1歳であざの治療を決意。暴れる娘を抱っこしながらのレーザー照射。泣き声を聞くのは本当につらかった【異所性蒙古斑・体験談】
1才4カ月の双子の女の子、あんちゃんは、ママの佐川愛美さん(30才・専業主婦)、パパの祐介さん(30才・公務員)、さきちゃん(4才)、双子の弟いつきくんの5人家族(名前はすべて仮名)。あんちゃんの腰のあたりには、生まれつき2カ所の色の濃いあざがあります。生後10カ月ころに、このあざは消えないものだとわかり、愛美さんは祐介さんと相談し、レーザー治療をすることに決めたそうです。愛美さんに、レーザー治療の経緯について詳しく話を聞きました。愛美さんは公式たまひよインスタグラマーとしても活動し、インスタグラムで自身の子育ての様子も発信しています。
あざのレーザー治療時間は10分程度
――あんちゃんは生まれつき、腰の広い範囲に青っぽい蒙古斑と、さらに色の濃い異所性蒙古斑が2カ所あり、9~10カ月健診で相談し、あざのレーザー治療を決めたそうです。実際、レーザー治療はどのように行うのでしょうか?
愛美さん(以下敬称略) あんのあざは背中の下のほう、セパレートの水着を着ると見える場所にあってかなり色が濃いものです。9~10カ月健診で小児科の先生に相談すると、「このあざは消えないもので成長に伴って大きくなる」と言われたことから、紹介状を書いてもらい、大きい病院の皮膚科でレーザー治療をすることにしました。
1才を過ぎたころの5月に1回目のレーザー治療をしました。レーザー照射の1時間くらい前までに、照射予定の個所に麻酔薬を塗って待機します。処置室に呼ばれたら、娘の背中のあざが先生に見えるように、私のひざの上に抱っこするような形で座らせます。私も娘もレーザー光から目を守るゴーグルをかけて治療を開始しました。
ペンのような照射器でパチンパチン、と色の濃い部分を30カ所くらいレーザー照射し、終わるまでの時間は10分くらい。その間、あんは泣いて暴れて、動かないように押さえているのがとても大変でした。麻酔薬を使っているので実際の痛みは輪ゴムではじくような痛みと聞いていますが、私にぎゅっと押さえつけられていることと、慣れないゴーグルをつけて暗くなること、「パチンパチン」という音も怖かったのかもしれません。でも照射が終わったらすぐに泣きやんでいました。病院によっては保護者が診察室に入れないこともあるようですが、私はあんが泣いている時に抱っこしてあげられたので、一緒にいられてよかった、と思いました。
先生からの最初の説明で「子どもが痛がるのがかわいそうで、治療を途中でやめるケースがある」と聞いていて、それを踏まえて治療を決意したので、ここでひるんではいけない、一緒に頑張らなきゃ、ということも強く感じました。すぐに泣きやんでくれたとはいえ、泣き声を聞くのはやはりつらかったです。
――治療中にあんちゃんを抱っこして押さえるのはママ1人ですか?
愛美 あんはまだ力も弱いので私1人でもなんとか押さえられましたが、成長して抵抗する力が強くなると大変みたいです。私たちが診察を待っていたとき、2才くらいの男の子がレーザー治療していたようで、嫌がって診察室から飛び出して、ママ・ばあば・じいじの3人がかりで対応していました。そのときに、そのばあばから「大きくなると大変だから小さいうちのほうがいいよ」とリアルな意見も聞きました。
痛さを覚えていないぐらい小さなうちに、と1才になってすぐに治療を始めましたが、このような面からもよかったのかな、と感じています。
――治療後はどのような処置をしますか?
愛美 レーザー照射が終わったあとは、照射部位にステロイドを塗ってもらいます。自宅では痛がったら冷やしてくださいと言われましたが、あんの場合はとくに痛がったり気にしたりする様子はありませんでした。おふろは照射した当日は入らず、翌日からは普通に入浴をしています。自宅ではもらったステロイドを3日ほど塗りました。
ほかには、レーザーを照射した個所は紫外線を吸収しやすいからあざが濃くなってしまうことがあるので、日焼けをしないように、と言われています。ただ、背中だからそんなに露出はしないので、とくに気をつけていることはありません。
――治療後の皮膚は触るとどんな感じですか?
愛美 レーザーのあとは6角形のような形をしていて、写真では盛り上がってるように見えますが、触ると通常のなめらかな皮膚の感じです。
あざのレーザー治療、保険適用は5回まで
――今後の治療の予定は?
愛美 8月に2回目を予定していたんですが、5月の照射のあと、2カ所あるあざのうち1カ所に脱色が起きているので、8月は照射せず、お休みすることに。大人の場合は皮膚が1度脱色してしまうと戻りにくいらしいですが、子どもの場合は戻ることが多いから、1回様子を見ましょう、と言われています。次回の予定は11月。皮膚の状態を見て、白い色が少し回復していれば、また照射をするそうです。
――治療はトータルで何年くらいかかる、といった目安はありますか?
愛美 それは言われていませんが、1年くらいは治療する人が多い、ということは聞いています。ただ、あんのあざの場合は、医療用レーザーの治療が保険適用となるのは5回までと決まっているそうです。あんは背中に2カ所あざがありますが、1カ所につき5回ではなくて、背中やおなか、といった部位ごとに5回ということらしいんです。そのため、8月の診察時も、「脱色していないほうは照射できるけど、保険が残り3回しかなくなってしまうよ」との説明だったので、2カ所とも同時に治療できる状態になってからに治療再開しようということになりました。
――1回の照射で、あざの様子に変化はありましたか?
愛美 写真だとわかりにくいんですが、実物を見ると、やはり照射前と比べて薄くなっています。続けていけば、薄い蒙古斑くらいの色になるのかな、と期待しています。
3人子育ては「手抜き」がモットー
――あんちゃんの治療の間、ほかのお子さんはどうしていますか?
愛美 私の母と、夫の母に協力してもらっています。2人とも仕事をしているので、お願いしたい日を連絡して交互に来てくれます。あんのあざ治療は上の子が幼稚園に行っている間なので、いつきと一緒にお留守番してもらい、上の子の幼稚園バスのお迎えにも行ってくれ、とても助かっています。
――4才のお姉ちゃんと、1才の双子のママとしてインスタでも情報発信されています。3人の子育てをとても楽しんでいるように見えます。
愛美 3人の子育ては、もう本当に手抜きばっかりです(笑)。双子はいたずらざかりなので、ティッシュの箱からティッシュを全部出したり、折り紙が部屋中に散らばっていたり・・・家の中も散らかり放題ですし、家電など頼れるものはなんでも頼っています。わが家は夫が仕事で休みが不定期で長期間不在のこともあるため、私が倒れたら大変なので、家の中がどんなに散らかっていても、疲れたときは子どもと一緒に寝るようにしています。
インスタでは、あんのあざのことも発信しているので、同じようなお子さんがいるフォロワーさんからも、治療したほうがいいのか、という相談を受けることも。あざもチャームポイントとして残し、治療はしない、という人や、大きくなったら消えるからそのままにしています、という人など、あざ治療についてもいろんな意見をもらいます。
ただ、あんの異所性蒙古斑はかなり色が濃く、自然に消えない上に、成長とともに伸びて大きくなってしまうんです。大きくなってからでは治療する範囲も広くなり、痛みを感じる時間も長くなってしまうことから、私たちは今のうちにできる治療をしてあげたいと考えています。
【矢加部先生から】青あざのレーザー治療は5回もかからず目立ちにくくなることがほとんど
色調の濃い青あざをレーザー治療するときには、青あざの色調を見ながら治療適応を決めていきます。なぜなら、安易にレーザー照射を行えば白抜け(白斑)のリスクが高くなり、かえって目立つ結果になるからです。1才を過ぎれば、麻酔薬が安全に使えるので、治療は行いやすくなります。また、本人があまり覚えていない年齢のうちに治療を終えられる利点があります。麻酔薬(塗り薬、はり薬)が進歩したおかげで、治療中の痛みは激減しました。輪ゴムを「鈍く」はじかれる程度ですが、動かないように体を支えられたり、目を隠されることが嫌で、治療中はほぼすべての子がギャン泣き状態です。しかし、治療が終わったあとは、何事もなかったように「ばいばーい」と帰っていくことが多いです。
白斑に気をつけながら3~6カ月のペースで治療をしていけば、個人差はありますが5回もかからず色調が目立ちにくくなることがほとんどです。
青あざは、「いかに白抜けの副作用を出さずにレーザー治療するか」ということが大事なので、主治医の先生と治療の時期やタイミングなどよく相談してくださいね。
お話・写真提供/佐川愛美さん(仮名) 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部
生まれつきあるあざは、人によって色や形、大きさもさまざまです。治療を行うかどうかもいろんな意見があるでしょう。もし子どものあざの治療を考えている場合は、愛美さんの体験を参考に、レーザー治療ができる医療機関で相談してみるといいかもしれません。
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