保護者からの質問NO.1は「うちの子、いつ変わりますか?」。我が子がやる気になるのはいつ?成長の変化を見逃さない方法は?子どものやる気を引き出す塾の塾長に聞く
「なかなかやる気になってくれない」「いったい、いつになったら…」と、子どもの勉強への姿勢について不安になることもありますよね。子どもの成長は個々で大きく違うので、親もどう対応したらいいのか悩みどころです。
塾でも、保護者から聞かれることナンバー1は、「うちの子、いつ変わりますか?」という問いだそう。
そんな不安の解決法を、子どものやる気を引き出す塾・プラスティーの塾長・八尾直輝さんにお聞きしました。
子どもの成長がわからないときは「変化の目盛り」を考えてみよう
「子どもはちゃんと成長していくから、根気よく」などというアドバイス、よく耳にしませんか?
私自身も、小学校の先生から、「○○くんは大丈夫ですよ。やるときはやる子ですから」「子どもは必ずやる気を出すときがありますから」などと言われていた経験があります。
でも親にとっては、それがいつのことか、どのくらい待てばいいのかわからないところに不安やジレンマがあります。
そんな不安を、どう解消していけばいいのでしょうか。
プラスティーの塾長・八尾直輝さんはこうアドバイスします。
「『うちの子、いつ変わりますかね…?』
保護者面談をしていて、一番多く聞かれる質問の1つです。
親御さんは熱心に関わっているのに、なかなか子どもが変わってくれない…と、やきもきすることも多いことでしょう。また変化が見えない中、同じことを継続して言い続けるというのも難しいですよね。
ただ、目に見える変化のタイミングを予言するのはなかなか難しいものです。
まず何がきっかけになるかは、子どもによって違います。友だちに誘われて頑張る子、テストの順位や偏差値を伸ばすのが楽しい子、知的好奇心のまま、どんどん学習を進める子など、様々なパターンがあります。
またタイミングも異なります。『普通、受験が近づいたら、もっと危機感を感じるでしょ!』と大人目線で思っても、子どもにとってはどこ吹く風…ということも少なくありません。
でも、外からは変化は突然起こるように見えて、実は子どもの内面では少しずつ小さな変化が積み上がっているものです。
たとえば−10℃の氷は少し温めて−9℃になっても氷のままです。でもそのまま温め続けると、0℃を超えた瞬間に、『溶ける』という変化が見えます。このように、内面の小さな変化を積み上げることが、目に見える変化につながるのだと考えましょう。
では内面の変化を起こすためにはどうすればいいのでしょうか。
それは“温度計”をもち、適切な支援ができていることを確認することです。『氷』と『水』の間に細かく温度の目盛りがあるように、『できない』と『できる』の間に目盛りを作るのです。4段階で目盛りを定めたものを、我々は『ZCBA表』と呼んでいます。
Z…やり方を知らない。まずはやり方を実践して見せよう
C…自分でできない。伴走するイメージで、一緒にやろう
B…自分でできる。やらせてみて、時々フィードバックして改善を促そう。
A…上手にできる。相談に来たときに、アドバイスしよう
このように『Z=できない』から『A=上手にできる』の間に、『B』『C』の目盛りを設けて考えるのです。たとえば、『毎日決まった時間に学習を開始できる』という学習習慣を例にとって考えてみましょう。
たとえば上の表のように考えることができますね。
この表は正解があるものではありません。目盛りを設けることで、子どもの成長を見える化するのと同時に、適切な支援を考えるきっかけになるものです。『答え合わせの習慣が身につかない…』『朝起きる習慣が身につかない…』など、お困りの問題に合わせて、ぜひ表を自作してみてください。
お子さんが『変わる』まで、よい関わりが継続できることを願っています!
ZがCに、CがBに、BがAになれば、子どもの変化はよくわかりますね。小さな一歩を積み重ねたいと思います。
(取材/文・橋本真理子)
八尾直輝さん
PROFILE
勉強のやり方を教える塾「プラスティー」を創業、現在は取締役・塾長として、会社の経営、塾の運営全般に関わっている。共著に『小学生から自学力がつく!』(すばる舎)や『子どものやる気を引き出すゲーミフィケーション勉強法』(講談社)がある。
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