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〈注意〉この夏、警報レベルの大流行!39度の発熱、手足にポツポツと痛々しい発疹が1週間も…【感染症体験談】

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この夏、東京都で手足口病が警報レベルの大流行になっています。手足口病は毎年夏に5才以下の子どもを中心に流行する感染症で、口の中、手のひら、足の甲などに発疹が出て、熱が出るときもあります。三井葵葉(あおば)くんも8カ月のとき手足口病に感染してしまった一人。小児科クリニックの看護師でもあるママ、美友季さんに、発症から完治に至るまでの様子を聞きました。

異変に気づいたのは外出先。帰宅後熱が39度!その後手足にポツポツと発疹が

2022年7月、3連休の2日目に、家族3人で遊びに出かけていた三井さんファミリー。ベビーカーに乗っていた葵葉くんは、日中にもかかわらず、いつもよりもよく寝ていたそう。

「体を触ると熱い感じがしたのですが、外にいて気温が高かったこともあり、眠いからあったかいのかな、と思っていました。しかし帰りの電車でもまだ体が熱いのでこれはさすがにおかしい、と思いました」(美友季さん)

夕方に帰宅後、急いで熱を測ると39度。生まれて初めての発熱です。間もなく手首や足首に発疹が出てきました。

「とくに足首に多く出て、両足合わせて5~6個くらい、両手合わせて2~3個くらいの赤い発疹が出てきて、これは手足口病の症状かも、と思いました。でも、このときはまだ機嫌も悪くなく、離乳食を完食し、おっぱいも飲めていました。けれど、そのあと嘔吐してしまって・・・。それからは機嫌が悪く、ずっとグズグズ。おっぱいで寝かしつけしたあとも、1時間おきにグズグズして、そのたびにおっぱいで落ち着かせることが続きました」(美友季さん)

そして、早朝4時、今まで聞いたことのないような葵葉くんのギャン泣きで美友季さんは目を覚まします。

「おっぱいで寝かせようと思っても寝ず、泣き続けるので抱っこひもで抱っこしました。その後2時間ぐらいかけて朝6時くらいまで抱っこで揺らしていたら何とか一度は寝たのです。でも、その後も30分おきにグズグズする状態で、そしておっぱい拒否も始まりました」(美友季さん)

発疹が増え、おっぱいと離乳食拒否でずっと機嫌が悪く…

葵葉くんの熱は依然として39度前後と高いまま。3連休の中日の発熱で、翌日も祝日だったため、休日診療に葵葉くんを連れていきます。

「熱が下がらないこと、手足の発疹のこと、おっぱいを拒否していることを医師に伝えると、予想通り手足口病の診断がつきました。吐きけ止めの坐薬(ざやく)と解熱の坐薬、たん切シロップが処方されました」(美友季さん)

手足口病には特効薬がないため、熱や吐きけなどつらい症状をおさえながら安静にして治るのを待つしかありません。

「帰宅後坐薬を入れても熱は38度以上と下がらず、おっぱいも離乳食も拒否。ずっとグズグズしているので立ったまま抱っこしないといられない状況でした。発疹は手首や足首以外にもひざの裏やひじなど関節部分にも広がっていました」(美友季さん)

発疹は、このころがピークだったそう。しかし、発疹よりも気になったのがおしっこの様子だった、と美友季さんは言います。

「おしっこがしばらく出ていなかったのですが、久しぶりに出たおしっこがすごく量が少なくいうえ濃いオレンジ色だったのです。尿が濃縮されてオレンジ色になっているということは、栄養が十分にとれていないときに出るケトン体が含まれているということ。検査が必要な状態で、明日は必ず大きな病院に連れていかなければと思いました」(美友季さん)

その夜もギャン泣き、抱っこひもの中で寝てもベッドに置くと起きてしまう、の繰り返し。相変わらずおっぱいは拒否するも、6カ月の赤ちゃん向けの果物スムージーだけは口にしてくれたそう。しかしそのうちに今度は美友季さんの胸が・・・。

「おっぱいを拒否し続けられていたのでカチコチに張ってしまい。その痛さといったらもう・・・。耐えきれず、夜中の11時半にパパに搾乳器を買いに走ってもらいました」(美友季さん)

5日目にはかなり回復。発疹は水ぶくれになったあとかさぶたに

翌日、大きな病院を受診。医師の診断は手足口病と変わらないものの、脱水が進んでいると言われ、点滴治療を受けることになりました。同時に血液検査と尿検査を受けましたが、数値はあまりいい結果ではなかったそうです。
その日の帰宅後、解熱の坐薬を入れたあとは熱が37度台に下がりました。試しに離乳食を用意すると、少し口にしてくれたそう。

「最近は5倍がゆをあげていましたが、10倍がゆくらいに薄めて、あとはつぶしたバナナとヨーグルトのペーストをあげました。30gくらいは食べてくれました。
このころ発疹はもうすべて出切った様子で、最初のころできたものは水ぶくれになったあと薄い皮が張っていました」(美友季さん)

少しよくなったと思いきや、夜はまだ1時間おきに起きてしまい、おっぱいはまだ拒否。ストローで経口補水液を飲ませてもなかなか寝られず、気がつけば朝になっていました。

「発疹のほとんどは薄い皮が張った状態になっていました。昨日、離乳食を食べたのでもう一度あげてみると、昨日よりは量をたくさん食べられるようになりました。それでも、睡眠不足だからでしょうか、機嫌は悪かったです」(美友季さん)

おっぱい拒否が始まってからも、3時間おきにおっぱいを飲む体勢をとるようにしていたという美友季さん。初めの発熱から4日目のこの日の昼もおっぱいを飲ませようとしたところ、片方を3分だけ飲んでくれました。

「やっと飲んでくれてうれしかったです。このあと、夜の離乳食はほぼ普段通り食べられるようになり、おっぱいも飲めるようになりました。おしっこも出て、ほっとひと息。怖かった夜も、久しぶりに添い乳で就寝。2時間まとまってベッドで寝ることができました。熱が出る前は5時間ほどまとまって寝ていましたが、まだ完全でなかったのでしょう、2時間おきにグズグズしていました」(美友季さん)

発熱からは5日目にはほぼ普段通りの生活に戻り、発疹はかさぶたになりました。

「発症から6日目にすべての発疹がかさぶたになり、翌日にぽろぽろとはがれていきました。7日目にしてようやく離乳食もおっぱいもおしっこの回数もほぼ正常に戻りましたが、夜はまだ不安定で、3時間おきにグズグズしていました。後追いが激しくなり、おっぱい依存も高まったように感じます。つらかったことを思い出してしまうようです」(美友季さん)

感染力が強い手足口病。流行しているときはとくに慎重な行動を

美友季さんは小児科クリニックの看護師として、手足口病にかかった子どもの様子をこれまで多く見てきました。

「軽い症状から重い症状の子まで見ましたが、お母さんはみんな飲めない、食べられないと困っていました。当時まだ子どもがいなかった私は医療知識をもとに“こうすれば食べられますよ”などとアドバイスしていたのですが、まあ自分の子は食べない。あの手この手で手を尽くしてもダメであっという間に脱水が進んでしまいました。手足口病は感染力が強く息子のように重症化する子もいます。接触感染の目安を知ったうえで、ママやパパは慎重に行動してほしいですね」(美友季さん)

手足口病は飛沫や接触で感染し、口に発疹がある間がもっとも感染力が強いとされます。大人に感染することもあります。

「私は仕事柄、手足口病の感染経路を知っていましたがパパはわからないので、看病は私が行い、おむつ替えやおふろの世話も私が担当しました。お世話をしたあとは手を洗浄料でよく洗い、息子が遊んだおもちゃも消毒するようにしました」(美友季さん)

熱がある間はパパも拒否していた葵葉くんですが、今はパパとも遊べるようになったということです。

【黒澤先生から】重症化した手足口病の大変さが伝わります

ママ、パパ、そして葵葉くん、大変でしたね。
手足口病は発疹が派手でも自然に治ってしまうことも多いですが、のどの痛みが強いと水分摂取が足りず、高熱による発汗も影響して脱水になってしまうことがあります。今回の経過は、手足口病の中でもまれにみる最重症の例と考えられます。どのような感染でも一定の確率で重症化してしまうことがあり得ます。今回は残念ながらそのパターンだったのだと思います。

手足口病の典型例を挙げます。
「保育園などで流行中に感染した1才児。38~40度の発熱、のどの炎症から始まりその後赤みのある発疹が体に広がり始める。口の中にも水疱ができていることから手足口病と確定診断。のどの痛みから固形物をとりたがらなくなり、水分を中心に補給。その後熱は下がるものの、発疹は発症から3日くらいまで増え、7日目ころにはわずかに跡を残すのみに。口の中の痛みも3日目がピークで徐々に食欲が戻り、5日目には通常通り飲んだり食べたりできるようになった。手足の発疹は多少残っていたものの6日目から再び登園することができた」。

手足口病になったからといって過度に恐れなくてもいいと思いますが、脱水にならないように本人が好む飲み物を与え、それでも飲水が不十分のようならば迷わずかかりつけ医を受診して脱水の評価をこまめにしてもらいましょう。

監修/黒澤照喜先生

取材・文/岩崎 緑、たまひよONLINE編集部

感染症の中では比較的軽く見られがちという手足口病。しかし、ときに葵葉くんのように飲めない、食べられないという状況が続いてしまうこともあります。感染した際は熱や発疹が落ち着いても、周囲に感染を広げないような行動を心がけることが大切です。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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