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日本脳炎ワクチンは、生後6カ月から接種可能と知っていますか?感染ハイリスク地域では早め接種の検討を【小児科医】

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●写真はイメージです
maruco/gettyimages

「日本脳炎」は、日本脳炎ウイルスに感染することで発症し、感染者のおよそ100~1000人に1人の割合で脳炎を発症します。2022年、全国で5人の人が発症していると言います。一度発症すると致死的になりうる病気ですが、ワクチン接種による予防が可能です。
「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#26は、「日本脳炎ワクチンの早期接種」についてです。

ワクチンで防げる病気「日本脳炎」。ワクチンは生後6カ月から接種可能

2015年、千葉県内で10カ月の乳児が日本脳炎を発症したと発表されました。この病気は日本脳炎ウイルスを持つコガタアカイエカに刺されることで感染。運が悪いと脳炎を発症します。日本脳炎ウイルスは家畜として飼育される豚などの体内に生息し、豚の血を吸ったコガタアカイエカが人をさすことで、ブタから人に感染するのです。人から人へは感染しません。

この病気は、ワクチン接種で防ぐことができます。ワクチンの標準的接種は3歳からとされています。初年度に2回、翌年に1回の計3回接種が完了していれば安心です。

実は、3歳まで待たなくても接種を開始できるのですが、あまり知られていません。いちばん早いと生後6カ月から接種が開始できるのです。
2015年に患者さんが出た地元自治体では、同じような発症者をださないようにと早期接種開始をすすめました。千葉県や近隣都県でも、保護者や小児科医の間にも早期接種の機運が高まりました。しかし、2021年にはワクチン生産体制に不都合が生じ、十分な供給がされなくなり頓挫してしまいました。そして、主に標準接種対象者にすすめるだけの体制に戻ってしまいました。この変則的体制は、本年、2022年度には回復していますが、接種し忘れたままの子どもがまだかなりいる状況です。接種済みかどうか、母子健康手帳で確認しましょう。

日本脳炎のウイルスをもっている豚がいることがわかっているのは17県【2022年調査】

そんな状況の中で、千葉県では再び日本脳炎患者が発生しました。患者さんは成人でしたが、日本脳炎ウイルスの流行状況の目安となる、豚の日本脳炎抗体保有率調査でも今年の秋には100%となっていることがわかり、県内は感染ハイリスク地域であるということが再確認されました。ワクチン不足という状況は解消されているので、できるだけ早く接種を開始したほうがよいと考えます。
この問題は千葉だけではありません。以下に示す県も豚の日本脳炎抗体保有率が高いことが報告されており、接種開始を早めたほうが安心な地域と考えたほうがいいでしょう。
2022年の調査(調査期間5月~9月)で、感染した豚が認められた地域は17県あります。
秋田、茨城、千葉、神奈川、静岡、三重、広島、島根、香川、徳島、愛媛、高知、福岡、熊本、佐賀、長崎、沖縄
その中で抗体保有率が80%以上だった地域は
千葉、静岡、三重、島根、香川、徳島、高知、福岡、熊本、佐賀、長崎の11県です。
2022年の患者発症者は5名(小児の患者はいないようです)で、熊本3名、広島と千葉が1名ずつです。熊本の1名が亡くなっています。
日本脳炎を発症予防対策として、蚊に刺されないようにと言われてもそんなことは不可能です。わが子を守るためにはワクチン接種しかありません。
私見ですが、日本中で接種開始時期を早める検討を始めてもいいのではないかと思っています。

文・監修/太田文夫先生 構成/たまひよONLINE編集部 

ワクチンで防げる病気から、赤ちゃん・子どもの命を守るために、予防接種は忘れずに。母子健康手帳での管理もしっかりしましょう。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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