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シニア世代が子を見守る「グランドシッター」って? 子どもの成長にもつながる多様な目線での子育てとは

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今「グランドシッター」として活躍するシニア世代が注目を集めています。グランドシッターとは定年退職後などに講習を受け、保育園で保育補助の仕事を行う人たちのこと。2015年から養成講座をスタートさせた一般社団法人日本ワークライフバランスサポート協会理事長の武市海里(みどり)さんに話を聞きました。

グランドシッターとはどんな役割?

――グランドシッターとはどういうものか教えてください。

武市さん(以下敬称略) 保育の現場で保育士さんや保育園のサポートを行う人のことです。仕事内容は、子どもたちの相手、園内やお散歩時の見守り、用務的な仕事などさまざまです。祖父=グランパ・祖母=グランマの総称という意味と、ゆたかな知識と経験を持ち人生の中でも最上級の世代(グランドジェネレーション)という敬意を込めてグランドシッターと名づけました。

保育士は、担当している子どもに常に目を配るばかりでなく、保護者との連絡やそのほかのこまかな業務がたくさんあります。保育士資格がなくてもできる仕事をグランドシッターがサポートすることで、保育士さんたちが子どもと向き合う時間を少しでも多く作ることができるのではないかと考えました。定年退職をしたシニア世代の方たちは、さまざまな人間関係の中で仕事に対して真摯(しんし)に取り組んできた方たち。豊富な経験や、組織の中での自分の役割を客観的に判断する目を持ちながら、保育士さんたちのサポートに徹(てっ)しています。

――養成講座ではどのようなことを行うのでしょうか? 

武市 講座は2日間設定しています。受講者12名ほどに対し講師3名で、おむつ替え、読み聞かせ、折り紙、などの実習を交えながら、具体的に保育園はどんなところか、子どもの心と体の発達、子どもへの対応方法、保育士のサポート方法などを学んでもらいます。受講後のテストに合格すると民間資格「グランドシッター認定証」が発行されます。
受講者の年齢層は、最近は若い人の受講者も増えて20代〜80代と幅広いです。これまでの6年間で900名ほどが受講し、そのうち200名くらいが実際にグランドシッターとして活躍しています。

子どもを見守る多様な目が必要

養成講座でのおむつ替えの実習風景

――グランドシッターが保育園にいることで子どもたちにとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

武市 ある園長先生から、グランドシッターがいることで「臨機応変に対応してくれて助かる」「保育士同士もあいさつがしっかりできるようになった」という感想を聞きました。裏方に徹しサポートしているので保育園からの信頼も厚いようです。また「おばあちゃん先生が入ってなんだかホッとするし、子どもの様子も少し落ち着いた」という保護者からの声もあったそうです。

子どもたちにとっては、ママ・パパよりも動作がゆっくりしているシニア世代との交流の中で、手を引いてあげる、肩をさすってあげる、といった思いやりの気持ちも生まれるでしょう。また、シニア世代と日常的につき合う子どもは、ことわざや四字熟語などの語彙(ごい)力や知識量が増え文章力もあがるともいわれます。私は子育てにおいて、子どもを見守る目はたくさんあったほうがいいと思うんです。それには世代も経歴も違う多様な大人の目が必要だと考えています。
実際に保育現場で働いているグランドシッターさんたちからも「かわいい子どもたちからパワーをもらって、保育士さんたちにも貢献でき、楽しく仕事ができている」と聞いています。

――グランドシッターの活躍が広がることは、子育てしやすい社会への一助となるのでしょうか?

武市さん グランドシッターとして働きたい人、グランドシッターを雇いたい人、どちらのニーズもあると思っています。保育園の人手不足が緩和され、子どもたちが安心して過ごせる保育環境ができることはママやパパにとって子育てのしやすさにつながるでしょう。

一方でシニア世代にも子どもと触れ合ってもらうことが大事だと考えています。実際に子どもに接して間近で見て、子どものかわいさがわからないと、子育て中のママやパパに対しての広い目が向けられないと思います。子育て経験がある人だけではなく、独身の男女にもぜひ子どもと接する機会を持ってほしいです。最近は独身のシニア世代の男女の受講も増えていますよ。

子どもたち世代にとっても、シニア世代にとっても、お互いの交流が大事ですね。触れ合ってお互いを知る環境ができれば、理解もできるんじゃないかな。広い世代間の交流が進むことで、生きやすく・働きやすい世の中になることを願っています。

子育てママたちを応援したい

抱っこのしかたの実習の様子

――武市さんは働く女性を応援する活動を幅広く行っているとのことです。女性が自分らしく働き、生きていくために大切だと考えることは?

武市 私自身はファッション業界でサラリーマンをしていましたが、55才で退職し、2010年に57才で起業して、働く女性のキャリア支援やコンサルティングを行ってきました。活動の中で保育現場の深刻な人手不足の現状を知り、豊富な経験を持つ定年世代を保育現場のサポート役として活躍してもらうことに意味があると思い、2015年に日本ワークライフバランスサポート協会を設立しグランドシッター養成講座をスタートさせました。

中でもとくに、子育てママたちを応援したいと思っています。女性の社会進出が進み、男性の家事育児も広がっていますが、まだまだワンオペで大変な思いをしているママたちがたくさんいます。女性たちの現状をよくするには、もっと女性たち自身が「ヘルプミー!」と声を上げることだと思います。日本人女性は我慢強い部分がありますが、「助けて!」「しんどい!」と声を上げていってほしいです。
そして、子どもは社会・地球にとって大事な存在。社会みんなで子どもを育てていこうという考えが広まれば、ママやパパにとっても子を産み育てやすい環境に近づくのではないでしょうか。


取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

お話・写真提供/武市海里(たけいちみどり)さん

今後「マタニティマークのように“子育て応援マーク”を作りたい」、と武市さん。「電車で申し訳なさそうにしているママや、ベビーカーの移動を大変そうにしているママに、そのマークがあればサポートしやすい、されやすい目印になるものを作って、子育て中のママたちを応援したい」と話してくれました。

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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