今は5人いるのが当たり前。だけど、大変だった乳幼児期を思い出すと涙が出ることも。「毎日、5人の命を守るだけで精いっぱいだった」【多胎育児体験談】
大阪府に住むsachinaさん(41歳・主婦)は、中学2年生の双子、小学4年生の三つ子の男の子たちのママです。三つ子たちは9年前に約1500gの小ささで生まれました。3人はNICUに2カ月入院するも、合併症などもなく無事にすくすくと成長しています。「嵐のようだった」と振り返る、双子と三つ子育児の日々の様子を、ママのsachinaさんに聞きました。全3回のインタビューの2回目です。
気を失うように寝落ちしたことも。壮絶な5人育児
2014年の1月に緊急帝王切開出産により、約1500gの小ささで生まれた三つ子たち。生後2カ月で無事にNICU(新生児集中治療管理室)を退院し、4歳の双子とともに5人の男の子たちを育てる生活が始まったsachinaさん。当時いちばんつらかったのは「何より寝られなかったこと」だと言います。
「退院して数カ月は、日中は双子の幼稚園の送迎や家事をこなし、夜は順番に泣く三つ子をお世話する毎日。ほとんど睡眠を取った気がしませんでした。夫は『○○して』と伝えればやってくれますが、何かを頼むことさえもおっくうでした。三つ子が生後4カ月くらいのころには夜に寝てくれるようにはなったけれど、それでもこま切れ睡眠の生活。日中のちょっとしたときに気を失うように寝てしまうことが何度もありました。はっと気づいたら、リビングのそこらじゅうに使用済みの紙おむつと飲み終わった哺乳びんが散乱しているような状態でした」(sachinaさん)
自治体の産後サポートなどのことは頭にはなく、家族が助けてくれようとしてもうまく頼ることができなかった、と当時を振り返ります。
「産後をサポートしてくれるような制度やサービスがあることも知らなかったし、調べようとも思いつかなかったし、調べる時間があるなら寝たい、というくらいギリギリな生活でした。義母や実母が『手伝うよ』とたまに来てくれても、逆に気をつかってしまい体を休めることができませんでした。
さらに私の母には持病があって、三つ子が1歳のころに亡くなったんです。母は病気のせいで精神的に不安定な時期もあったから、頼ることはできませんでした。子育てでしんどいな、と思う気持ちも打ち明けることができなくて・・・5人の育児と、母のことも重なって、あの時期は本当につらかったです。
毎日、5人の命を守ることに精いっぱいで、三つ子が2歳になるころまでの記憶があんまり思い出せません。双子と三つ子を産んだママは珍しいから、この取材のように『子育ての様子はどうだった?』と聞かれることが多いですが、覚えていないんです」(sachinaさん)
5人いるのが当たり前。むしろ子ども同士で遊んでくれて楽だった?!
朝から晩まで5人の幼い子どもたちのお世話を必死でこなす日々で、体力的には毎日へとへと。でも精神的には上の双子の育児のときより気負わずにいられたのだとか。
「双子育児を経験したから、力の抜きどころをわかっていた気がします。双子のときは母乳育児にこだわっていたけど、三つ子になったらそれはもう不可能なこと。3人いるけれど私の腕は2本、泣いたらすぐに抱っこもできっこありません。双子育児の経験上、このくらいの泣き方ならまだ大丈夫、となんとなくわかるようにもなって、気持ちには少し余裕があった気がします。3人に対してママ1人でできることには限界がありますから、これくらいはしかたない、と割りきれるようにもなりました」(sachinaさん)
乳幼児が5人ともなると、毎日の家事や幼稚園の送迎や買い物も相当な負担だったのでは、と思いきや「子ども1人の育児を知らないから大変なのかどうかよくわからない」とsachinaさん。
「私は双子以上しか育てたことがなく、朝から晩までずっと子どもたちのお世話をしていることが普通なので・・・5人いるから大変だと思ったことはあんまりないです。双子の幼稚園の送迎のときは、毎朝車で5人を乗せて、2人を幼稚園に下ろし、そのまま3人を連れて買い物に行く感じ。スーパーでは双子ベビーカーに2人を乗せ、1人を抱っこをして買い物をしていました。でもそれも大変だったかというとそうでもなく、むしろ三つ子だったから楽だったかなと思うことが多いです。
きょうだいで年齢が違うと遊び方も違ったりするかもしれないけど、3人は成長具合が一緒なので、3人で遊んでくれて助かりました。あんまり『ママ、ママ』と私のところにばかり来ないから、3人でわちゃわちゃしている間に家事を済ませていました」(sachinaさん)
やっぱり三つ子のおそろいコーデはかわいい!
インスタグラムで子育てのことなどを発信しているsachinaさん。三つ子たちは幼児期から髪を伸ばしているようですが、何か理由があるのでしょうか?
「三つ子はすごくくせ毛でくるくるしているので、それがかわいくてもったいないから切らずにいたんです。成長とともに髪が伸びてきたので結んでいたんですが、今やそれがトレードマークのように定着しました。本人たちも短く切りたくないらしいので、切りたいというまではいいかな、と思っています」(sachinaさん)
sachinaさん自身も三つ子のファッションもとってもおしゃれで、楽しみながら子育てしている様子が伝わってきます。
「双子や三つ子がおそろいの服を着ているのってかわいいですよね。経済的じゃないと思いつつも、男の子だし、きっとそのうち『いやだ』と言われる日が来るだろうから、それまでは私の好みで楽しませてもらおうと思って、三つ子コーデや親子リンクコーデなどを楽しんでいます。
三つ子がおそろいを着ていると便利なことも。1人が迷子になったときに『この子とまったく同じ服装の子、見ませんでした?』と人に聞くときの目印にも使えるので、迷子防止の面でも役立っています。双子の兄たちは、もうさすがにおそろいではなく、自分で着る服を選んでいますが、三つ子はもう少し一緒におしゃれを楽しみたいです」(sachinaさん)
お話・写真提供/sachinaさん 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部
「サポートを探す時間もなかった」という言葉に、5人育児の過酷な現実が垣間見えます。大変だった5人の乳幼児期に、ほとんど1人で頑張っていたsachinaさん。昔を振り返り、涙ぐみながら話してくれました。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年4月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。