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コロナ禍で増えている子どもの肥満に専門家が警鐘!5歳以下の「幼児肥満ガイド」を初めて作成

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●写真はイメージです
DragonImages/gettyimages

幼児の肥満が増えていることが問題になっています。日本小児医療保健協議会 栄養委員会 小児肥満小委員会では2019年3月「幼児肥満ガイド」を発表。同委員会 委員長を務める、和洋女子大学 家政学部 健康栄養学科 原 光彦先生に、「幼児肥満ガイド」を作成した経緯や幼児の肥満の問題点について聞きました。原先生は、都立広尾病院などで子どもの肥満の診療もしています。

「幼児肥満ガイド」を作成したのは、受診が必要なほど太っている幼児が増えたため

「幼児肥満ガイド」は、就学前の幼児の肥満を対象としており、作成した日本小児医療保健協議会は、日本小児科学会、日本小児保健協会、日本小児科医会、日本小児期外科系関連学会協議会の4団体からなっています。内容は「幼児肥満の判定法」「幼児肥満の疫学」「幼児肥満の病態」「幼児肥満の問題点」などで構成しています。

「これまでは就学後の子どもを対象にした“小児肥満症診療ガイドライン”がありましたが、就学前の幼児を対象にした肥満予防や肥満対策を総合的に扱った指針の作成は初めてです。

就学前と就学後では、肥満の判定基準が異なりますし、就学後は、病院や診療所を受診させる必要がある小児肥満症の診断や対策が重要ですが、就学前は肥満や肥満症の予防が大切なので、幼児肥満ガイドを作成しました。しかし、コロナ禍になって、肥満症を考えざるをえない肥満幼児が増えているのも大きな問題です」(原先生)

5歳で肥満の約60%は、小学6年生になっても肥満のまま

幼児の肥満というと、なかには「成長するに従い、やせてくるから大丈夫!」「運動量が増えれば、そのうちやせてくるはず!」と考えるママやパパもいるでしょう。しかし太ったままの子は意外と多いようです。

「肥満度を計算する方法の1つに、{(実測体重-標準体重)÷標準体重}×100 という計算方式(体重=Kg)があり、就学前は+15%以上だと“太り気味”ということになります。
ある調査では、5歳で肥満度15%以上の幼児143人のうち、12歳になっても肥満だった子は59%(84名)でした。約60%が肥満のままです。


また肥満症という病気があります。肥満症とは、肥満が原因で高血圧や糖尿病、脂質異常症などを発症するものです。2014年には6~17歳を対象にした小児肥満症の診断基準が作られました。しかし小児肥満症の診断基準は、5歳以下は含まれていませんし、5歳以下の小児肥満症の定義もまだありません。
ですが幼児の肥満をそのままにしておくと、6~17歳の小児肥満症につながるリスクがあることはわかってきています。

なかには“高血圧や糖尿病なんて、大人になってからのことでしょ? それまで注意すればいいのでは?”と考えるママやパパもいるかもしれませんが、早いと小学生で、肥満が原因の脂肪肝になり、肝臓の機能が低下する子もいます。
幼児からの肥満は、大人になってからではなく、小学生、中学生のうちから病気になるリスクが高まる傾向があるのです」(原先生)

子どもの肥満を防ぐには、ママやパパが意識することが必要

幼児の肥満は、日ごろの生活習慣と大きく関係しています。

「肥満になりやすい子の傾向として、ママやパパ自身が肥満ということがあります。そうしたママやパパに、日ごろの食生活や生活習慣について聞くと、家族全員で改善が必要ということがわかります。
またぽっちゃりの体型を“子どもらしくてかわいいい”と思うママやパパもいます。
しかし前述のように、幼児からの肥満は病気になるリスクが高まります。乱れた食生活の影響で、むし歯が生じ、そのまま治療せず放置されている子どももいます。この様な例では、生活習慣病を伴っていることが多いです。
子どもの肥満を防ぐには、家庭での取り組みが第一なので、気になる場合は、日ごろ口にする飲み物は、ジュースをやめてお茶や水にしたり、おやつの内容を健康によい食べ物に代えるなど、まずは食生活を見直すところから始めてほしいと思います」(原先生)

低出生体重児の幼児期の肥満には注意を!

原先生によると、出生体重2500g未満の低出生体重児が、肥満になるというケースもあると言います。

「DOHaD(ドーハッド)といって、将来の健康や特定の病気へのかかりやすさは胎児期や幼児期までの環境の影響を強く受けるという考え方があります。

とくに低出生体重児は、将来、糖尿病や高血圧などを発症するリスクが高いという疫学調査の結果も出ています。
妊娠中の過度な体重管理によって小さめに生まれた赤ちゃんは、将来、内臓脂肪がつきやすい体質になることが知られています。
小さく生まれると”早く大きくなってほしい“という思いから、つい食べさせ過ぎてしまうママやパパもいるかもしれませんが、2500g未満で生まれた赤ちゃんは、幼児期に肥満にならないようにとくに注意が必要です。そして、妊娠期は適正な体重管理を心がけましょう。妊娠前の強すぎるやせ志向で、やせた状態で妊娠すると、おなかの赤ちゃんの成長に悪影響が出る場合があります。妊娠前の体格別の妊娠中の体重増加曲線が国立成育医療研究センターから公表されています」(原先生)

取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

お話・監修/原光彦先生

「幼児肥満ガイド」は、医師、看護師、栄養士などの専門家用にまとめられたものですが、日本小児科学会のHPから無料でダウンロードできます。肥満が原因となる子どもの病気や、食事、おやつの見直し方なども紹介されているので興味のあるママやパパは、チェックしてみてください。

「幼児肥満ガイド」

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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