我が子をサゲまくって着地点は国立大学医学部。謙虚なの? マウントなの?【子育てアドバイザーに聞く】
「久々にママ友とランチをしたら心がザワつく展開に。これが噂のマウントですか?」という声が、口コミサイト「ウィメンズパーク」に届きました。謙遜の態度が裏目、というか周囲を凍りつかせたというエピソードに「あるある〜」という声が殺到。子育てアドバイザーの長島ともこさんに聞きました。
子どもの進路の話で我が子をサゲまくり、でも着地点が……
投稿主さんが久々にママ友のAさん、Bさんとランチをしたときの話です。AさんBさんは上の子同士が同じ年齢で、下の子同士は投稿主さんのお子さんと同じ年齢。本当に久しぶりで、ひとしきり盛り上がった頃、上の子の高卒後の進路の話になりました。
「口火を切ったのはAさんでした。『うちの子は勉強しないし、本当に馬鹿でがっかりよ。Bお子さんは優秀だったよね。どこに行っているの?』
するとBさんは『全然優秀じゃないよ。色々あって医療系の専門学校へ行っているの。実習とか大変そう』と。
するとAさんは『すごい! その専門学校って難しいよね』『志が高いわ〜、うちの子なんて目標ないし』と、Bお子さんを褒めまくって、自分の子どもをサゲまくります。
Bさんが『いやいや、一人暮らしだし医療系の専門学校は私立大並みに学費が高くて、お金がかかって大変』と謙遜すると
『へー、私立大ってお金がかかるんだ。ひとり暮らしなんてえらい! うちは家からぬくぬく通っている』と。
自宅から通える大学、しかも私立大以外となるとかなり限られます。Bさんが『Aお子さんはどこ?』と、質問すると『◯◯(国立)大学だよ』と。
……しかも医学部でした。でも『うちの子は目標がない』『お金がないから国立になった』と、まだまだサゲます。
サゲればサゲるほど私は自分の子どもの話をしにくいと思いました。これが噂のマウントですか?」
満場一致の“マウント”という声が集まります。
お子さんは優秀だけど、その母は……
「いやー、笑っちゃいました。うちの子バカでスタートして着地点が国立大学医学部。
素直に『聞いて聞いて、うちの子は国立大学で医学部に合格したのよ!』と、言えばよいのに」
「『こっちががっかりだよ!』と、言ってやりたい(笑)
本人は自然の流れから自慢できたって思っているだろうけど、出来の悪いマウントです。お子さんは優秀だけど、お母さんは違うみたいね」
「マウントでないのなら『医療系』というキーワードが出た時点で『うちも医療系』と、さらっと答えればいいこと。
腹黒いわー。人の進路を聞いてから答えるなんて。しかもBさん持ち上げて『うちはもっと上なの』ってタチ悪い」
「百歩譲ってBさんから話題を出せば謙遜だったかも。でもAさんから話題をふっていますからマウントですね」
しかしほんの一部ですがマウントとは思わなかった、という意見も。
「これがマウントなのですね。私は鈍感なので気がつかないかも。そして私もやっているかも。
息子はそこそこ成績優秀で国立大学へ行っています。息子の友達は東大へ行ったり、海外へ行ったりなので、息子が特別優秀とは思っておらず、実際に勉強しなくて困っていた時期もありました。
そんな愚痴を言って『どこへ行っているの?』と、聞かれて学校名を答えていましたが、言わない方が良いのですね。
そういえば上司から『お子さんは優秀なんだってね』と、言われて『そんなことないです』と、謙遜していたら上司と同じ大学だったってことも。これからは普通です、勉強できないです、と言うことはやめます」
という声もありました。
「これがマウントと思わない人が心底羨ましいです。心がきれいなのか、ものすごく幸せなのか。
私なら確実に心の中で舌打ちします(笑)」
「みなさん、ありがとうございます。この会話の後、私の心はザワザワして、でもうまく表現できなくて、みなさんのコメントで『私もそう思う!』と、すっきりできました。
『がんばってこの大学になったの』と、素直に言った方が好感持てますよね。すごく勉強になった一件でした。ありがとうございました」
と、投稿主さんは〆ました。
「子どもひとりひとりの人生に優劣はない。笑顔でスルー」と、専門家
子どもの成長とともに変化してゆくママ友関係。とくに受験や進路などで、心がざわつく体験をした母は少なくありません。そんなときはどんな対応がスマートなのでしょうか。2人の母であり、子育てアドバイザーの長島ともこさんに聞きました。
「ママ友との久々のランチ。話題にのぼるのは、自然とわが子の近況になりますよね。高校卒業後の進路というと、大学進学、専門学校進学、就職とさまざまな選択肢がありますし、大学や専門学校に進学した場合は、どのような学校に行ってどのようなことを学んでいるのかにも興味がわくところです。
相談者さんのママ友さんは、『うちの子は勉強しない』『目標がない』とわが子の欠点をあげながらも、フタをあけてみたら国立大学の医学部に入学していたとのこと。
『たくさん勉強したから、明確な目標があったから国立大学の医学部に入学できたんじゃないの?』と、思わずつっこみたくなりますし、話の流れから“マウントをとられた”と、思ってしまう気持ちもよくわかります。
しかし、子どもの人生を切り開いていくのは子ども自身。当たり前ですが、一人ひとりの子どもの人生に優劣はありません。
ママ友との関わりのなかでは日々いろいろなことが起こるけれど、ママ友の言葉にザワザワするのは時間のムダ。
何か気になるようなことを言われても、笑顔でスルーがいちばんです。『面白い人生経験ができた』くらいに軽くとらえながら、わが子の成長を見守っていきましょう」
長島ともこ
フリーライター、エディター、認定子育てアドバイザー。教育、育児、妊娠&出産を中心に幅広い分野で取材、執筆、企画ディレクション等を行う。PTA活動にも数多く携わり、その経験をもとに、書籍『PTA広報誌づくりがウソのように楽しくラクになる本』『卒対を楽しくラクに乗り切る本』(厚有出版)を出版。All About子育て・PTA情報ガイド。大学生と中学生の母。
https://www.tomokonagashima.com/
文/和兎 尊美
※文中のコメントは「ウィメンズパーク」の投稿を再編集したものです。
※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。