「遊び」の専門家に聞く★赤ちゃんの発達に合わせた遊び方
遊ばなければと頑張らないで
生後1カ月を過ぎると赤ちゃんは活発に手足を動かし、声を出すこともあります。やがて表情が豊かになり、ママやパパがあやすと笑ってくれるようにもなりますね。「あら、〇〇ちゃん、うれしいのね」と声をかけると、応えるようにまた笑って......。赤ちゃんとのコミュニケーションの始まりです。
新米ママ・パパは「どうやって遊べばいいの」「遊びは苦手」と立ち止まってしまうかもしれません。
でも「遊ばなければ」と構える必要はありません。
ちょっとした時間に、自分のやり方で赤ちゃんとのんびり一緒に過ごすことが〝親子の触れ合い遊び〟なのです。
抱っこだけでも、顔を見てニッコリするのでも、テーブルや椅子をトントンするだけでも、そしてママやパパの今の気持ちを話すだけでも「遊んでいる」と思ってください。
赤ちゃんに言葉はわからなくても、声のトーンや表情が赤ちゃんの感覚を刺激して脳を発達させるといわれています。赤ちゃんとの触れ合い自体が大事な遊びになります。
【ポイント】ママやパパに余裕があるときにのんびりと触れ合うこと。余裕がないときは「待ってね、今はお洗濯で~す」「いい子にしていてね、あとで遊ぼうね」などと離れたところから声をかけましょう。
遊びは子どものまねをすることから
小さい赤ちゃんなら「ウ~ウ~。お話したいのね」など、お顔を見ながら赤ちゃんと同じ言葉でこたえてあげましょう。言葉をかけながらママやパパの指を握らせてゆっくり揺らしたり、顔を赤ちゃんに近づけたり、おもちゃで音を出したりすれば遊びが広がります。
おすわりやあんよができるようになったら、いたずらも含めて赤ちゃんが好きな遊びを、「おもしろいね~」と言いつつママやパパがまねしてみましょう。ママやパパの遊びにお子さんを引き入れるのではなく、お子さんの遊びにママやパパが加わるのです。
遊びの仲間に入って「並べてみようか」「トントン音が出た!」など、ママやパパのアイデアをさりげなく加えてみてもよいでしょう。「ちょうだいな」「〇〇ちゃん、どうぞ」と、おもちゃを渡し合うのも楽しいですよ。
それも苦手というママやパパは、子どものそばで遊びを見守って「いいね!」「かわいい!」「かっこいい!」「わあー」って声を出すだけでもOK。子どもは自分の遊びに共感してくれるママやパパが大好きです。
【ポイント】「これはこう遊ぶのよ」「こっちに並べて」など、遊びの指示を多くしないこと。子どもの遊びにママが参加するスタンスが大切です。子どもの遊びに関心を寄せて「すごいね」「ママもやってみようかな」「できたね!」など、喜びや驚きの言葉がけをすると、子どもの意欲を高め、親子の絆を強くしてくれます。このとき、「心から」関心を寄せて言葉を発することが重要です。子どもには心からかけた言葉かそうでないのかが、わかりますから。
手先、体を使った遊びを大事に
たとえばチラシや雑誌を破いて音を楽しんだり、リモコンやいろいろな機械のボタンを押したり、カーテンの陰に隠れたり出たりなど、大人にはいたずらと思えることも実は大事な遊びです。子どもが手先や体を使い、感覚を総動員して夢中になって遊んでいたら、すぐに取り上げたり、やめさせたりせず、危険のないようにしばらく見守ってあげましょう。楽しいと感じることで学ぶ効果が大きくなります。
子どもは自然に五感(見る・聞く・触る・味わう・におう)を使い、体を動かし、手指を使いながら遊びます。「カシャカシャ、音がするね」「フワフワ、いい気持ち」「ここまでおいで、はいはい、できるかな?」など、もっと遊びたくなる声がけをすると、楽しく発達を促すことができます。
真剣に手先を使って遊んでいるときは、うまくいかないときに手伝うくらいの気持ちでそっと見守ってあげましょう。手先の器用さと集中力が育ちます。
【ポイント】手先を使わせたい、体を動かせたいなどの目的があるときは、まずママやパパが楽しく遊んで見せること。興味を持ってくれたら楽しく一緒に遊んで。興味がなさそうなときは無理をせず、日を改めましょう。
いつでもできる遊びのバリエーション
遊びは身のまわりのどこにでもあります。ママやパパの体も十分に遊びの材料になります。いつでもどこでも構えずに楽しく遊べますよ。
●ことば遊び(2カ月〜)
名前を呼ぶだけでも楽しい遊びになります。高い低い、速くゆっくり、「はな~~~~チャン」と伸ばしたり。ママやパパの名前を言ったり、ぬいぐるみを見せながらその名前を言うのもいいですね。語りかけながらそのリズムで背中をトントンしたりして、最後はママやパパと子どもの顔をくっつけて「ばあ」。
●抱っこ遊び(首がすわる3カ月〜)
ママやパパと同じ方向を向くように子どもをひざに座らせ、左右、上下ゆっくり揺れましょう。止まる、大きく揺れるなど変化をつけていきます。好きな歌を歌ってもいいですね。最後は抱っこからゆっくりと「たかいたかい」をしたら、ママやパパと顔を対面させてギュッと抱きしめて、おしまい。
※抱っこ遊びは、首がしっかりすわってから行いましょう。
●リズム遊び (おすわりができる6カ月ごろ~がおすすめ)
ママやパパの手を、速くゆっくり、小さく大きくたたきます。指先同士をたたく、両手をグーにしてたたく、胸やひざをたたく、テーブルをそっと指先でたたく、リズムに合わせてテーブルや床をたたく…。
歌やリズムに合わせてたたいて、最後はママやパパの口で「プルプルプル」と音を出したら、頬をふくらませて「プップッ」と頬を軽くたたいてみましょう。
【ポイント】子どもの表情を見ながら遊ぶこと。この遊びは好きみたいと思ったら、繰り返しやってみましょう。

菅野満喜子 先生
台所のある幼児教室「こんぺいと」代表
幼稚園教諭、出版社を経て「グループこんぺいと」を設立。東京都世田谷区等々力に「台所のある幼児教室」を設け、子ども料理の指導、遊び・しつけ・子どもの食育など講演・執筆など、幼児と保護者・保育者対象に仕事をする。CSTV食育番組「おやこでクッキング」監修。 グループこんぺいと編著「あそびからはじめる食育」(メイト)「食育なんでもQ&Aセレクト41」(黎明書房)「すぐちょこシアター」(学陽書房)「怒らないしつけのコツ」(学陽書房)他多数。
※この記事は「たまひよコラム」で過去に公開されたものです。