と確認。
この質問者さんは、かゆみや痛みがないこと、なんとなく落ち着くから触っていることを確認し、「ダメ」とは言わないようにしていらっしゃるとのこと。‟はなまる”対応です。
保育園・幼稚園や家の外で触っているわけではないのなら、様子を見て問題ありません。家の外でも触る場合は「プライベートゾーンだから外では触らないよ」と伝えることも必要ですが、当然、数回言っただけでやめられるわけではないことも認識しておく必要があります。
親子でストレスにならない程度に、気長に伝えていけばOK
われわれ大人も、普段から無意識に、なんとなく、髪の毛やひげといった体のパーツをいじったりしますよね。「鼻をほじるのは家でだけ」と決めていても、ついうっかり外でほじっちゃうこともありますよね(気づいていないだけで、あると思います)。
「そのくせ、やめて」と言われて、一発でやめられる人のほうが珍しいです。子どもで、無意識の行動だったらなおさらのこと。「プライベートゾーンは人前や外では触らない」という理念をお互いストレスにならない程度に、気長に伝えていけばいいのです。
「理屈では問題ないとわかっていても、どうしても子どもが性器を触るのをやめさせたい」「嫌悪感を感じる」という場合は、その強い拒否感の背景を探ってみる必要があるかもしれません。自身の受けてきた教育、価値観、体験…。親が嫌だからという理由で、子どもの問題ない行動を無理に矯正させるというのは、お互いにとってつらいものです。そんな気持ちを共有できる場も必要ですね。
本や動画の「模範解答」を生活で実践する際に出てくる、疑問や不安。多くの仲間と交流しながら一緒に考えていくことで、内容が深まり取り組みやすくなることを実感しています。
余談ですが、最近、3才の息子の鼻ほじりが気になってきた私。鼻をほじる姿って、なんとなく間抜けな感じだし、不衛生だし、やめさせたほうがいいかな。と思ったのですが…。わが家は、私も夫もわりと鼻をほじるんですよね。親がやめなきゃ子どもにやめさせる権利ないわ、とわが身を振り返ったのでした。
文・監修/岡田百合香先生 構成/ひよこクラブ編集部
子どもが自分の性器を触るのは、よくある行動のようです。親は早くやめさせたいと思うかもしれませんが、しからず、気長に伝えていくことが大切なようです。次回も、子どもの性や、性器、排せつなど、ママ・パパが気になるお話をお届けします!お楽しみに。
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