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小さい耳で生まれたわが子。妊婦健診では分からなかった…「耳が小さい」「聞こえない」とネット検索を繰り返した日々【体験談】

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関西在住のsoraさん(29才・保育士)は、はるくん(7カ月)、夫のはるくんパパ(28才・会社員)の3人家族です。はるくんの右耳は「小耳症」といって生まれつき耳が小さく、耳の穴がふさがっている外耳道閉鎖症(がいじどうへいさしょう)という症状を持っています。日本では5000に1人ほど発症するといわれる、先天性形成異常です。はるくんの症状や、小耳症と向き合う気持ちについて、ママのsoraさんに話を聞きました。(上の写真は生まれたばかりのはるくんの耳の様子です)

生まれてから初めてわかった、息子の小さな耳のこと

――はるくんの出産のときの様子を教えてください。妊娠中のエコーなどでは耳のことはわからなかったのでしょうか?

soraさん(以下敬称略) 妊婦健診のエコー検査では赤ちゃんに何も問題は見つからず、毎回エコーを見てホッとしていました。出産予定は1月だったので、11月に産休に入り里帰り出産のために実家に戻りました。切迫早産(せっぱくそうざん)で1カ月ほど入院したものの、退院して5日後に陣痛がきて、12月末にはるを出産しました。

夫は立ち会い出産を希望していたのですが、産院はコロナ禍のため県外の人はいっさい立ち入ることができない状況。切迫早産の入院中から産後入院中も夫とは会うことができませんでした。その代わり、出産には母が立ち会ってくれました。

――はるくんの右の耳が小さいことはいつ知りましたか?

sora 出産したとき、はるの元気な産声を聞いて言葉にできないほど感動しました。産後にカンガルーケアをして、授乳をして会陰(えいん)切開の縫合をして、と処置がすべて終わったあとに先生が「赤ちゃんの耳がね・・・」と話をしてくれました。でも私はそのときのことはあまり覚えていません。
出産に立ち会った母によると、産科の先生自身も小耳症の赤ちゃんを取り上げたのは初めてだったようです。「赤ちゃんの耳が小さいけれど、ここでは検査する設備が整っていないから、明日の朝に小児科の先生に診てもらって大学病院に紹介状を書いてもらうね」と言われたそうです。私は産後で疲れ果てていたのと、無事生まれた安心感とで、先生の話もあまり頭に入ってこなくて、「きっと大したことない、元気な産声だったもん」と聞き流していたように思います。

翌日、小児科の先生が聴力検査をしてくれ「左耳はパス(問題ない)だけれど右耳は穴がないので測定できない」と言われました。右耳も検査をするために、大学病院紹介状を書いてもらい、受診する日を決めました。

耳のことをひたすら調べ続ける毎日

――はるくんの耳のことを心配に思いはじめたのはいつごろからですか?

sora 産後入院中の5日間は、体の節々の痛みに耐えながらの授乳やお世話など、初めての育児に精いっぱいで耳のことを気にする余裕もないくらいでした。退院後、1週間くらいを実家で過ごすうちに「そういえばこの子の耳はどうなるんだろう」と不安になって調べはじめました。それからは授乳中もずっと「耳が小さい」「聞こえない」などの単語をひたすらネット検索していました。

そもそも自分自身が小耳症を知らなかったし、周囲にも小耳症の人はいないし、難聴の親族や友人もいなかったので、まったく未知の世界のこと。「聞こえないってどういう世界なんだろう」「私が何をしてあげられるだろう」「もしこの子に『なんで僕の耳は聞こえにくいの』って言われたらどう答えればいいんだろう」と、わからないことだらけで、あのときに私ができることは調べることしかなかったように思います。

だけど、どんなに調べても小耳症について知りたいことの答えになるような有益な情報はなかなか見つかりませんでした。とにかく指を動かしていろいろ調べて、安心したい気持ちが強かったのかもしれません。調べたことを母に話すことで不安な気持ちを消化していた気がします。

――わからないことばかりで、心配な気持ちを抱えていたんですね。

sora もちろんはるはとってもかわいいですし、ママになったうれしさを感じていましたが、はるの耳を見るたびに「どうして普通の耳に産んであげられなかったんだろう」「育児だけでも大変なのに、どうやって受けとめたらいいんだろう」「これから治療のお金も時間もかかるしどうしたらいいんだろう」と、不安ばかりが胸に押し寄せました。夜寝る前にいろんな思いがあふれ出て、ふと涙が出たり、耳以外は本当に大丈夫なんだろうかと神経質に心配しすぎたりもしていました。でも私はこの子の親だから、強くならなきゃいけないんだ、とプレッシャーも感じていました。

聴力は生活に支障がない程度はあるとわかり、ひと安心。でも・・・

生後5カ月のはるくん。soraさんインスタグラムより

――大学病院ではどのような検査をしたのでしょうか?

sora 産後1カ月のころに、実家から車で1時間半くらいの場所にある大学病院の耳鼻咽喉科・頭頸部外科に夫とはると一緒に行きました。1回目の診察では、医師から正式な診断名を言われたわけではないのですが、受診までにいろいろと調べていたので「小耳症ですか?」と聞いたら「そうです」と言われました。小耳症は耳の形の先天性形成不全で、形や聞こえ方は人それぞれ違うそうです。

2回目の通院では、CT検査と、幼児特殊聴力検査(ABR・ASSR)という装置での聴力検査を行いました。赤ちゃんが寝ている間に、おでこと頭のあたりに電極をつけ、ヘッドホンから流れる音がどれくらい聞こえているかの脳波を見る検査です。その結果は、左耳はパス(問題なし)、右耳は60dB(デシベル)でした。右耳は普通の話し声くらいの大きさは聞こえるけど、小さい声は聞こえないそうです。右耳からは聞こえにくいので声を大きくするなどの配慮は必要になるようでした。でも言葉の発達の心配もないし、生活に支障はほとんどなく、補聴器もつけなくて大丈夫とわかり、とても安心しました。
この検査結果が出るまでの間も、声かけに少しでも反応してくれたら「きっと聞こえてる!」と信じて声をかけ続けてよかったと思いました。

ただ、小耳症に限らず中耳炎やおたふくになった場合、聴力に影響が出ることもあるので、聞こえる左耳への影響を防ぐためにも、任意のおたふくかぜの予防接種を時期が来たら早めに受けること、2カ月に1回は鼓膜の様子を見てもらう定期健診を受けること、と言われました。聴力についてはひと安心したものの、小さい耳の見た目のことへの不安はなかなか消えませんでした。

将来、耳の手術ができると知り光が差した

――今後、はるくんの小さい耳について治療などは考えていますか?

sora 大学病院に行ったときに、耳鼻咽喉科の先生が「こみこみ」という小耳症の人のためのサークルのパンフレットをくれました。「こみこみ」は小耳症の当事者や小耳症の子どもを持つ親たちが情報交換するLINEサークルです。参加してみると、ずっと知りたかったさまざまな情報を得ることができました。そして、将来的にはるの耳を作る手術ができることがわかりました。

「こみこみ」で札幌医科大学の耳の外科手術の名医である四ッ柳先生のことを教えてもらい、直接先生に連絡をして、2024年3月の初診を予約することができました。全国からの小耳症患者を受け入れているので、2年先まで予約がいっぱいなんだそうです。はるには、10才になったら手術を受けさせるつもりです。はるの耳を作ってくれる先生が見つかるまでの道のりはとても長かったですが、やっと前向きに考えられるようになりました。形成外科手術では聴力が回復するわけではないので、今後は耳鼻科での定期健診も継続して受ける必要はあります。

――診察以外ではるくんの耳のために気をつけていることはありますか?

sora はるの右耳は、耳が閉じているところのくぼみにゴミがたまりやすいので綿棒で耳の掃除をしたり、右側から普通の声で話しかけたりしてはいますが、それ以外は普通に過ごしています。

今、はるはおすわりができるようになりました。すごく活発で好奇心が旺盛で、すくすく元気に育ってくれています。家中をずりばいで動きまくって、手に持ったものを投げたり、電気コードにかぶりつこうとするのでひやひやします(笑)。
はるの耳は、ほかのみんなとはちょっとだけ違うけれど、好奇心が旺盛なまま、いろいろな音を聞いて学びながら、毎日を楽しんでほしいなと思っています。そのために親として、周囲の協力を得たり、生きやすい環境を作ったりするサポートをしていきたいです。

【札幌医科大学形成外科 四ッ柳先生より】耳の形が違っても何の心配もいりません

生まれつきの異常と言われると、強い障害を有する、というイメージを持ってしまうかもしれませんが、本来すべてが正常な人は存在しません。たとえば目の大きさが左右で違う、かみ合わせがずれている、おしりに大きなほくろがある、などなど。言ってしまえば、世の中の人間には全員異常があることになります。その症状が目立つかどうか、困るかどうかで治療をするかどうか、ということになるわけです。しかも治せない疾患であれば困りますが、耳はパッと見てもわからないくらいに治せますので、何の心配もいりません。多くの小耳症の先輩たちがいろいろな世界で大活躍していますよ。

お話・写真提供/soraさん 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

監修/四ッ柳高敏先生

生まれ持った個性は人それぞれです。人と違う体の形によって日常生活の不便さやコンプレックスを感じることがあったら、親や周囲のかかわりで、その生きづらさを少しでも軽くしてあげることができるかもしれません。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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