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俳優業は産・育休の1〜2年で自分の居場所がなくなる恐怖感がすごい。仕事と子育ての両立にありとあらゆる手をつくした【奥山佳恵×加藤貴子】

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『たまひよONLINE』でも連載を持つ俳優の加藤貴子さんは8歳と5歳の男の子のママ。俳優の奥山佳恵さんは20歳と11歳の男の子のママ。2人はお互いの家を行き来したり、家族ぐるみで旅行をしたりするほど仲よしなのだとか。俳優の仕事と子育てをどんなふうに両立しているかや、2人の関係について聞きました。

俳優ならではの、仕事と子育ての両立の難しさ

「長男のころは、子育てと仕事をどうしたら両立できるか私も会社もわからなかった」と奥山さん。

――奥山さんも加藤さんも俳優の仕事をしながら子育てをしています。奥山さんが長男を妊娠した20年前、女性が仕事と子育てを両立するには、どのような状況だったのでしょうか?

加藤さん(以下敬称略) 私にとって、佳恵ちゃんは結婚して出産して、子育てしながら仕事をした女性として先駆者的な存在でした。佳恵ちゃんのあとに、同じ事務所の中で続々と出産する女性が続いたよね。佳恵ちゃんが道をひらいてくれたと感じています。

奥山さん(以下敬称略) 私が出産した20年前は、今ほど俳優やタレントの仕事と子育てを両立できる雰囲気ではなかったよね。当時は子どもを産んだあとに、どうやって育てながら仕事を続けられるのか、会社も私も全然わからなかったし、イメージもできなかったんです。

加藤 私も会社に子どもを持ちたいと相談したら「二足のわらじをはくのは難しい世界だよ。君がめざすものを先に手に入れてから子どもを持つか、今子どもを持つなら家庭をいちばんに考えるべきじゃないか」と言われました。そんなふうに言われると、どっちかをあきらめてしまいそうになるよね。

奥山 多くの人がきっと悩むとこだよね。仕事もしたいし、子どももあきらめたくない、っていう。仕事って本当にいろいろだと思うけれど、私たちの俳優という仕事はまた特殊で・・・。私がいなくてもだれか代わりの人がいて回る世界。その役を演じるのはほかの人でもできる状況だから、出産と子育ての1~2年の間をあける恐怖はありました。戻るポストがない、自分を待ってる人なんかいない可能性が高いだろうなって。

加藤 よく「俳優さんは代わりがいないから」って言われるし、特殊な仕事と思われがちだけど、もちろんそういうオンリーワンの人はいるけれどほんのひと握り。「自分の代役はいくらでもいる、だから、今ここを抜けられない」というキャリアの人も少なくありません。一度抜けて、またここに戻ってこられるんだろうかって。でも、佳恵ちゃんが突破口を開いてくれた。当時バラエティーにひっぱりだこで、舞台もやって、絶好調のときだったから大変だったんじゃない?

奥山 私は・・・「産後のことはよくわからないけど、とりあえず産んでみます!」って言ったんだよね(笑)。
それでよくわからないまま出産して子育てが始まったんだけど、たまたま出産後にNHKさんが子育て番組の司会を探していると声をかけてくださって。会社も私も、仕事がつながった、とホッとしました。

貴ちゃんは不妊治療をしていたけど、妊娠のことと仕事のこととのプランニングが難しかったんじゃない?リミットもあるし。

加藤 「子どもを持ちたい」って会社に話していたけど、舞台などの仕事の関係でなかなか計画できなかったし、いざそうしようと思っても、自分が考えていた予定通りには子どもは授からなかったんだよね。
40歳くらいのときに、それまでの担当マネージャーが役員になったタイミングで、「産後にはゼロスタートになると覚悟して、腹をすえて子作りに取り組んだら?」と言われたの。それからはタイミング法をやってみて、42歳から本格的に不妊治療を始めて、上の子を授かったのが44歳。やっと子どもを持つことがかないました。

ご近所さんにベビーシッターを頼んで、昼ドラ主役を乗りきった

ツーショット撮影中も「アハハハ!」と笑い声が絶えない2人。

――仕事と子育ての両立が今より難しかったころ、奥山さんは俳優の仕事をしながらどんなふうに子育てをしてきたのでしょうか。

加藤 佳恵ちゃんは長男を子育てしながら昼ドラ(TBS系「キッパリ!」2007年)もやってたよね。私は独身のときにやっていた(TBS系「温泉へ行こう!」1999年)けど、昼ドラって吐くほど忙しいじゃない? 子育てしながら、ドラマに出たり、講演会をしたり、という仕事のしかたを佳恵ちゃんが切りひらいてくれたから、すごく尊敬しています。

奥山 私はいただいた仕事は断らない、というだけで(笑)。自分にはちょっと・・・と躊躇(ちゅうちょ)するようなお話のこともあったけれど、でもきっとできるから声をかけてもらっているんだろうと思い、すべて「やります!」という感じ。

昼ドラ(TBS系「キッパリ!」2007年)のパート1の撮影が始まったのは、私が33歳、長男が4歳のころ。ちょうどその時期すごくお芝居がしたくて、どんな役でもいいから出たいです、とお願いをしていたら、たまたま名古屋のCBCテレビでドラマを撮ると言われて。地域だけかと思ったら、全国放送だった(笑)

加藤 名古屋で撮影していたんだよね?

奥山 そう、週5日名古屋に行って2日だけ藤沢の家に帰る、という生活。逆に完全に子どもと離れられるから、両立しなくて済んだのかも。もし緑山スタジオ(東京)だったら家に帰れるから、夕食とかお弁当とか作りたくなって、身が持たなかったと思う。名古屋だったから、週5日仕事だけに集中することができたんだと思います。

加藤 長男の空良(そら)くんのことはどうしていたの?

奥山 俳優はたぶんみんなそうだと思うけど、やりたい仕事のために手をつくすじゃない。私も絶対にやりたい仕事だったから、成功させるためにいろいろと手をつくしました。
長男は当時保育園に行っていて、夫の仕事は深夜帰宅。夫の帰宅までに長男を保育園にお迎えに行ってごはんを食べさせておふろに入れて、寝かせるまでをだれかにやってもらう必要があったんです。

それで、ごあいさつをする程度の同じマンションの方に「ベビーシッターしませんか?」って声をかけました。その方のお子さんはもう中学生くらいで年が近いわけでもないのですが、同じマンションだから間取りも同じだろうし、子どもも安心するかなと思って。ベビーシッターの神奈川県の平均給与を調べて、1時間でいくらお支払いするからって。ダメもとでお願いしてみたら引き受けてくださったんです。

夫が朝保育園に長男を送ると、お迎えはご近所さん。そして、夫が深夜に帰宅して、ご近所さんの家に寝ている長男を引き取りに行く、という生活。
週末に私が帰宅できないときには、ママ友たちにチーム制をお願いして順々に枕を持って泊まり歩くっていうことをやっていました。

加藤 初めて聞いたけど、その発想がすごいね!! 昼ドラのパート2のときはどうしてたの?

奥山 パート1のときは、移住して3年くらいであんまり知り合いもいなかったけど、1年後のパート2のときは、もうご近所の親しいネットワークができていたから、ほかの方にお願いできました。ドラマのエンドロールにご近所さんやママ友たちの名前を入れてほしいなってくらい、みんなの協力があったからあのドラマができた(笑)!

そんなふうに、協力してもらって好きな仕事をやらせてもらうからには、笑顔で帰ってこなきゃいけない、疲れていても子どもと過ごすときは楽しもうと思っていました。でもね、パート1のとき、自宅で過ごして名古屋へ向かう日の朝に、長男に「また遊びにきてね」って言われたの! 出張ばっかりのお父さんが言われるやつ(笑)。「子どもって本当にこうやって言うんだ!」ってびっくりして、ドアを閉めたときにちょっと泣きそうになったよ。週2回くらい家に来るちょっと元気な人、みたいに思われていたのかもしれませんね。

散らかった家も見せ合える、ママ同士の関係

「子育てに悩んでも佳恵ちゃんのブログを見るととっても元気が出ます」と加藤さん。

――2人は「佳恵ちゃん」「貴ちゃん」と呼び合う仲で、お互いのブログにも家族ぐるみで旅行する様子をアップするほど。いつごろから仲よしだったんですか?

加藤 2人とも同じ事務所で20代前半のころから一緒にダンスレッスンを受けていたけど、40代前半くらいまでは会えば立ち話する程度の関係で連絡先も知らなかったよね。そう言えば、ダンスレッスンのころ佳恵ちゃん全然踊れていなかったよね!私も踊れなかったけど・・・(笑)

奥山 懐かしい!そうだったね(笑)。 数年前に番組収録でお互いゲストに呼ばれたとき、空き時間にお互いの楽屋に行くようになって、やっと連絡先を交換して交流が始まったよね。今ではお互いのとっ散らかった家を見せ合える仲に・・・。貴ちゃんの家に遊びに行っても「よくこの家に私たちを入れたね!」って思うし、貴ちゃんからも同じことを言われますね(笑)

加藤 そうそう。佳恵ちゃんって、ほんっとうにありのまま生きている人。こんなにあけっぴろげな人いるんだ〜って思います。この前、佳恵ちゃんの家に遊びに行ったら、洗濯物をたたんでいる途中で家に上がらせてくれたんだよね~。家の中は、ここまでは頑張ってどうにか片づけた、ここはまだ、ということがはっきりわかるような状況で・・・(笑)。そんな佳恵ちゃんと一緒にいると元気になれるし、彼女の前向きな生き方にも影響を受けています。

お話/奥山佳恵さん、加藤貴子さん 撮影/山田秀隆 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

取材時には、会った瞬間から取材が終わるまで、終始笑いながらのトークが弾んでいた奥山さんと加藤さん。子育ても仕事も両立するため、俳優ならではの大変さがあったようです。大変だった過去も明るく笑顔で話す2人に元気をもらえる気がします。

奥山佳恵さん(おくやまよしえ)

PROFILE
1990年、映画の全国オーディションにてグランプリを射止め、92年主演でスクリーンデビュー。翌年日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。以降、ドラマ・バラエティー番組などで活躍。2001年結婚、翌年長男を出産。2011年には二男を出産、その後二男がダウン症候群であることが判明。現在は、2度の子育て、ダウン症の二男を迎えての家族の日々などを伝えることでダウン症への理解を深めてほしいと、TVやイベント出演、講演活動なども積極的に行っている。著書に「眠れぬ森の育児」(主婦の友社)「生きてるだけで100点満点!」(ワニブックス)がある。

加藤貴子さん(かとうたかこ)

PROFILE
1970年生まれ。1990年に芸能界デビューして以降、数々の作品に出演。代表作として『温泉へ行こう』シリーズ(TBS系)、『新・科捜研の女』シリーズ(テレビ朝日系)、『花より男子』(TBS系)などがある。2014年に第1子となる男児、2017年に第2子となる男児を出産。著書に自らの妊活や不妊治療についてを語った『大人の授かりBOOK~焦りをひと呼吸に変える がんばりすぎないコツ~』がある。

●記事の内容は2023年4月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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