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「イケメンだね」「ママに似て美人」・・・子育ての日常にあるルッキズムを考える【ママ泌尿器科医】

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自宅で遊ぶお子様
●写真はイメージです
maroke/gettyimages

ママであり泌尿器科医でもある岡田百合香先生の連載第29回。今回のテーマは、「ルッキズム」について。子育て中にも出会う、容姿や外見に関係する言葉は、悪気なく外見の優劣をつけ、子どもにもその価値観を受け継がせてしまうことにもなるかもしれません。「お母さんのためのおちんちん講座」ママ泌尿器科医#29です。

「あの犬、大きいね」と口にしても問題はないけれど・・・

先日、公園で子どもたちと遊んでいたときのことです。犬の散歩中の男性が近くを通ったときに、4才の息子が「あのおじさん、頭がツルツルだね」と大きな声で言ったのです。

男性の耳にも届きそうだったのであせってしまい、「そういうこと言わないよ!」と思わず強い口調で言ってしまいましたが、本人はキョトンとした様子。
そもそも、息子はからかうとか、面白がるといった意図ではなく、ただ事実を口に出しただけ。

「このお花、赤いね」「あの犬、大きいね」は問題ないのに、「あのおじさん、髪の毛がないね」はどうしてダメなのか。「あのおじさん、髪の毛がいっぱいだね」ならOKだったのか。私がしっかり理解していないと子どもに説明できないなと思い、あらためて考えてみました。

容姿に関連した言葉が、外見に優劣をつけてしまうことも

最近、ルッキズムという言葉を耳にする機会が増えています。ルッキズムとは外見至上主義、外見によって差別をすることを指します。

おちんちん講座では、わが子の包茎や性器のサイズに関する保護者の不安を数多く聞きます。その心配を深堀りすると、「病気ではないか」「将来生活に支障がでないか」という医学的なもの以外に、ルッキズムのように性器の見た目に絡んだ悩み、つまり、「包皮に覆われていないほうが価値が高い(覆われているといじめられる)」「男性器は大きいほど好ましい(小さいとモテない)」といった価値観に絡んでいることが少なくありません。

「ブサイク芸人」「イケメン〇〇」「美人すぎる●●」「身長を伸ばすサプリ」「胸を大きくする下着」日本社会では当たり前のように目や耳にする、容姿に関連した言葉や表現たち。

顔や体のつくりは、本人の努力ではどうしようもない部分が多くを占めています。そこに優劣をつけられることは、「優」に該当することで得られる利よりも、つらい思いをする人、苦しむ人を増やす害のほうが大きいと考えています。

スウェーデン、フィンランドといった人権意識の高い北欧諸国では、人の容姿や外見に言及することは避けるべきだという考え方が定着しているようです。
スウェーデンで保育士をしている知人によると、子どもに対して「あなたの容姿が美しい」とほめることもNG。子ども同士で外見を比べられることはないため、子どもたちが自分の容姿のことで傷つくことはほとんどないと言っていました。
日本ではとくに思春期ごろになると、自分の容姿で悩み苦しむ子は少なくありません。
「思春期特有のこと」ではなく、大人がつくり発信している価値観が、苦しむ子どもたちを生み出していると自省すべきです。

今一度見直したい、日常にあるルッキズム

子育てをする中でも、日常生活のそこら中でルッキズムに出会います。
「おめめパッチリでお人形さんみたい」「〇〇くん、イケメンだよね~」「ママ似で美人」「うちはパパに似ちゃってかわいそう」「男の子なのに背が低くて」
「この前転んで顔に傷できちゃった。女の子だからあとが残らないか心配」etc・・・。
何の悪気もなく使っているこういった言葉たち、たくさんありますよね。
私も過去には散々言っていました。思い出すと恥ずかしいやら情けないやらです。

目の前の相手を喜ばせようとしたり、謙遜(けんそん)してみたり。悪意がないけれど、こういった既存の価値観にのっかってしまうことは、子どもにもその価値観を受け継がせることにつながります。
だれかの発言に対し「それ、ルッキズムだよ」と指摘するのはハードルが高いですが、自分が言わないようにすることは割と簡単にできますよね。
わが子がどんな特徴を持っていても、幸せに過ごせるような世の中を目指して、「ルッキズム」について親子で考えることも、大切な性教育のひとつだと思います。

文・監修/岡田百合香先生

構成/たまひよONLINE編集部

日常で使っている言葉が、だれかを傷つけるものになっていないか、今一度、見直したいものです。次回も子どもの性や、性器、排せつ、性教育など、ママ・パパが気になるお話をお届けします!お楽しみに。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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