夫婦げんかは「6秒ルール」と「仕切り直し」で乗りきれる
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毎日穏やかな気持ちで家族と接したいのに、今日も感情的に怒ってしまい自己嫌悪に…。男児2人を育児中の筆者は、子どもへのイライラよりも、夫への怒りに悶々(もんもん)とすることがあります。そこで、アンガーマネジメントシニアファシリテーターの高田しのぶさんに、夫へのイライラ編、姑(しゅうとめ)へのイライラ編の2回にわたって、上手に怒りをコントロールするコツをお聞きしました。
アンガーマネジメントは「怒ったことを後悔しないための練習」
夫は仕事で不在が多く、ほぼワンオペ育児の筆者。たまの息抜きに、夫に子どもを頼んで友人と飲みに出かけると、夫がものすごく不機嫌になってお互いにイライラ。こっちは、仕事と育児のきりもりに日々神経をすり減らしているのに、たまに出かけたからってなんなの! 子どもへのイライラと違って、相手が怒っていることに、こちらも怒りが増すケースが多いのです。
「そもそも、怒りは人間が身を守るために備えている自然な感情です。アンガーマネジメントとは、怒りをなくすのではなく、『怒る必要のあることは上手に怒る』『怒る必要のないことは怒らないようにする』こと。怒っていること自体に自己嫌悪になる必要はないんですよ」と高田さん。
夫婦の「こうあるべき」のぶつかり合いは、「仕切り直し」がうまくいく
高田さんは、怒りの正体はそれぞれの人が信じている「○○するべき」「こうであるべき」という価値観と現実とのギャップにあると言います。
怒りの温度を計る
「怒りをコントロールする方法として、怒りを感じたとき、10を最大級とした『怒りの温度計』で、自分の心の中で『怒り温度』を計り、その『怒り温度』に応じた対処法を決めておくことを提案しています。
怒りのピークは6秒。日ごろから客観的に自分の怒りを計るクセをつけておくと、自分の怒りのパターンがわかり、6秒のピークをやりごすこともできます」
怒り温度1~3の場合
「少しイライラしている程度の1~3の場合は、一度深呼吸して6秒をやりすごしましょう」
怒り温度4~6の場合
「4~6の場合は、『大丈夫』『しかたない』など、自分の魔法の言葉を決めて、心の中でとなえたり、手のひらに指で言葉を書くことでやりすごすのがおすすめです」
怒り温度7~9の場合
「激しい怒りを感じている7~9のときは、その場を離れる、いったん冷静になってから話し合うといった『仕切り直し』が効果的。夫への怒り、夫婦の『○○であるべき』のぶつかり合いの場合は、この『仕切り直し』ができると、うまくいく場合が多いのではないでしょうか?
怒りの理由を知る
「仕切り直しができたら、相手の怒りの理由はどこにあるのか、飲みに行くのが嫌なのか、帰りの遅い妻を心配しているのか、育児をするのが大変なのかを話し合い、どうしたら現実的に解決できるかを考えるといいですね。
たとえば、『ママがたまに飲みに行くとパパがイライラしている』といった場合は、夫が何にイライラしているのかを探ることが大切。『妻が飲みに行くのが嫌』と思っているなら、月に一度程度の頻度ならOK。『心配だ』というなら、帰りは何時までに帰ればOK、というように、お互いの『まあここまでなら許せる』という選択肢をできるだけ多くもつことが大切です」
怒りの連鎖を断ち切ろう
高田さんが所属する(一社)日本アンガーマネジメント協会では、怒りの連鎖を断ち切るためにも、アンガーマネジメントを提唱しています。
「怒りは高いところから低いところへ流れます」と高田さん。夫への怒りは、弱い存在の子どもへ向かってしまう。それを避けるためにも、相手は変えられないという前提に立ち、夫婦それぞれの許容範囲を少しずつ広げる努力をしたいですね。
夫への怒りが子どもに向かってしまう…。筆者にとっても耳の痛いお話でした。自分の怒りをコントロールするコツを覚えると、相手が怒っているときのコミュニケーション方法も変わってきます。子ども、仕事相手、両親など、どんな相手の場合も考え方は同じ。次回は、「本音を言いづらい義母にイライラしたときは?」についてお伝えします。(取材・文/大武美緒子、ひよこクラブ編集部)
■Profile●高田しのぶ先生
オフィス悠々代表。(一社)日本アンガーマネジメント協会アンガーマネジメントシニアファシリテーター、キッズインストラクター。大学教員等を経て、2014年にアンガーマネジメントを広めるためにオフィス悠々を設立。子育て中のママ、パパ向けに託児つきの講座も行っている。
オフィス悠々〜イライラの消しゴム®〜
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