義母へのイライラ解消は「怒りの仕分け」が効果的な理由
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「母親なんだから…」と、家に来るたびにもらす姑(しゅうとめ)。義母なだけに、本音を言いづらくて、イライラは募ります。
アンガーマネジメントシニアファシリテーターの高田しのぶさんに聞く「上手に怒りをコントロールする方法」。2回目は、「義母へのイライラ」編をお届けします。
「母親はこうあるべき」の押しつけにイライラ
ずっと専業主婦だった義母。共働きの筆者夫婦の育児を助けてくれる心強い存在です。ただ、ことあるごとに「母親なんだから、食事は毎日手作りしないとね」「母親なのに夜出かけるなんて…」と「母親はこうあるべき」論を言ってきます。
孫には甘くて、チョコレートやスナック菓子など、普段は食べさせていないおやつを、勝手にあげていることにも困っています。お世話になっているので、言い返すことも、「やめてください」と言うこともできず、夫も見て見ぬふりで、イライラが募ってしまうのです。
自分が感じている怒りを2つの箱に仕分けてみる
高田さんは、「自分が感じている怒りを仕分けして、どこをめざしていくか、整理してみることをおすすめしています」と話します。仕分けとはどのようなことなのでしょうか?
「まず、怒りを感じている出来事や状況、相手の行動を、変えられるか、変えられないかを仕分けてみます。状況を変えられるのであれば、いつまでに、どうやって、どの程度、変えたいのかを具体的に考えてみます。
『夕食を手作りで一汁三菜作らなくては』と思っているけれどしんどくてできず、自分にイライラするという人がいました。自分が相手なら、この状況を変えられますね。そこで、明日から週に3回は副菜のうち1品を買ってきてもいい、と許容範囲を広げてみる。そのおかげで、イライラから解放されたのです。
次に、変えられない場合です。人はこの状況がどうにか変わらないかと考えれば考えるほど、怒りが大きくなってしまいます。『変えられない』と仕分けしたものには、問題に現実的に対処する方法をとってみます。
①気をそらす
②別の方法を探す
③あきらめる
などですね。
たとえば、渋滞にイライラしているとき、この状況を自分では変えられない。その場合は、音楽を聴く、あめをなめて気をそらす。
また、思うように掃除ができず、ぐずる子どもにイライラしてしまうような場合、子どもに手がかかる状況は変えられません。そこで、『掃除は週に2回でいいことにする』と許容範囲を広げたり、出かけている間にお掃除ロボットにまかせたりなど、別の方法を探す。そうすることで、問題自体がなくなります」
相手は「変えられない」ことを前提にやり過ごす
では、今回の相談、義母にイライラした場合はどう考えたらよいのでしょうか?
「義母へのイライラは、どちらかというと『変えられない相手』に仕分けされるでしょう。
『母親はこうあるべき』を押しつけられたとしても、重要か、重要ではないかと考えれば、自分に重大な危機が及ぶわけでもない。聞き流していればいいわけです。チョコレートやスナック菓子を与えることも、週に1回、または帰省している間ぐらいなら『まあ、いいか』とやり過ごすこともできるでしょう。同居しているのなら、毎日聞き流すのもつらいかもしれません。その場合は、なぜ同居しているのかを見直すのも、ひとつの方法です。
自分がイライラしている根本についても、考える必要があります。目上の人には従うべきという『べき』にとらわれていませんか? 自分の『べき』を見直して、思っていることを伝えてみてもいいのでは?
大切なのは伝え方です。『今は昔と違うんだから』『専業主婦じゃないんだから』と相手を否定するような言い方で一般論を言うのではなく、『私はこう思うので、こうしたいんです』と自分を主語にして気持ちを話してみてはいかがでしょうか?」
怒りを仕分けしてみて、具体的に問題に対処する方法を考える、「目上の人には従うべき」という自分自身の「こうあるべき」が義母へのイライラを生み出している、という話には目からうろこでした。今度は、お世話になっている感謝の気持ちとともに、「私」を主語にして、気持ちを伝えてみようと思います。(取材・文/大武美緒子、ひよこクラブ編集部)
■Profile●高田しのぶ先生
オフィス悠々代表。(一社)日本アンガーマネジメント協会アンガーマネジメントシニアファシリテーター、キッズインストラクター。大学教員等を経て、2014年にアンガーマネジメントを広めるためにオフィス悠々を設立。子育て中のママ、パパ向けに託児つきの講座も行っている。
オフィス悠々〜イライラの消しゴム®〜
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